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「激走戦隊カーレンジャー」はここがスゴい!〜第5話「この先激走合体」の話〜

どうも。
最近、「やっぱ好きやねん」をパワープレイ中のKトレです。
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先日より東映特撮YoutubeOfficialで、あの怪作にして快作が配信開始した。
そう、

戦う交通安全!

激走戦隊!カ〜〜〜レンジャー!

である。

スーパー戦隊シリーズ屈指のお笑い作品とされる同作は、奇才・浦沢義雄をメインライターに迎え、スーパー戦隊の常識を覆しかねないスラップスティックかつ不条理な展開を繰り広げた事で知られている。
後年の作品における扱いもふざけたものが多く、ギャグ作品として認識してる人は多いと思う。
しかしその一方で、同作は単なるコメディでない事は、ネット上で何度も語られている。
'90年代らしさ溢れるシンプルさと情報量を両立させたヒーローデザイン、重厚かつスピード感満点のメカデザイン。佐橋俊彦氏によるロックからシンフォニックまで取り揃えたBGM。そして、現実にグチりながらも戦う交通安全を地で行く5人の眩しすぎるヒーロー度。
同じくヒーロー物としてのライン取りが絶妙だった「鳥人戦隊ジェットマン」同様、スーパー戦隊は常に変化と王道を両立させるから長く続いてるのだと分かる作品である。
(と同時に、この"戦隊の王道"を削り取った事による面白さを発揮してるのが「ゼンカイジャー」であり「ドンブラザーズ」「キングオージャー」である事も付記しておく。)

正直、この作品を語り尽くすのは難しい。
浦沢御大、佐橋氏以外にも、高寺重紀プロデューサー、田﨑竜太監督ら演出陣、そしてヒーローもコメディもこなせるキャスト陣…みな強者揃いかつ、それぞれの個性がデカい故に、ひとつひとつ触れないとやっていられない(笑)。
そんな中でも個人的に選ぶ「激走戦隊カーレンジャー」ベストエピソードの一つが、2月29日に配信される第5話「この先激走合体」だ。
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お邪魔します♪

もはや伝説となった芋長の芋羊羹(1ヶ100円)での巨大化が初めて実行された第4話「巨大化に赤信号」の続きで、前回巨大な夢の車、レンジャービークル(略してRV。この略称がまたイカすのだ)を手に入れたカーレンジャー。今回は早速説明書を読みながら、5台のマシンをRVロボに合体させる為のシミュレーションを仕事の合間に行う。
(因みにカーレンジャーの力の源は「宇宙の星座伝説に伝わるクルマジックパワー」とファンタジー寄りなのだが、その割に武器やメカの説明書を読んだりと変なところがリアル。そのギャップも個人的には面白いのだが。)
そしてわざわざ買い直した芋羊羹で再び巨大化したボーゾック発生!喜び勇んでレンジャービークルの初陣…という話である。

それだけ。この回はRVロボの初合体、そして必殺技!でほぼ丸ごと1話使ってしまうのだ。格闘シーンすらない。

この清々しいまでに潔い構成の理由は色々考えられるのだが、一つ確実に言えるのは、「激走戦隊カーレンジャー」そして当時の「スーパー戦隊シリーズ」が持つ特性をフルに活かした結果ではないかという事だ。

とにかく激走、激走、大激走!

まずレンジャービークルは非常にシンプルなデザインだ。全台普通の乗用車モチーフなので、ターボマシン(「高速戦隊ターボレンジャー」)や炎神(「炎神戦隊ゴーオンジャー」)以上にギミックや個々の演出による差別化が難しい。そんなマシンを最も魅力的に映す方法はOPのような走行シーン、そして合体なのだ。
今回、迫力と疾走感溢れる特撮演出で描かれる一連の合体シーケンスはそのまま次回以降の合体バンクにもなるが、その合間には今回だけの展開としてボーゾック専用車「バリッカー」とのチェイスがやはり疾走感たっぷりに描かれる。
この"初合体だからこそ敵の妨害が入る"というのもお約束へのツッコミと緊迫感を兼ねた絶妙なシチュエーションで、単なるイベント回以上の面白さを印象付ける。

当のカーレンジャーはバリッカーに前後を挟まれ慌てふためいたり、ドッキングが上手くいかず「イヤめっちゃ怖い〜!」などと見事なリアクションをみせる。そんな悪戦苦闘の間ボーゾック怪人MM(モーモー)モグーが巨大化した自分のヘソゴマを恥ずかしがって中々暴れない。この実に浦沢脚本らしいしょーもない笑いを交えつつ合体が進んでいくのも良い。ギャグもあるが、徹底してふざけ倒す訳ではなく特撮の領分を邪魔しないものになっているのが絶妙!

細かすぎて伝わらない好きポイント
合体時に映る変身アイテム「アクセルチェンジャー」に
付いた5人それぞれのキーホルダー

もう一つ、この頃のスーパー戦隊は25分番組だった事も重要だろう。
CM、OPとEDを除き実尺17,8分の中でお約束を全て詰め込むのはかえってドラマの完成度を損ねる事になる為、ヒーローの誕生、必殺武器の使用、巨大ロボ登場といった「はじめて」は順繰りに描かれる事が多かった。その延長線上に1話丸ごと合体に費やす発想が生まれたと考えるのは自然だ。
これは戦隊スタッフの技術の蓄積はもちろん、バンダイとの信頼関係の賜物でもあろうが、それでも今回の割り切りの良さはすごい。
その割り切りの究極形が、必殺技・RVソード激走斬りを繰り出す一連の流れにある。

伝説のキメポーズ。
SMPで再現させてくれ!頼む!

上述の通りRVロボはロクに戦わず、文字通り一振りで勝負を決してしまうのだが、初登場なんだから寧ろそれぐらいした方が良い。(戦隊ロボに限らず、個人的にはヒーローの初登場はなるべく"無双"してほしい派である。)
これも尺を逆手に取ったインパクト抜群の演出だと思う。
ちなみに続く第6話「私達…一方通行」以降は普通に戦ってくれるのでご安心を。
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筆者は'97年産まれで世代からは完全にズレているのだが、従兄弟から本作の後半に登場するVRVロボのDX玩具を譲られていたので思い入れの深い作品だ。(このVRVロボ初登場回も非常に面白い。配信は5月頃だが是非。)
玩具が入り口なので最初は作風に面食らった時もあるが、何年か経って見返すと特に隠れてもいないヒーロー作品としての真っ当さに目が行くようになった。さらに思えばこの体験こそが、特撮ヒーローというジャンルの作品を表面的なイメージではなく、本当はどんな作品なのかを見極めようと考え始めた原点なのかもしれない。
「ジェットマン」然り、「仮面ライダー剣」然り、「ウルトラマンタロウ」然り……。

まあとにかく、「激走戦隊カーレンジャー」は本編も主題歌同様にカッコいいので、是非途中からでも、つまみつまみでもチェックしてほしい…というのが結論だ。
本作に限らず、いかにして変化球と直球を組み合わせてきたのかという配球に注目してスーパー戦隊の各作品を愉しむと、何故このシリーズが50年続いてきたのかが分かった気になるかもしれない。
そしていよいよ始まる「ブンブンジャー」もその辺を分からせる作品になる事を期待したい。

ではでは。