デジモンアドベンチャー 02 THE BEGINNINGの問題点
アニメ映画「デジモンアドベンチャー 02 THE BEGINNING」を紹介します。
相変わらず、デジモンアニメにありがちな賛否両論、主にピが多いことになっていますが、なぜこんなことになってしまったのか、解説していきますです。
まず一つ目の問題点は、新キャラのウェイトが高すぎることです。
今作は2000年に放映されたTVアニメ『デジモンアドベンチャー02』のその後を描き、成長した本宮大輔たち選ばれし子どもたちとパートナーデジモンの絆が見られるという触れ込みでしたが、ハッキリ言いますと、それに期待している人はガッカリします。
だって、メインキャラの大輔たちが本作ではモブ扱いされてしまうんです。
理由は、本作で初登場するキャラ・大和田ルイがこの映画の主人公だから。
え? 大輔が主人公のはずだって?
確かに映画のポスターを見ると大輔が一番大きく映っていますし、そのパートナーデジモンのブイモンが進化したインペリアルドラモンがセンターを飾ってますね。
でもですね、この後ろのこいつ、こいつが出ずっぱりで、映画のほぼすべての時間を割かれます。
特に、物語中盤は大和田ルイの回想パートで約30分ほど。この映画、全部で80分しかないのに、30分がこのキャラしかほぼ登場しない、大和田ルイの回想なんですよ
この時点で、本作は大和田ルイが主人公の映画だと言えますよね。
きっと映画に見に行った人のほとんどが、成長した大輔たちの勇姿を見たかったのに、いざ映画がはじまると、最初の数分だけ大輔たちの成長した姿がおがめて、あとは、「どうもはじめまして」のキャラを延々に見させられます。「これが見たかったんじゃない」の極致です。
ついでに言うと、大和田ルイとそのパートナーデジモン・ウッコモンの描写がなかなかグロイ。
デジモンとは思えないリアルなグロさなので、そこに耐性がない人は注意が必要です。子どもがみたら確実にトラウマになるので、親子で鑑賞に行く人は気を付けましょう。
さて、二つ目の問題点ですが、それは「デジモンが戦わないこと」です。
「は…・・・・・・・?」と思う人が多いでしょう。
だってデジモンのアニメと言えば、デジモン同士が戦うのがメインです。
いや、アニメに限らず、デジモンのテレビゲーム、ポケットゲーム、カードゲーム、すべてのメインはデジモンが戦うことです。
しかしこのアニメ、デジモンが戦いません、(ほとんど)。
ではデジモンはなにをするのかというと、乗り物です。
ええ。乗り物です。車とか飛行機とか、その代わりがデジモンです。
デジモンはただ人を乗せて飛んだり走ったりするだけの乗り物扱いをされます。
挙句の果てに、乗り物扱いされるためだけに、謎にジョグレス進化までしてしまいます。戦わないのに、乗り物にされるだけなのに。
パイルドラモンがタケコプター程度の扱いをされているシーンは必見なので、これはぜひ劇場で見てほしいですね。せめてアーマー進化でいいだろ・・・とツッコみたくなります。
(パイルドラモン=タケコプターの表示)
あ、ちなみに本作では一切アーマー進化はしません。
「02」といったらアーマー進化なのですが、しません。ええ、しません。
一番乗り物に適したアーマー進化ですが、本作では謎にしません。
うん、しません。
先ほどから、デジモンが戦わない戦わない言っていますが、一応ラストにちょこっとだけ戦闘シーンはあります。ですが、これは一ミリも期待しない方が良いです。忠告しておきます。
以上のことから、本作「デジモンアドベンチャー 02 THE BEGINNING」は、はじめましての新キャラが主人公で、デジモンが戦わない映画だと言えます。
某、映画のレビューサイトでも、5点満点で3点を切るありさまなので、みんなが不満をもっているのは確実ですね。
トライでデジモンアドベンチャーというコンテンツが破壊され、そのごのラストエボリューションで2ミリぐらい復活したのですが、本作ではまた後退してしまいました。
とはいえ、「THE BEGINNING」は、トライのように元々の設定やコンセプトを破壊するようなコンテンツではなく、あくまで「そうじゃない。違う違うそうじゃない」のコンテンツなので、トライの失敗の仕方とは明確な差があると思います。
デジモン02好きなら、見ても損はない、得もないけど…という感じの作品です。
本編終了から3年以内くらいに制作されていたらまた違ったのでしょうが、20年以上経った現在に作ったからこそ批判される作品になったと言えるでしょうね。
ファンは新キャラではなく、大輔たちがみたいのです。
「THE BEGINNING」は続編を作れなくもない終わり方だったので、そちらではぜひ、大輔たちの成長した姿がちゃんと描かれることを期待したいです。