『おままごとなんて嫌だ!』(原案)
公園の小さな小さな砂場で
二人の少年少女がおままごとをして
遊んでいました
「キミとは何もかもが合わないようだ、
相性が悪かったんだよ。
身体も性格も習慣もね。」
「私もそう思うわ。今、別れることが
私たちにとっての幸せなのよ。
円満に別れるチャンスなのよ。」
するとそこへ
頼りなさそうなどうしようもない男が
青ざめた表情で砂場に飛んできた
「やめてくれよ!おままごとでも!
それは現実にあったことなんだよ!
おままごとの内容を変えてくれ!
するなとは言わん!内容さえ変えてくれればいい!ああ、本当は別れたくなかったんだよぉ」
男が去ったあと
公園の外を歩く
若い女と醜い男が
腕を組んで歩いていた
「あなたと関係と身体を結んでから
私は幸せいっぱいよ」
「キミの元亭主の指輪は味がないやら
食感がないやらでダメダメだぁ
こんなもん食えたもんじゃねえ」
・
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道端に
寂しく光る、濡れた指輪が映えるお昼頃
少年少女は おままごとをしていた
「今日の晩ご飯も美味しいよ」
「ありがとう」
「もういいや、お腹いっぱいだ」
「あら、もったいない
まあ、太るよりは捨てる方がマシね」
するとそこへ
ルンペンの
小汚い痩せ細ったジジイが
飛んできました
「ああ ああ もったいねぇもったいねぇ
三角コーナーはバーゲンセールだ
ネズミの主婦どもに負けん負けんと
押し相撲の毎日よぉ
それなのに
こんなもったいないもったいない』