見出し画像

解体工事をやる前に、、

『空き家をどうするか迷ったら』最初にやること4つ

平成26年に『空き家対策特別措置法』が施行されました。これまで形骸化していたこの法律が今年強化され、「特定空き家」に指定されると、固定資産税が最大6倍になるとも言われています。

私は建設業に従事しており、よく知人から不動産に関する相談を受けることがあります。例えば、「急に親の土地を継ぐことになったが、家が相当に古く、解体したいが費用はどのくらいかかるか?どこに頼めばいいか?」というような相談です。ここで、解体を考える前に最初にやってほしいことが4つあります。

① 空き家の両隣の家に、購入の意思があるか確認すること

継いだ家が遠方にあり、空き家の両隣の住民と面識がないことが多いと思います。しかし、空き家を処分する前に、隣地の人に購入の意思があるかを確認することをお勧めします。もし隣地が空き家だったり、住んでいる人が分からない場合は、法務局で所有者を調べることができます。他人の土地の謄本を取得することは合法であり、権利として認められています。
縁もゆかりもない人に売却というのは難しいかもしれませんが、お隣さんであればハードルは下がるかと思います。
話がまとまった後に、行政書士や不動産業者に依頼すると良いでしょう。不動産業者に依頼する際には、両手取引(不動産業者が売買を一手に行うこと)の理解を得て交渉するとスムーズです。

宅地建物取引業者は、不動産情報をレインズに登録する義務を負い、閲覧できるのは不動産会社のみですが、近隣であれば条件は一緒です。

注1

② 家が古いからといって、早急に解体せず、更地にしないこと

私は建設業に従事しているため、よく「長年放置していた家を所有していて、どうにかしなければならない」という相談を受けます。相談者の多くは「誰も住めないから解体したい」と言いますが、その前に家を解体することを急いではいけません。2024年から空き家法が強化され、「特定空き家」に指定されると、固定資産税が最大6倍になるとの噂がありますが、現実には東京都内で「特定空き家」に指定された件数は300件に満たないため、慌てて解体する必要はありません。土地と家屋を同時に所有している場合、建物がなくなると固定資産税は3倍ほど高くなることがあります。土地を売却したい場合、土地が更地であると、購入者はすぐに建築計画を立てなければならず、税金が圧迫することになります。空き家であれば、そのまま利用方法が見つかるかもしれません。再建築不可の土地では、解体することが逆に不利になる場合もあります。

令和5年12月13日、改正空家対策特措法が施行
責務は強化されました。すぐに固定資産税が6倍になるわけではありません。特定空き家へ指定後に自治体から「勧告」が行われると、その翌年に固定資産税が6倍になることとなっています。

注2

③ スーパーリフォーム 柱残し!

土地が囲繞地(袋地)であったり、狭すぎて新しい家を建てられない場合、再建築不可となることがあります。その場合でも、家の状態がボロボロであっても、リフォームで対応できることがあります。例えば、主要な柱を残し、それ以外の建材を新しいものにするという方法です。この方法は大手工務店が嫌がることが多いですが、私が見た物件では、建築看板を出さずにリフォームを進めるケースもありました。しかし、この方法にはリスクもあります。登記簿には「再建築不可」の記載が残るため、将来、物件を売却する際に不利になることがあります。完全に新築のようにはならないため、慎重に検討するべきです。

※「建築業の許可票」の掲示義務は工事請負金額が税込500万円以上の場合から発生しますので、工事全てに看板が必要な訳ではありません。

※囲繞地の所有者は原則として囲繞地通行権を拒否できません。日常生活するための給排水管などのインフラ整備も事実上、必要になるので、お隣さんを跨ぐこととなります。

注3

④ 解体する決断をした場合

いよいよ解体することを決めた場合、工務店や大手ゼネコンに丸投げするのは避けた方が良いです。解体工事は建築工事と異なり、施主が分離発注できる数少ない工事の一つです。工務店やゼネコンに依頼すると、元請業者に管理費を20%程度抜かれて、解体業者がほぼ1社で施工することになります。

個人の解体工事が500万円を超えることは少ないため、役所への提出書類、検査が容易です、近隣とトラブルなく完工すれば、解体という性質上、後々の問題が生じにくいという特徴があります。
そこに管理費の価値が見出せるかが、分離発注するか、しないかのポイントとなります。
比較的、簡単に費用面での自己管理ができるところです。分離発注を活用することで、コストを抑えることができます。

解体工事では瑕疵担保責任があっても瑕疵担保保証はないことがほとんどですが。新しく更地を購入した買主が、売主の瑕疵として責任を負ってもらうことができるもののひとつに「地中埋設物」があります。契約書、打ち合わせは丁寧なものが必要です。

注4

手前味噌ではありますが、ご両親より急に家を引き継ぎ、慌てて相談に来られた方に、私が説明していることを文面にしてみました。お役に立ちましたら幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!