猫駅長のいる駅
会津の最後は帰る途中の「猫駅長のいる駅」です。
今は「猫駅長がいる駅」として有名になっている会津鉄道芦ノ牧温泉駅は、かつては会津
滝ノ原線上三寄(かみみより)駅という駅名でした。
この10月に二代目猫駅長「らぶ」が亡くなったとのことで駅の待合室には「らぶ」の死を悼んでたくさんのお花が供えられていました。
遠い記憶の先にある上三寄の駅は「もんでん-上三寄-くわばら」と書かれた古い看板が唯一確かな思い出の記のようでした。
もちろん当時は蒸気機関車。門田の駅を出て上り坂にさしかかると、あの力強い蒸気機関車の音が上三寄の駅まで聞こえます。
上三寄駅から次の桑原駅までもかなりの上りだったようです。出発前に機関助手は一回ごとに釜の蓋を開閉しながら、汗だくになってどんどん石炭を放り込んでいくのをホームの側から見ていたこともあります。冬はラッセル車もきました。春先にはこの駅で集団就職列車も見送りました。
最終列車が行ってしまった駅の待合室、近所の人たちも三々五々集まり、ドジョウ汁、カモ鍋、打ち立て自家製の蕎麦や団子など、その季節、時々にいろいろな物を食べた記憶があります。
駅の待合室はまるで地域の集会所のよう、そして広かったように感じていましたが、今回、中に入ってみてこんなに狭かったっけ……と思いました。
赤いポストのところにはブランコがありました。まだ小さかった妹は、直ぐ水たまりができるブランコの下で、泥だんごを作ったことを覚えていました。
運転手からタブレットを受け取り、列車の発車を指差確認し、手動でポイントを切り替え、次の駅に「ていじげんぱーつ(定時現発)」と箱形の電話で伝えている60年以上前の“ぽっぽや”の姿を懐かしく思い出します。
記憶の中にあるお店の中で「牛乳屋食堂」は大きくなって繁盛していました。牛乳屋食堂の中華ソバ、滅多にない外食ができた日はうれしかったものです。今はメニューも増えています。
牛乳屋食堂でソフトクリームを買い、お店の前で写真を撮ってると、お店の方から待っているお客さんと勘違いされました。60年以上前の思い出を少しお話しすると「中に昔の牛乳屋食堂の絵が飾ってあるから」と中に入れて下さいました。
「誰か名前は覚えていませんか?」と聞かれたので、3人ほどあげたら3人ともご存じでした。
「来年暖かくなったら芦ノ牧温泉に泊まり、ゆっくり歩いてみよう」と、妹と話しています。
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