母の夢〜私の古希日記〜
母の葬儀が終わり一段落した頃、酒屋同士で仲が良かった方が悔やみに来られた。「お母さんは正博さんと一緒に暮らすことが夢だと言っていたんだよ・・・・」と。正博とは長男、私の長兄。
兄は長男ということもあって厳しく育てられた。父は次男の私を特にかわいがったと母はいう。それ以外、祖父も義祖母も私を溺愛したらしい。もちろん、兄がだからといって邪険にされたというわけではない。母によると、次男のかわいがりとは違っていたということだ。
母はこれを見て、兄のことを不憫に思っていた。何かにつけて自分の意志を爆発させる私と違い、兄は自分の思いを外に出すことができず、我慢した。母はそうみていたようだ。
私のやんちゃぶりに比べて兄の内向的な性格を見るにつけ、母はよりいっそう兄への憐憫の思いを強くしたようだ。(続く)