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2022年のヤングシナリオ大賞「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の感想

こんにちは。
先日、TVerを見ていたら2022年のヤングシナリオ大賞の受賞作「瑠璃も玻璃も照らせば光る」が上がっていたので観た感想を書いていこうかなと思います。

作品紹介

ヤングシナリオ大賞とは

ヤングシナリオ大賞はフジテレビが主催しているコンクールで、通称「ヤンシナ」だそう。過去の受賞者に、「silent」の脚本を担当した生方美久さん、「逃げるは恥だが役に立つ」の脚本を担当した野木亜紀子さんなどがおられます。
他の過去の大賞受賞者を調べてみると、最近の作品だと「初恋の悪魔」を担当された坂元裕二さんの名前がありました。しかも、第1回。由緒あるコンペなんあだなとびっくりしました。

あらすじ

木村ひかるは、毎日気を患っている母の代わりに家事をして、寝たきりの父に荷物を届けに行くという、いわゆる「ヤングケアラー」。ある日、友達の美沙に演劇部の照明が足りないから、手伝ってほしいと言われ、簡単だからという言葉を信じ人助けだと思って引き受けることにした。

以下、ネタバレを含みますので、空欄を設けます。










面白かったところ

瑠璃も玻璃も照らせば光るの意味

ドラマ中でも説明があったのですが、「瑠璃も玻璃も照らせば光る」というのは、ことわざの一つのようです。瑠璃と玻璃はともに宝石の一種で、光を当てると光るということですが、逆に光りないところでは輝けないという意味もあるそうです。

「頑張る」という言葉の使い方

作品を見ていて何度も登場した「頑張る」という言葉が印象的でした。確かに、これだけ楽しいことがある世の中で無理に頑張って、傷ついてまでも何かをするということに意味があるのか考えてしまうということはあるなと思いました。ドラマ中でも、ひかるがしきりに母親に「頑張らなくていいよ」という言葉をかけるシーンや回想で父親に「ひかるは頑張り屋さんだな」と言われているシーンが印象的です。何かに向かって努力するというのは、大切なことだと思う一方で、それを周りに押し付けていないか、もしくは押し付けられていないか、美徳とされていることだからこそ繊細な話だなと思いました。
ドラマ中の演出なので、私の考えすぎかもしれないですが、ひかるはうつ病の母親に最終的に「一緒に頑張ろう」を「頑張らなくていいよ」の代わりにかけています。記憶が正しければ、うつの方に「頑張れ」は禁句だったなあと思いながらも、一緒にという言葉が添えられることでまた意味合いが変わってくるのかなあと思ってみましたが、実際の所はわかりません。

演出が細かい

転校生役の立石瑠璃だけセーターの色が違います。しかも、ひかるの高校のセーターはベージュでカジュアルな感じである一方で、瑠璃のセーターは紺なので、より堅い印象を与えているように思います。

ひかるがやりたいことができる学校のシーンともっと頑張らないと思っているヤングケアラーのシーンでBGMが使い分けられているので、すごく分かりやすいしひかるの心情が想像しやすいと感じました。

ところどころ余韻のシーンがはさまれるのですが、そこがドラマには映されていない部分の生活も続いているんだなと思わせるなと感じていました。

頑張れる人こそ強い人間か

ひかるが美沙の所属する演劇部に行ってみると、ゆるい雰囲気が流れていて、これなら経験のない自分がやっても大丈夫とひかるも思ったはず。そこに、一人異質な立石瑠璃がやって来ます。瑠璃は、転校生で演劇を本気でやりたいと思っているも、温度感の差から浮いている状態となっています。ひかるがどうしてそんなに頑張れるのかと、分からないけど私はそうしたいからそうするといった趣旨のことを言われてしまいます。
頑張ってるのが普通みたいに言われてしまうと、頑張っているつもりの自分が惨めに思えてしまうなあと感じました。「頑張らなくていいよ」と言うセリフには、「もう十分頑張ってるよ」という意味も含まれてるのかなあと思ってみたりしてました。
ひかるが幼少の頃のシーンで、自転車を練習しているところがありました。そこで頑張って転びながらも習得するのですが、ひかるが瑠璃も玻璃も照らせば光るという言葉を聞いた後に考え込んでしまって、自転車でこけるシーンが出てきます。そして、最後にこぎ続けないと転んでしまうというセリフが出てきて、頑張り続けることをしないと行き詰ってしまうというのも比喩的に表しているのかなども想像が膨らみました。

見せていないものはわからない

瑠璃のセリフで「見せていないものはわからない」と言うものがあります。実際そうなんだけど、自分のことを言うって難しいよなと日々感じます。
日本には、察する文化があるからそう言うのも相まってる気がします。深く刺さったものの、どう言葉にしていいかはうまくわからないですね笑。

その他

ひかるの通う学校の教師役をラパルフェの都築さんが演じられているのですが、都築さんといえば、「東大へ行け」が代名詞の「ドラゴン桜」中の阿部寛さんのモノマネが持ちネタの方なので、なんか感慨深いなと思いました。

個人的に気になっているのが、後半に出てくる橋のシーン。あの橋どっかで見たことあるなあと思いつつも思い出せない。ロケの名所、朝霞市とかかなあと勝手に思っています。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。
面白そうと思った方は是非ご覧ください。


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