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ハラキリ手術の記憶4(終)

退院して4か月目前の10月末、退院して2度目の診察で「もう通院せんでええよ」が出た。
ので、やっと最終回を書くことにした。前からどれだけ開いてんだ。

なお術後の月経再開は9月、8月末の診察から2週間後のことだった。
筋腫で月経過多とそれによる貧血が発生していたのなら、さぞ楽になってるだろうと思っていた。

全然軽くなってないんだが?

出血も多いし、痛みもキツい。眠れんレベル。いつものやつじゃねーか。
生理休暇をくれる職場でよかった。本当によかった。

…月経過多の原因が子宮筋腫でないのなら、どうすりゃいいんだ。
子宮全摘か?

そんなモヤモヤを抱えている。



1 管を抜く


手術後3日目、ようやく尿管を抜いてもらう。
これがもう、ものすごい解放感だった。
排泄が自力でできるって、すばらしいことなんだな…!

半日おきぐらいに尿パック回収してくれるオバチャンから「あらっ尿管外れたんですね」と祝われる。
このオバチャンに申し訳なく思うこともなくなる。今までありがとうねオバチャン。

続いて翌日には、手首の点適用カテーテルと硬膜外用カテーテルも抜かれる。
ガラガラと引きずって歩かなければならないスタンドくんともおさらばだ。

ん、これで全ての管が抜かれたということは…?

蛙「シャワー行ってもいいんですか?」
看護師さん「硬膜外カテーテル抜いて24時間経って様子見てからですね」

明日かぁー。

体の清拭は手術翌日にいっぺん来てくれてあったかいタオルで拭いてもらったし、シャワー全身は駄目だが洗髪だけは洗髪台でできるらしい。(ナースステーションで、美容院で髪洗う時に上半身カバーするシートみたいなのを貸してもらえる。)
でも、上半身折り曲げてずっと洗うの、多分腹の傷が痛いよな…と思い我慢した。

移動範囲は病棟から病院全域になったため、ミネラルウォーター購入と体力回復も兼ねて1階のコンビニに行ってみる。
階段も降りてみたんだけど、足腰こんな衰えるか?ってレベルで疲れた。階段なんて普段家で毎日降りてるのに…やっぱり長居はできないと思った。

病院で唯一Wi-Fiが繋がってるラウンジは、真面目そうな病気の書籍が揃っているところだったので、自宅の兄とモンハンするのは断念した。

2 傷痕と風呂


管が抜かれて24時間、シャワー解禁の前に手術痕に貼ってあったテープを剥がしてもらう。
手術痕はヘソから真下に真っ直ぐ15cmほどで、細かいテープが横向きに何枚も貼ってあり、さらにその上に、傷痕が丸ごと覆えるでかいテープが貼られた状態だった。そのでかいテープをべりっと剥がされた。

蛙「そういや抜糸ってないんですか?」
看護師さん「実は、体内に溶けて消える糸なんですよ」

どういう仕組なんだ。

とにかく抜糸は無いので、でかいテープを剥いだ状態でシャワーに行く。

蛙「この小さいテープは剥がれないようにした方がいいんです?」
看護師さん「無理に剥がさない方がいいですけど、かさぶたみたいなものですから、自然ととれてくぶんには気にしなくていいですよ」


手術痕こんな感じ。

ふーん、と思いいざシャワーに行ったけども、やっぱり傷痕を洗うのは心情としてすごく恐い。
傷がガバッてなって出血したらどうしよう、シャワー室ですっぱだかでナースコールするんか?ええ…いやだ…

と、恐る恐るシャワーを浴び始める。


早速1番上が剥がれたんですが!!??

あまりに恐い。

でも洗わずにいるのも良くないよな…と、手のひらで泡立てて、そーっとそーっと撫でるように洗い、直にシャワーをあてず上からゆっくり流した。
これ日々気つかうな…

とはいえ久々のシャワーは本当に気持ちが良かった。
思わず脳内でなかやま某くんが「シャワーーーッ!!!」と叫んだぐらい爽快だった(くっだらねえ)

シャワー時間は原則20分で、この日だけは倍の40分が許可された。
が、あまりに久々で全身くまなく洗ってたっぷり堪能してしまったので、数分オーバーしてしまった…ごめんなさい…

ちなみにシャワー室は、病院とは思えないぐらい綺麗なシステムバスだった。湯を張ることはできない(と思う。というか、そんな時間無い)が、温度調節も簡単で室温もちょうどいい。まあ入院患者さんがここでヒートショックなんて洒落にならんもんな…

3 正しい身体づくり


初日から散々「メシに味がしない」とぶーたれていたが、手術あけて徐々に通常食に戻されてくると、

「美味しいな?」

と、感じるようになってきた。

確かに塩味は足りないけれど、出汁や酢やスパイスや、素材自体の甘味辛味で、おかずの味はそれぞれ感じる。3食とも1食の塩分量3g未満を達成しつつ、「しょっぱい」以外の味覚でちゃんと食事を楽しめるようにしてくれている。
そして味の薄い食事をかみしめていると………ごはんが甘い!そうだ、米って甘いんだ!思い出した!
日本人の原点にたちかえった気持ちだった。

病院食、すごいな…
健康になるし、味覚も整ってくる…
こういうちゃんとした食事をしてれば、無理にダイエットもなんもせんでも、元気に長生きできるんだろうな。

健康といえば睡眠もそうだった。
そもそも私は不眠症気味で、薬をもらっていても睡眠時間はとれて4、5時間。
特に寝なくてもどうにかなる休日前や、それこそ月経の重い日などは、うとうとしながら朝を迎えるレベルだ。
しかし病院では、午後10時には容赦なく消灯される。ベッドサイドの電灯を点ければ読書やゲームは可能だが、同室にちょっと迷惑がかかりそうだし、何より看護師さんが巡回してくるので必ず見つかる。間違いなく「眠れませんか?」と聞かれるし「灯り消して休んでください」と言われるだろう。
一応のええ大人が、それは避けたい。

入院にあたって大きな懸念の1つが、ちゃんと眠れるかという問題だった。
上述の通り不眠気味で、その上に私はベッドがすこぶる苦手だ。小さい頃からぺったり布団習慣で、ホテルのベッドなんぞ熟睡できたことがない。友人宅に泊めてもらう時も、遠慮ではなく床を希望する。
病院はもれなくベッドだし、仕切りがあっても他人が同室にいて、さらに看護師さんが巡回してくる。
不眠要素の役満ではないだろうか。

ところが蓋を開けてみると、午後9時半過ぎに眠剤を飲むと、午後10時にはすこんと眠れた。さすがに長時間眠り慣れてないので翌朝5時には目覚めていたが、それでも7時間寝ている。
病院のベッドが感触として布団に近いというのもあるだろうけど、これは本当に意外だった。
入院中は疲れることもないのに…

…疲れることもないから、ストレスないから、すこんと眠れてるのかもなあ…。

食事、睡眠とも、実にまっとうな毎日だった。

4 退院


手術翌日から一週間、予定通りの退院日である。
朝食が終わったら荷物をまとめて、請求書だの何だのの書類を待つ。

この間、私より半月前に急遽入院して、1ヶ月はかかると言われていた母が急遽退院していたり、安芸ひろしま武将隊さん(@akihirobushotai )の10周年をお祝いできなかったり(…)と色々あった。

が、とにもかくにも退院である。

書類がきたのぜ迎えにきてくれる兄にLINEを入れて、1階に降りて退院手続きを済ませる。
入院費用は、限度額認定証を事前に出しておいたので10万円弱。カードで払っておく。
入院着と日用品の請求書は後日届くそうな。こっちは4千円弱の予定。

迎えにきた兄に、どっかで飯食って帰る?と聞かれたけど、とりあえず帰宅したかったので真っ直ぐ家に送ってもらった。
職場に予定どおり退院したことと、今から8月頭までは自宅療養になると連絡。

ふぃー。
終わったなあ……。

帰宅最初の食事は、カップラーメンにした。
嗚呼!!!
ジャンク最高!!!!

ノンフライ麺を選んだだけ良心が働いたと思う。


終 余談と後日談


さて、1か月療養期間が出たけれども、じっとしていたら体力は戻らんだろう!と変にはりきったのが悪かったのか、母の身体のがよほど心配だったからというのも悪かったのか。
退院翌日から、私は結構外出した。
スーパー行ったり母の通院付き添ったり、広島城行ったり映画行ったり図書館行ったり…
重いものこそ持たなかったが、割とうごいた。

看護師さんが「かさぶた」といったテープは日々の風呂で順調にとれていく。
とれていくのだが…

…血、滲んでない…?

血というか、こう、傷口からじわっとでる液みたいなのは絶対出てる。服に着いてる。
かさぶたってんなら、ふさがってんじゃないのかよオイ………
服に着くのは鬱陶しいし清潔にしといた方がいいだろうと、きれいに洗って、傷パワーパッド的なものを貼っておいた。

ら、夏の暑さでかぶれた。
ちくしょう。
2日に1枚のペースで貼り替える。

さらにある日、傷痕の一部にかさぶたとはちょっと違う、血の固まってるところがあり、これが全然治っていかないことに気づいた。

ここで、こういうのをはぎたくなってしまうのが私の駄目なところである。
そしてとってみて分かったんだがこれ、透明な糸の切れ端だった。
…体内に吸収されてないやないか!

端っこだけ体の表面に出ていたんだろう。もうそういうことにする。
かさぶたをはいだ程度の血は出たけど、わりとすぐ止まったし。

とまあ、1か月ではそんなに傷痕がきれいになっていかないので、こんなもんかなと術後経過について調べていたところ、

「術後は2週間ほど外出を控えろ」

的な解説を見た。
「自宅療養」についての理解がない己を呪う。

とはいえ、この記事を書いている今、傷痕から何か出たりはしていないが、傷痕自体はかなりくっきりみみず腫れっぽく残っている。ケロイドというやつである。

先日の診断で、この傷痕ってこの状態から薄くなるんです?と聞いたら、もっと濃くなると思いますと言われてしまった。
ケロイドが残りやすい身体なのではとのこと。
まあしょうがない。
ちなみに今後妊娠したら、有無を言わさず帝王切開になるそうだ。

子宮をとったわけではないし、閉経してもないので、今後また筋腫ができる可能性はある。
だが一旦治療は終了となったのだった。


なお、入院前に発見された虫歯については、まだ歯医者に行っていない。
だって痛くないのに行きたくないじゃん……(子どものような言い分)(早く行け)

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