【ニュース】九州MaaSがついに始動!そもそもMaaSが何か?から話す
MaaS(Mobility as a Service)とは、
「複数のモビリティ事業者のサービスを一元的に整理してパッケージ化していくことで、エンドユーザーがクルマを保有する生活よりも、より良い生活が送れるようにすること」。
単なる「所有⇒利用」の変化ではなく、「車中心の社会⇒ヒト中心の社会」へと向かうための概念。
マイカーが当たり前になり、車中心の社会になってからというもの、地方=ドーナツ化、都会=渋滞、という問題が年々顕著になっています。
地方では町の中心街や商店街の活気が失せて、車で行けるショッピングモールやドライブロード沿いの店に人が流れました。
また都会では膨らんだ人口に比例する車やタクシーの数、輸送トラックなどの物流、訪日外国人の増加などにより、既にインフラは爆発している上に複雑で分かりづらい。
上記のような実例を解消する考え方がMaaSなのですが、2024年8月から九州地域を対象にした「九州MaaS」がついに始動します。
そもそもMaaSとは何で、どのような取り組みがあるのか?始まりから現在までを個人的なピックアップで簡潔にまとめていこうと思います。
MaaSには段階的なゴールがある
「車中心の社会⇒ヒト中心の社会」とは具体的にどういうことか?
かつて車は私たちに移動の自由をもたらしました。車を持っている前提で、街や都市は開発されていき、逆に言えば「車がないと生活できない」社会になった。それに比例して「歩いて楽しめる街」も減りました。
これが正に「車中心の社会」。
一方で、街に住む人たち、街に来る人たち、彼らの移動をマイカーと同等以上に自由で便利なサービスで担い、街の在り方そのものが変わっていく。これが「ヒト中心の社会」。
なぜ「ヒト中心の社会」を目指すべきか?と言うと、そうした社会とはお構い無しに、人口減少・少子高齢化・環境問題が襲ってくるからです。
例えば、高齢者はどんどん運転が出来なくなっていきます。地方にはタクシードライバーも足りていない。住む高齢者の足が無くなってしまいます。また各公共交通事業者も単独でマイカーには勝てず、廃線になる鉄道もあります。
ちなみに、生活の中で居住の次に出費が多いのが移動にかかる費用であり、その費用の内の85%が車の保有コストとなっています。
その割には
日本のマイカーは1日の内約95%は眠っていて、全国平均の稼働率は約4.8%のみとなっています。
複数の移動サービスの情報の統合
⇒それらを一括で検索から決済まで出来るサービス
⇒更にパッケージ化とサブスクリプションで利用可能に
⇒まちづくりレベルで、社会課題解決へ
上記のように、MaaSは段階的に進んでいく。そして最終的には、まちづくり・社会課題解決へと進み、「車中心の社会⇒ヒト中心の社会」を達成するのではないかと思います。
福岡を起点に九州MaaSで人流を作る
2024年8月1日より、九州MaaSがスタートします。「my route」というMaaSサービスがプラットフォーム。
トヨタファイナンシャルサービス株式会社が企画・開発を主導しており、トヨタと西鉄が協力して2018年から福岡市で実証実験がスタート。そこから現在の九州全域をカバーするMaaSサービスにまで拡大しました。
鉄道、バス、タクシー、フェリー、電動キックボードや自転車など、様々な事業者との連携を経てついに8月からスタートするようです。
規模だけを見れば、日本最大、世界でも珍しい広域MaaSになります。課題としては、各都道府県や市町村がどれだけ街自体の中身を詰められるか、だと思います。
利便性が増すことで九州という広い地域での、移動の数と距離は多少伸びるとは思いますが、それ自体がユーザーの目的にはならないということと、実際に生活したり観光したりする圏内での利便性がどれだけあるのかが最もユーザーが重視する点なのではないかと思います。
想像してみると、九州に行くと考えた時に真っ先に浮かぶのは福岡であり、実際入口としての福岡の位置づけはあると思います。そこから九州の他県を回るのにMaaSアプリがあれば、特に外国人観光客の人流を作ることになんかは、かなり寄与するのではと思います。
いずれにしても日本で関東や関西にも先駆けて、九州でこうしたMaaSが始まることは、非常に楽しみで、実際に使ってみたいし、今後にも注目したいです。
トヨタは主導権を握りたい
トヨタはMaaSの盛り上がりの中で、「ウーブンシティ」を作り、バリューチェーンの変革を有利な方向に誘導する狙いがあるとされています。
皆さんは「ウーブンシティ」知ってますか?
なぜウーブンシティを作ることで、バリューチェーンの変革の中で有利に立てるのか?。
結論、MaaSの「器」を作ることで、マイカー・車中心社会からの脱却に耐えられるから。
だと思います。
理由は2つあって、1つは自動車産業は「CASE」によって既存の製造から顧客の利用までの流れが大きく変わることが明白だからです。
「CASE」=(コネクテッド化・自動運転化・
シェア&サービス化・電動化)
想像してみてください。
例えば、あなたがマイカーを持つよりも、スマホ1つで検索から決済まで行える移動手段のパッケージの方が「自由」で「便利」で「低コスト」だと感じるとしたら?
更に、車が情報端末になり、自動運転や電動化が進んで行くほど、車の価格はどんどん上がっていきます。一般庶民はおそらく「便利さコスト共に車の購入は割に合わない」と考えるようになっていくと思います。そしてそもそも、買い手が変わり使用方法と目的も変わっていくということで、「CASE」は自動車産業をMaaSに向かわせます。
2つ目の理由は、ゴールから逆算すると器を用意する側に回るのが合理的だからです。
MaaSを超えた先の「まちづくり」「まちの再デザイン」において、その器を用意し「MaaSオペレーター」にシフトチェンジしていくで、マイカーへの出費分を別の形で回収するのです。
器の中では複数の公共交通、移動サービスがあり、それらをMaaSオペレーターがまとめて提供します。MaaSオペレーターは、エンドユーザーの支払った料金から、それぞれの事業者へ支払いをします。
仮にエンドユーザーの月の移動費用が10だとして、半分がマイカーによるものだったとすれば、オペレーターはMaaSサービスの価格をどうにか10に近づけることで、事業者への支払いを差し引きしても、かつてのマイカー費用分を回収することが出来ます。
更に、新しい領域故に、器を用意するという「まちづくり」のノウハウを得られることはかなりのメリットになります。
よって、トヨタはウーブンシティを作ることで、変革が必要な自動車産業のトップランナーとして挑戦し、新たなバリューチェーンを作り、主導権を握ることが出来ます。
以上、九州MaaSがついに始動!そもそもMaaSが何か?から話す、についてでした。
これからが非常に楽しみです。
ありがとうございました!