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プロの将棋がAIの代理戦争と化している件

「今のプロの将棋って暗記ゲーだよね」
こういうことを言うと、必ずと言っていいほど
「いや、将棋は暗記ゲーじゃねーよ。実力ないと暗記しても勝てねーだろ」
みたいな声が四方八方から飛んでくる。

それはそうだ。
だがそういう話はしてない。
プロは人間の限界まで棋力を高めている集団であり、ほとんどが最低限の「暗記ではない」実力を備えている。
だから、序盤で差を付けられると、よっぽど相手がミスをしない限りは逆転できない。

そうなると、中終盤力を高めきった彼らが序盤研究に辿り着くというのは自然だろう。
そして、今の時代は便利なことにコンピューターが序盤を教えてくれる。
プロ棋士はAI様の指し手を見て新たな知見を得、それを覚える。

こういうことを一人がやると、他の棋士も旧式である人間の頭オンリーの研究では勝てなくなるため、自然とAI研究に追随することになる。

その結果、序中盤がAIの代理戦争と化してしまうのだ。

特に角換わりなんかは分かりやすい。
とある居飛車党同士の棋譜だと75手目くらいまでは研究だったと聞いた。
中盤に入っているのにパンパン手が進み、お互いの持ち時間の消費は10分以内…なんてことも今や全く珍しくはない。

こうなってくると色々と分からなくなってくる。
彼らは一体何をしているのか。
私達は何を見せられているのか。
少なくとも私はこういった状況は好ましいものではないと思う。

我々視聴者が見たいのはAIの手お披露目会ではなく、両プロ棋士が序中盤からお互いの棋風を出し合いねじり合う将棋なのだ。 
(少なくとも私はそうだしほとんどの人がそうであると信じている)


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