レクイエム 123 [上]
これは、空港内から一時的にでて、外を歩いたこと以降の一部を記した話だ
その頃はリュックを使っていたため、軽く歩くだけで肌と汗のついたTシャツが擦れてきて、それはとても気持ちの良いものではなかった。
私は大阪に移住した祖父母に会うために帰省した。
もともとは自分の近所に住んでいたが、もとの故郷である大阪に移住したいとなり、祖父母は大阪へ大移動...お陰で年に1回は来なければならない帰省が大変になってしまった。
そして、私はバックの中身を見ようとした時だ。
すると、私は家に出たときのことを思い出してしまい、オーディオ機種につけるイヤホンがないことに気づいた。
だが、どこか近くのコンビニや売店で買えばいいと思うだろう。
だだし、そのイヤホンは少しレアな形状をしているため、空港の売店に売ってる代物ではなかった。
そう、これでは機内で曲を聞いて暇をつぶすことができない。
そこで私は半分渋々と本屋に入り、そこでちょっと興味が湧いた1冊の本を買ったのだ。
それは、日航123便墜落事件について書かれた本であった。
なんで飛行機に乗ろうとしている際に、飛行機が墜落する話を選んだのかは謎だが、少しそのタイトル名に惹かれてしまった。
そして私は、機内で暇をつぶせるものを手に入れて、機内に入っていく。
そして、そこから私はその残酷なストーリに没頭していった。
それは、1985年の8月12日に遡る。
「高濱機長、そろそろフライトです」
「了解」
操縦席には高濱雅己機長、そして佐々木副操縦士がそれぞれ左右の席に座っていた。
二人は、無言で司令を待っていた。
少しでも聞き逃してしまえば、発射時刻がずれ、乗客たちに迷惑をかけてしまうからだ。
「発射許可」
「じゃあ、フライトするぞ」
「了解しました」
高濱雅己機長は、レバーを動かし、ボタンを押すと、機体が動き出す。
期待はみるみるとスピードを上げていき、車と同等のスピード以上に上がっていく。
「発射可能速度まできました。司令官、飛行開始します」
「クリアランス(許可)」
「副操縦士、飛行開始」
高濱雅己機長は、また別のボタンを押した。すると、機体が浮き、ハンドルを持つ。
飛行開始の瞬間は、多くの操縦士でも難易度が高いと言われている。だが、高濱雅己機長は自前のテクニックで軽々しく飛行していく。
機体が少し揺れるが、何にも機体に影響は怒らなかった。フライト成功だ。
「副操縦士、フライト成功。肩を抜いてもいいぞ」
「いや〜すいません。この瞬間が一番怖いんですよね。ミスってハンドルを回しすぎたりしたら真っ逆さまに地面に激突しますから」
機体は浮いていき、地面から見ていると、雲に隠れて見えなくなってしまった。
その景色に残ったのは青と白のコントラストだけだった。