2021全豪オープン終了を受けて、今後の女子テニス界を考察してみる
最初に言い訳になってしまうことを承知で書かせていただきますが、プレイヤー考察もアップできないまま全豪オープンが終了してしまい、またまたずれ込んでしまうことをお詫びして進めさせていただきます。
まず優勝した大坂なおみは最後にとっておくとして、最初に取り上げるプレイヤーはまだプレイヤー考察していない全豪準優勝のジェニファー・ブレイディーになります。
いずれ細かい考察はするとして今回は簡単にブレイディーはどういったプレイヤーなのかを説明しますと、単純にパワーのある才能豊かなプレイヤーでタイプ的には大坂なおみに近いといっていいだろう。そしてパワーのあるプレイヤーとしてあるあるなのが、パワーという才能にあぐらをかいてウィナー狙いでミスを減らす意識があまりないという大味なプレイヤーに落ち着いてしまうといった傾向がある。
しかしそこはブレイディーも大坂なおみに倣ったのかわからないが、2020年からフィジカルとストロークのミスの意識が変わってきて、スピン量を上げてパワーのあるストロークを安定して打てるようになったことが大きい。それ故にパワーを相手におしつけて試合を優位に運べるようになった。
それは2020年全米ベスト4で大坂なおみと真っ向勝負できるようになったことが何よりの成長を物語る。そして今回2021年全豪ではコロナで2週間ホテルの部屋に隔離されたのにも関わらず、ドロー運もあったにしろ決勝進出できたことが更なる成長を遂げたといっていいだろう。
とはいえ気になる点がひとつだけあって、ツアーでフィジカルコンディションがいまいちだと、ストロークが安定しないことにある。即ち悪い時の悪いなりのテニスができないことにある。ただグランドスラムではしっかりコンディションをピークにもっていける能力は確かなので時期にトップ10の仲間入りを果たすのは間違いないと見ていいだろう。
次に私テニバカが気になったプレイヤーを取り上げることにするが、それはカロリーナ・プリスコバである。2020オフシーズンに大坂なおみ以降パッとしないサーシャ・バジンをコーチに迎え入れた。個人的にはメンタル的にあまりにも淡々としすぎるプリスコバのメンタルを変えることがどういった結果を生むのか期待していた。
それは前哨戦で以前のように100%の力を出し惜しみしないで優勝しにいくのではなく、あくまでグランドスラムに支障のない範囲で調整するといったスタイルに変わっていた。
当然これはグランドスラムにより期待できる内容になったのだが、その期待は前哨戦で負けた好調のコリンズにしっかり2回戦でリベンジしたところまでであった。3回戦の同国のカロリーナ・ムチョバの闘争心にこうメンタルで気圧されたイメージを抱く結果となった。サーシャコーチになってラケット破壊も躊躇することなく行い流れを変えようとしたのだが、個人的にはエネルギー不足なのかなという練習でどこまで追い込めているのかといった懸念を抱かせることが、今後グランドスラムを優勝する目標においての課題なのかなと思った。サーシャコーチに関して早速疑問視する声もなくはないが、そもそも前哨戦でいつものようにやっていたら2回戦のコリンズに勝てることはなかっただろう。きっちりフィジカルコンディションをあげて感情を出しなりふり構わずくらいつけさえすれば、チャンスは巡ってくるのではないかと思っている。
次に97年組に触れていくのだが、最初に書いた通り大坂なおみは最後の最後にとっておくとして、97年組で昨年不調を極めたダリア・カサキナからいきたいと思う。
とはいってもカサキナに関しては2019年くらいの調子に戻したということ以上の表現がない。普通にフォアハンドの力強さが戻ってきたのでラリーで充分勝負できるレベルに戻ってきたので、ランキング的にはトップ20からトップ30くらいには戻れるのではないか。
次にエレナ・オスタペンコになるのだが、基本的なテニススタイルが変わっていないので突発的な確変で1大会で優勝する可能性はありこそすれ、安定感はこのまま得られることはないのは言うまでもない。ただひとつ変化する可能性が出てきたことがあって、それはマリオン・バルトリがコーチに再び就いたことだ。以前にも就いたことがあったが、その直近の大会で優勝できた感触があっての再登板なのではないかと思う。
そしてこの2人よりも現状は実力としては上なのに、状況的にはあまりよくないのがべリンダ・ベンチッチである。ベンチッチはライジングがなければ実力が著しく落ちてしまうことは以前のプレイヤー考察で書いたのだが、現在もその部分が一向に改善されていない。技術的な上澄みがあまりないのは父親コーチであるところが大きい。ただ落ちるところまで落ちていないのはトレーナーと恋愛関係にあることからも多少影響があるのかもしれないが、フィジカルコンディションは良好なのもまた事実である。
しかしベンチッチの問題点はライジング以外の武器があまりにも乏しいからも関係していて、それはは2月3月頃に休みなしでツアーも回ることにある。これも以前に言及したが父親コーチの指示の元に行われていることだが、これを何年もやり続けているということに原因がなんとなくわかってきた。
それはクレーシーズン序盤までかかっているにしろ、ライジングを武器にしているベンチッチとしてはクレーが根本的に苦手なわけである。つまりハードや芝でポイントをできる限り稼いでおきたいという考えがやはりあるのだと思う。
そうなると何が問題なのかというと、見る側として非常に好ましくないことがある。それはクレーシーズンはどうせ苦手だし稼がなくていいよという戦略ということなのだ。だからこそクレーシーズン直前の2月、3月に毎週のように試合に出場するという無茶をするのである。ということは怪我すること前提で試合に出場して休むのはクレーシーズンをそのまま充てるということになる。ということでクレーシーズンをまるまる捨てるというプロテニスプレイヤーとしてのプライドというものを問いたい。
ここまでいうからには確固たる根拠があるわけだが、今まで薄々思っていたけれども2020年全米をコロナで回避したベンチッチ。当然スイスでクレーの準備をしてローマにでたわけだが、あまりにも酷い状態で試合にならないレベルで敗戦したのち、なんと全仏の出場を取りやめたのだ。怪我という理由も考えたわけだが、そもそも全米に出場していないのに半年の期間もあって怪我したなんて考えられない。やはりクレーは勝てないからやめておこうというあまりにも消極的で自分勝手な考え方である。
比較するのもどうかと思うがこの姿勢は、ウィンブルドンの週に芝が苦手だからといってクレーの下部ツアーに出場するローラ・シグムンドに匹敵する考え方といっていい。正直こんなことをやるんならいくらでもラケット投げたり破壊してもらって一向にかまわないまである。
ベンチッチは現在このような状況であるから、つまるところクレーに関してもはや引退までこのままになってしまう可能性が極めて高くなってきているといっていい。まだ20代前半であるにしてもベンチッチにクレーで戦える何かが変わらければだが。ここでやっぱりヒンギスがベンチッチのコーチに就任したらという話にまたなってきてしまう。まあヒンギスがコーチに就いたらクレー云々でなく全てにおいて変わる可能性があるわけだが。
97年組が終わったところで次に気になるところはエリーナ・スビトリナに触れようと思う。この前のnoteでスビトリナはフォアのストレートのストロークが少ないことに言及したが、なんと今年からフォアハンドでストーレートにクロスにと積極的にフォアハンドでの攻めが非常に増えてきた。これによってグランドスラムへの優勝への条件は満たされたように見えるのだが、しかし現在の女子テニス界の状況はスビトリナが優勝するにはレベルが上がってきている。全豪終了後モンフィスとも別れていよいよテニスに集中しているわけでもあるし、このままチャンスを伺えば2年後3年後グランドスラム初決勝からのチャンスをつかみとることができるか長い目で見る必要が出てきた。
そのスビトリナにフォアハンドで攻められ敗退したコリー・ガウフだが、これも昨年大坂なおみに勝ってからコロナの中断で調子を落としトップ50で停滞していたが、全豪での状態調子を見ているとトップ30ぐらいの実力はついてきている。後は芝シーズン一気にポイントを稼いでそしてウィンブルドンが開催されれば、どこまで覚醒するのかという期待をせずにはおれない。
そろそろ大坂なおみにいってもいいのだが、まだ紹介したいプレイヤーがいる。それは2021シーズンコロナ禍で隔離され調子がめちゃくちゃになりコンディション維持が難しいなか調子のいいプレイヤーを紹介したい。
それはジェシカ・ペグラだが本当に現在下手なミスをせず安定したプレーで見るものを飽きさせない調子の良さを維持している。時期に調子を落とすことになるのかもしれないが、上がり目の状況でこれからどんなキャリアを歩んでいくのか注目すべきプレイヤーだと思う。なによりブレイディーがようやくペグラの勢いを止められたといっていいくらいの状態なのだから。
さてようやく終わりが近づいてきたがここでようやく2020年全仏優勝者のイガ・シフィオンテクについて。
どうしてもクレーに比べてスピンで安定したストロークがハードだとそこまでアドバンテージにはならない。その分縺れた試合になり相手にもチャンスがでてくる。ハードコートだとパワーといった面をどのように克服するかといえば技術面でどうにかするしかないわけで、経験値を増やしていけばハードコートでもチャンスは出てくる可能性はあるのではないか。それくらいしか言うことないくらいもうかなり完成されているプレイヤーというわけである。
そしてそしてお待たせしました、最後のメインディッシュである大坂なおみである。
もうメディアやWOWOWで充分に語りつくされた感がある大坂なおみ。やはり2020年7月にシラーに変えて中村豊さんをトレーナーに迎え入れて盤石の態勢になったことがあまりにも大きい。中村豊さんによって可動域が広がったり、体幹が非常に強化されたりとフィジカルレベルがまた一段と上がるわけで、そうなるとフィセッテコーチの分析力からくる技術習得が可能になってくる。現在の大坂なおみはボレーにしろ、スライスにしろどうにもできないわけではないレベルではない。もちろん上手いというレベルでもないが。つまり現在明らかな弱点という弱点がない状態である。だからこそもう4回目のグランドスラム優勝を今回圧倒的なタフドローの中のタフドローで達成するわけだが。
今回の全豪優勝でグランドスラム4勝目となり全米2回、全豪2回となった。この結果が示すとおりハードコートでは極めた状態といっていい。この状況から未来を推測すれば全米、全豪合わせて2桁の優勝も見えてくる。
ただそれよりも重要なのは全仏、ウィンブルドンを優勝してのキャリアグランドスラムだろう。いずれも3回戦どまりなので、まずは3回戦を突破してどこまでいけるかが今後のキャリアグランドスラムの可能性が具体的にわかっていくのではと思う。そこで全仏ではイガ、ウィンブルドンではガウフが障害になってくるのではと現段階で感じることである。
とはいえハレプとムグルサが面白いことに全米と全豪の優勝がなくて全仏とウィンブルドンの優勝がある状態なだけに、この2人と大坂なおみを比較すると案外キャリアグランドスラムいけるのではとも思えてくる。特に今の大坂なおみとムグルサを比較するとかなり似たタイプになってきたなとも思えてくるからだ。
最後の最後に気が早いがもし大坂なおみがキャリアグランドスラムを達成した時には即ちグランドスラムの優勝回数が6回以上となるわけで、グランドスラムの優勝回数を2桁に乗せるのは間違いないと見ていいだろう。
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