縮毛矯正と薬剤(パーマ液)の最適バランスについて縮毛矯正アドバイザーが解説します。

縮毛矯正をかけた時に髪がチリチリになったり、すぐ取れてしまったことがありますか?

縮毛矯正の仕上がりは縮毛矯正の薬剤と髪の毛の強度とのバランスが取れた時に最高になります。
薬剤と髪の毛のバランスについて解説します。

目次
・縮毛矯正とは
・縮毛矯正の薬剤について
  1、成分について
  2、種類について
  3、phについて
  4、価格について
  5、強さについて
  6、メーカーについて
・髪の毛の強度について
・縮毛矯正の難しさについて
・まとめ

・縮毛矯正とは
【縮毛矯正】とは、アルカリ剤で髪のキューティクルを開き(軟化)、
チオグリコール酸を代表する還元剤で髪の中のシスチン結合を切断し(還元)、
髪を真っ直ぐに伸ばした状態でアイロンによる熱処理をして、
過酸化水素・ブロム酸で固定し(酸化)髪のクセを伸ばすパーマのことを言います。

・縮毛矯正の薬剤について
美容室専用で販売されている縮毛矯正の薬剤(パーマ液)の種類は約1000種類ほどあります。

その中から自分が目指す縮毛矯正に最適な薬剤を選ぶ作業が必要です。

薬剤に詳しい美容師なら成分表からパーマ液の特徴を推測したり
【成分・種類・ph・価格・強さ・メーカー】を調べて、パーマ液の特徴を見極めることができますが、
何もわからない場合はメーカーの営業マンか美容商材ディーラーの営業マンのお勧めを購入します。

さまざまな薬剤の中から選択する際にいくつか選択方法があるので解説します。

1、成分について

チオグリコール酸・・・パーマ剤の代表的な還元剤。シスチン結合を切断する力が強く安定している。親水性・オルトコルテックスに有効

システアミン・・・髪へのダメージが少なく優しくしっかりかかる。ウェーブパーマ向き還元剤。疎水性・パラコルテックスに有効

システイン・・・髪の成分のシスチンによる還元剤。かかりは弱いが強度が上がる。アルカリが強いとダメージになる。親水性・オルトコルテックスに有効

チオグリセリン・・・髪のダメージが少なく補強的に効果がある還元剤。疎水性・パラコルテックスに有効

ラクトンチオール・・・髪のダメージが少なく補助的効果がある還元剤。強烈な臭いがある。疎水性・パラコルテックスに有効

GMT・・・髪のダメージが少ない酸性領域の還元剤。濃度が濃くなるとダメージを起こす。親水性・疎水性両方。オルトコルテックス・パラコルテックス両方に効果がある。

2、種類について
【高温アイロンを使用する加温2浴式縮毛矯正剤】
【高温アイロンを使用するコールド2浴式縮毛矯正剤】
【還元剤を配合した化粧品】という分類に分かれます。

アルカリ剤(アンモニア類・モノエタノール類)の濃度により、アルカリが強い方から【スーパーハード】【ハード】【ナチュラル】【ソフト】と分類されます。

3、ph ペーハーについて

phとは、水の中に溶け込んでいる水素イオンの濃度を示す数値のことを示しています。
パーマ液は、酸性・中性・アルカリ性といった3つのタイプがあります。

phは0~14までの数値によって表されます。水のように中性はph7、肌や髪は弱酸性でph5.5という言い方になります。

パーマ液のphの酸性・中性・アルカリ性について

・酸性のphは
phの値が7より小さくph3〜6は酸性タイプとなります。

・中性のphは
phの値が数値が7である場合には中性タイプとなります。

・アルカリ性のphは
phの値が7より高くph8〜9.7はアルカリ性タイプとなります。

4、価格について
パーマ液も価格がいろいろあります。
大体400mlの内容量ですが、900円〜15000円ほどの価格帯の差があります。

価格差の理由は、内容成分の質と組み合わせ、メーカーの自信です。

原料が高価であれば価格が上がります。
価格が高ければ良い商品というわけではありません。

商材の特徴を理解して目指す縮毛矯正に最適なパーマ液を選ぶ目が必要です。

5、強さについて
パーマ液は強さに差があります。

弱い=パーマのかかりが甘く、ダメージが少ない。

強い=パーマがしっかりかかる、ダメージが大きい。

パーマ液の強さを測る際にポイントが二つあります。

A. phが高い=アルカリ性が高いもの

B. 還元力が高い=還元剤の濃度が高いもの
というのがあります。

A. phが高いもの=髪のキューティクルを開く力が強いです。入り口を広げる強さです。

B. 還元力が高い=パーマのかかる力が強いです。シスチン結合を切る力が強いです。

A.B共に強いものを選ぶと強いパーマ液になるので、強いクセ毛もしっかりかかります。

強いパーマ液は髪をダメージさせるので、髪の健康をキープしながらクセをしっかり伸ばすには、パーマ液の特徴と髪質を理解して最適な強さになるように調節する必要があります。

6、メーカーについて

パーマ液の製造・販売メーカーにはそれぞれ特色があります。

例えば、髪のケアが得意なメーカー・毛髪化学の研究を得意としているメーカー・肌に優しくオーガニックが得意なメーカー・パーマ液の成分の研究が突出しているメーカー、流行りの髪型を提案するメーカーなど

信頼のブランドは、メーカーのプライドをかけて商品に差別化を訴えます。

同じ様な成分構成のパーマ液の場合、メーカーの特徴とブランド力から選ばれることがあります。

・髪の毛の強度について
髪の毛の強度は、髪を引っ張るときの強さと髪の毛が水分を含む時の水の量の少なさで測ります。

一般的に髪の毛はキューティクル・毛皮質・毛髄質という三層で表されますが、それぞれに厚みがありタンパク質が多く詰まっている髪が強い髪です。

髪の体力がレベル10〜レベル1というスケールで測ると、

髪が太くて硬くて黒くてクセがある人はレベル10になり、

赤ちゃんの様に柔らかくて茶色くて細い毛はレベル3になります。
(健康毛の場合最弱でもレベル3になります。レベル1.2はハイダメージ毛になります。)

もう一つ髪のダメージレベルというスケールがあります。

髪のダメージ=キューティクルの欠損と髪のタンパク質の減少です。

髪のタンパク質が減少すると髪の中がスカスカになるので、髪の中に水分が大量に入り込みます。

髪の中に入る水分が多い髪=ハイダメージ毛ということです。

髪の中に水分が入らない髪=レベル10 健康毛

髪の中に水分が大量に入る髪=レベル1 ハイダメージ毛になります。

・縮毛矯正の難しさについて

クセが強い髪質=硬い・丈夫・多いというイメージがあります。

その場合は強いパーマ液を使って、アルカリで髪の入り口をしっかり開き、髪の中のシスチン結合を還元剤でしっかり斬って縮毛矯正をかければいいので簡単です。

縮毛矯正の難しさは・・・

髪のクセは強いのに髪が細毛で柔らかいなど、クセの強さに合わせたパーマ液に対して、髪の体力がもたずダメージを引き起こす場合です。

丈夫な髪質にハードなパーマ液を使用してもダメージは少ないですが、

虚弱な髪質にハードなパーマ液を使用すると、髪が切れたり溶けたりしてダメージでチリチリになり、まとまらなくなります。

髪の体力とクセの強さに合わせながら、強いクセをダメージが少なく伸ばせる薬剤の組み合わせがポイントになります。

クセの強さ・髪のダメージ・髪の太さ・髪の硬さ・キューティクルの枚数をチェックし、髪の体力がどれくらいあるかを確認して

薬剤の強さ・特徴を理解し、最小のダメージで最大の効果が出る薬剤の組み合わせを調整することが大切です。

・まとめ

縮毛矯正は髪のクセを綺麗に伸ばすためのパーマをかけることですが、髪質の強度に合わせてパーマ液の強さを調整し、髪への負担を少なく最適なバランスを合わせることが重要です。

薬剤のパワーが強すぎると髪がダメージによってチリチリになる可能性があり、薬剤のパワーが弱いと髪のクセが伸びずに縮毛矯正の失敗になります。

薬剤の知識と髪の知識をフル活用し、
一人一人の髪の状態に合った薬剤の組み合わせを見つけるには、
髪質の見極めと経験と勘が必要です。

薬剤の問題をクリアしたら、次はブローとアイロン技術があります。
アイロンを使用した際の【熱によるタンパク質のガラス化】の温度と湿度のバランスなど、ダメージに直接つながる難しい技術があります。

縮毛矯正は美容室での施術の中で難易度が高いメニューになります。

信頼のできる美容室に相談することをお勧めします。

縮毛矯正をお考えの方に参考になれば幸いです。



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