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ニコラス・マクカラン選手の日本代表スタンドオフ起用が楽しみな理由

 2024年のテストマッチシリーズもいよいよ最終戦のイングランド戦を迎えます。発表されたメンバーの中でスタンドオフのポジションにはニコラス・マクカラン選手(以下、ニック選手)が選出されました。

 この選手起用に対して、多くのラグビーファンがネガティブな印象を持っているみたいですが、私個人としてはすごく良い人選なのではないか、と考えています。素人考えではありますが、今回はその理由を紹介し、イングランド戦の見どころを考えてみたいと思います。

超速ラグビーは誰がコントロールしている?

 今回のニック選手の起用を考えるにあたり、まずは日本代表のチーム全体が標榜し目指している「超速ラグビー」について、それがどのようなものか考えてみたいと思います。
 先週のウルグアイ戦を見ていて思ったことなのですが、攻撃の組み立ては球出しを司り、またキャプテンでもある齋藤直人選手を中心に構成されています。ラックからの素早い(超速の)球出しを目指す上で当然と言えば当然なのですが、では一方でスタンドオフは何をしているかというと、ウルグアイ戦で先発していた松永拓朗選手はBKラインを統率し、誰が仕掛けても良い状態を構築することに重点を置いてプレーしているように見えました。テンポに重点を置く齋藤選手とは対照的にATのギアがさらに上がった時に強力にサポートできる体制の構築に、超速ラグビーのスタンドオフの司令塔としての力点がある気がします。

 上記のことから考えてみると、おそらく超速ラグビーとは、状況に応じた超速の判断、その他選手の判断に対する超速の理解と反応、それにより実行される超速の連携プレー、そのプレーから次のアクションに繋がる超速の判断…それら連続によって構成されるラグビーなのではないか、と理解しています。

 スタンドオフというポジションは、通常は司令塔として自分から仕掛けたり、他の選手を動かして相手チームのDFを崩す役割を担うと思うのですが、超速ラグビーの10番は誰もが司令塔(超速の判断の起点)になる可能性を考慮した立ち回りが求められるのではないか、と考えています。

ニック選手に超速ラグビーのスタンドオフができるのか?

 さてそんな超速ラグビーのスタンドオフの役割をニック選手はできるのか?という点ですが、結論から言うと出来ると思います。(だからこそ選出されているとも言えます)
 いかにスキルや経験があるニック選手と言っても、一般的なスタンドオフの能力値としてはブラックラムズから召集されている中楠選手や伊藤選手の方が上だと思います。ただ超速ラグビーのスタンドオフとしては現時点ではニック選手が最適解ではないか、と思います。(松永選手のFB起用も実現でき、イングランドの強いCTBのトイメンに日本代表の強いCTBを配置できるのも良いですね)
 ニック選手を最適と考える理由は、具体的には彼が持つ①正確な判断力②味方への反応、連携、サポート能力の高さ③80分通じてプレー強度が落ちない高いタフネスとフィットネス④高い献身性などが挙げられます。基本的なスキルは全て備えていると思います。(キックについてはあまり見た記憶がないので少し不安が残りますが…)
 また昨季のブレイブルーパスの試合では、試合中に一時的にモウンガ選手と位置を入れ替えて10番の位置からパスをしているシーンもしばしば見られました。ポジショニングという観点でも問題ないと考えます。
 そして何より、セタ・タマニバル選手という圧倒的フリーダムなプレーヤーとCTBでコンビを組んでいたことで身に付けている他選手への反応力の高さ、サポートの正確性は特に推せるポイントです笑。ブレイブルーパスではいつもいて欲しいところにいてくれる、誰が仕掛けてもサポートに真っ先に走る姿を何度となく見せてくれました。超速ラグビーで誰が仕掛けても切れ目なくボールが繋がるようにサポートに奔走してくれると期待しています。
 
 イングランドの高いインテンシティを打ち破るには、SH齋藤選手が正確に攻撃のタクトを振るい、FWやフィフィタ選手やライリー選手といった大型CTBの仕掛けに対してニック選手達がしっかりサポートして前に出る、という形を作り切ることが重要だと思います。
 チーム全体を機能させるために、15人全員で戦って勝つために、ニック選手のスタンドオフ起用は理にかなっていると私は考えています。

 イングランドは強敵ですし、ロンドン・トゥイッケナムで彼らを打ち破ることが高い目標であることは事実ですが、この起用が成功すればまた一つ超速ラグビーが前進していくので楽しみに応援したいと思います‼️

(ちなみに・・・) 

 こちらがイングランドのメンバーになります。ガッチガチのガチメンバーです。今回も波紋を修得したジョジョが23人出てきました(絶望)
 先日のフランス戦もそうでしたが、ワールドカップでアイルランド、スコットランドといった6Nの強豪と南アフリカをW杯本戦で倒した日本に対して、欧州強豪国も一様に”油断したら足元を掬われる”と考えていると思います。絶対に油断してこないと思います。
 ちなみに6月の日本でのイングランド戦の前に、イングランドのヘンリー・スレイド選手は「ライリー選手がすごい、彼はワールドクラスだ。だから俺が仕留める(意訳)」と言っていました。前回は試合直前にライリー選手が欠場となってしまったので、ようやくこの2人の戦いが実現します。楽しみです🔥



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