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【勉強】東欧・旧ソ連の現在までの道のり
現在のロシアの前身であるソ連。正式名称は「ソビエト社会主義共和国連邦」ですが、連邦という言葉の通り共和国が集まって構成されていました。ウクライナやベラルーシの他、中央アジアのスタンと名のつく国の多くを含んでいたことは、あまり知られていないように思います。
今回の記事は、東欧と旧ソ連の近現代史を振り返り理解を深めることを目的としたものであり、書籍で勉強した情報とそれについての考えが主な内容になります。
ソ連邦拡大(第一次世界大戦後)
ソ連の前身はロシア帝国という国で、非常に大きな帝国の1つでした。17世紀末〜20世紀初頭に不凍港を求める「南下政策」により、その領土を広げていく中でオスマン帝国や大英帝国などと戦争を繰り広げます。
1914年〜1919年の第一次世界大戦中の1917年にロシア帝国はレーニンら労働者による革命によって滅亡し、1922年にソ連が誕生しました。
そこから第二次世界大戦が始まる1941年までの間にソ連はどんどん拡大していきます。当時のソ連を指導していたのは「スターリン」という人物で、歴史上非常に罪深い独裁者の1人だと思います。
ソビエト社会主義共和国連邦は最終的に15の共和国で構成されており、それらがこの期間に出揃います。1922年時点で、ロシア・ウクライナ・白ロシア(現ベラルーシ)・ザカフカース(のちにアゼルバイジャン・アルメニア・ジョージア)の6ヶ国。
それ以降に、ウズベキスタン・トルクメニスタン・タジキスタン・キルギス・カザフスタン・エストニア・ラトビア・リトアニア・モルドバの9ヶ国が連邦に組み込まれます。
内容としては、それぞれが自主的に加わったというより、ソ連によって各国に共産党政権が作られていき連邦に加わったというものでした。15の共和国は平等ではなく、強大なロシア共和国とそれ以外の14ヶ国という関係性が続きます。
東欧支配(第二次世界大戦後)
第二次世界大戦では、ナチス・ドイツによる侵略によって東欧のほとんどが支配下に置かれました。独ソ戦以降、ナチス・ドイツの力は弱まりソ連が東欧地域を解放していくことになります。
しかしソ連の解放は、支配者がドイツからソ連に変わっただけの現象であり、1945年の第二次世界大戦終結以降、東欧諸国で次々にソ連の介入による共産党政権が成立し、社会主義化していきます。
ここで言う東欧とは、東ドイツ・ポーランド・チェコスロバキア(のちにチェコ・スロバキア)・ハンガリー・ルーマニア・ブルガリアです。東欧の中でも当時のユーゴスラビアだけはナチス・ドイツ軍を自力で追い払い、独自の道を進みます。
社会主義であるソ連にとってこれらの東欧諸国は、資本主義である西側諸国との緩衝地帯だったため、ソ連に反する動きは厳しく取り締まられ、ハンガリー動乱やチェコスロバキアのプラハの春などはソ連軍によって鎮圧されました。
東欧民主化とソ連崩壊
東欧と旧ソ連に変化が訪れるのは、1985年にゴルバチョフがソ連のトップになった辺りからです。
1980年代からポーランドの連帯に見られるように、東欧は徐々に民主化への道を歩み始め、そこにゴルバチョフの改革が重なったことで、1989年にまずポーランドとハンガリーが民主化し、ベルリンの壁が崩壊して、他の東欧諸国でも民主化が起こっていきました。
ゴルバチョフの改革とは対外的には「新思考外交」という、対米協調、他国への介入縮小・停止、軍備拡大競争の中止などを含んだ改革が行われ、緩衝地帯として支配していた東欧諸国に対して「干渉しないのでご自由に」という方針を取りました。結果として、東欧の民主化とその後のソ連崩壊に繋がります。
ゴルバチョフの改革は、社会主義下でやる気を忘れた民には響かず、連邦の結束に危機感を持った幹部のクーデターに発展。そしてクーデターを阻止したエリツィンによって国家の財産は全てロシア共和国のものとなり、連邦は形だけのものになり、その後1991年12月25日に正式に消滅します。ソ連の消滅により、15の共和国が新しく誕生することになりました。
連邦が消滅したとはいえ、一国では経済の回らない中央アジアの国や、親ロシアのベラルーシ政府など、ソ連時代の繋がりや遺恨はまだ残っていて、そこにプーチン大統領の野心も相まり、2014年のクリミア併合や現在も続くウクライナでの戦争に繋がっています。
イギリスの歴史家であるジョン・アクトンの「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」という言葉の通り、長期政権を築く独裁者がどれだけ大きな悪影響を及ぼしそれが持続するのかは、各国が自分事として学ばければいけないと、強く思います。
以上、【勉強】東欧・旧ソ連の現在までの道のり、についてでした。
ありがとうございました!