青じそわさわさ
畑に青じそがわさわさと揺れている。もう穂がついて、実がついている。
青じそが好きだ。きゅうりに巻くのも美味しいし、そうめんの薬味にも欠かせない。父の畑にまで行けばあるが遠い。ちょっと摘んでくるには面倒だ。そこである年、苗を買ってきて植えた。
父は嫌そうな顔をした。「こんなもん、なんでわざわざ買ってくるんだ。その辺にあるのを植えればいいのに。」意味が分からなかった。
次の年の春、畑の隅にはいろいろな植物の芽が出てきた。昨年の畑で成長したありとあらゆる植物が積み重ねて置かれている場所である。雑草も野菜も、花の芽も出てきた。
父はこの中からひょいひょいと必要なものを掘りとっていく。
ひょろひょろの青じそも掘り取られ、畑に青じそコーナーができた。
こうすればよかったのだ!なるほどわざわざ買ってくる必要はなかった。
青じその「苗」はひょろひょろと頼りなかった。売られている苗のような丈夫なものには見えない。畑の隅に、雑草と混ざって生えてきた芽なのだから。大雨が降った時も、雨が全然降らない時も、今にも枯れそうな姿をしていた。
夏になり、雨と暑さがいい感じになってくると、青じそはぐんぐん成長してきた。むしろ、こんなに青じそがあっても困るんだけど、という状態になってきた。
山のように摘んで皿に盛る。きゅうりをスティックにしてくるりと巻いて食べる。
にんにく醤油とゴマ油を混ぜたものに漬け込む。白飯にあう。
青じそジュースも作った。うっすらピンクになる。赤じそジュースに比べてあっさりしているが、これも美味しい夏の飲料だ。今年は3回作った。古新聞の上に刈り取ってきた青じそを積み上げ、家族に協力してもらった。
これだけ収穫しても、青じそは畑でわさわさ揺れている。どこを収穫したのか分からない。これでは野菜というよりただの雑草だ。
紫蘇の実を加工したいが、今のところうまくできない。今後の課題だ。
もうしばらくすれば青じその季節は終わる。青じそは刈られ、畑の隅に積み上げられる。
来年の春、またひょろひょろと芽を出すのを待つとしよう。