18禁の面白さなんか学校で教えとけ
あと三分になったから、まとめていきたいと思う。
この一年で最も大きかった知見は、人生は思っていたよりも短いということだろう。嫌いな人のことを考えて、どうしてやろうかなんて考えていたら自分に何もしてあげられない。十代がこの一年で終わると思うと、やれていない事だらけだなと思う。
でも、やれたなってことも結構あるものだ。十代のうちにほんとはダメなことをしたり、酒を飲むわけでもなくふと迷子になったついでに居酒屋でおでんを食べたり、夏の放課後に大勢で汗だくになって花火をしたり、焼き肉を食べる前に公園で鬼ごっこをしたりした。岩盤浴もマッサージも初めて行った。最高のデトックスを見つけられた。東京で初めてホテルに泊まった。東京でも夜、一人ぼっちになるのが怖いのは一緒だった。全部今だからできることだったかもしれない。しておいて良かった。
芸術大学に来て良かったと思う。難しい勉強をしたくないし、そんなことよりもエンタメが好きだからという理由でこの大学を選んだが、全てがいい経験になる新しいものだらけの生活だ。みんな人生をしているから、辛い時に支え合える。ここにはそういう人が多い。みんなで泣いて、みんなで笑って、みんなで前を向く。どうしても彼らが好きだ。人間味をもう嫌というほど感じられる大学だ。新入生はここでどう生きるのだろう。
短い春秋と長い夏冬を感じる一年だった。春の雨にはガッカリしたし、秋の気温には泣きそうになった。夏の日差しを睨み返せる日はいつになるだろうか。冬に見たイルミネーション、気付けば走り回れなくなっていた。
高校生までやっていた勉強で得た知識が通じないことが多すぎた。テスト期間に徹夜してたあの勉強時間はなんだったんだ。市役所から封筒が来た時にするべきことは習わなかった。確定申告のメリットも、年末調整の注意点も、葬儀の時の前準備やマナーも、同棲の時に気をつけることも、連勤のキツさも、オシャレになる方法も、ダメなことの楽しさも、高級な店の入り方も、学校が教えてくれたのは全人類共通に持っておくべき常識だったということをこの年になって実感した。自分がそれを面白く感じてこなかったことも納得できた。全部自分で学ぶしかなかった。まだまだわからないことだらけで、自分はまだまだ生きなければいけない。それを強く実感できる一年だった。
十九歳になって三十分が経ってしまった。彼が生きられなくなったこの十代最後。ここから、彼の分まで学んで、歩いて、旅に出て、生きるんだ。