ぶっちゃけどう思った?「超合金 宇宙刑事ギャバン&サイバリアン」
「宇宙刑事ギャバン」
1982年に放映された特撮ヒーロードラマ。
全身メタリックシルバーの斬新なビジュアル、
バトルフィールドとなる魔空空間を視覚化する最新と円熟のVFX、
渡辺宙明氏を中心に生み出された音楽世界、
上原正三氏が描く王道ストーリー。
そして、宇宙刑事三部作→メタルヒーローシリーズ→平成ライダーと発展の礎になった不朽の名作…
その生誕40周年を記念して、去年秋にバンダイ(BANDAI SPIRITS)から突如発表されたのが、
「超合金 宇宙刑事ギャバン&サイバリアン」
でした。
発売は先月末。
永遠のスーパーヒーロー、ぼくらのギャバンと、彼を乗せてマクーの怪物を追跡する赤い流星、サイバリアンをセットにした、紛う事なき入魂のファンアイテム…
だが一方で、串田アキラ氏の歌声に負けぬ熱いメタルの魂を持つファンは、恐らく複雑な気持ちでこの商品を手に取ったか、或いはスルーしたのではないか…
今回はその複雑な気持ちを自分の意見として纏めておこうと思い、この場をお借りする事にしました。
ただし、玩具レビューめいたものは他のブログやTwitterに任せ、今回は云うならば「フォーマット」に対する所感をメインにさせてもらいます。
1.10cmサイズのスゴいヤツ
メインアイテムであるギャバンは、なんだかんだ言って全身メッキ処理の見映えはとても良いし、造形も10年前の「S.H.Figuarts ギャバン」の縮小版とは言え悪くない。(因みにアーツは持ってません)
何より顔の良さ。かつての「装着変身」や「ACTION WORKS」と比べるとはっきり言って雲泥の差だと思う。
だが多くのユーザーがびっくりしたのは恐らくそのサイズだろう。
全高約100mm。
小さい。ミクロマンより気持ち大きい程度だ。
「どうせならアーツサイズ=約150mmで出せよつまんねぇな」と思った人、多いと思う。
上述の通りギャバンのアーツ化から10年、「スペーススクワッド」に合わせた事実上のリニューアルからも5年。そろそろ再販ぐらい願ってもろてもファンに罰は当たらない。
しかし逆に、このサイズにも仲間がいる。
バンダイ・キャンディトイ事業部から展開されている「Shodo(掌動)」が、丁度このサイズだ。
このシリーズもかれこれ約7年続いており、仮面ライダーとスーパー戦隊だけでも100体近いラインナップがある。その小さくて大きな世界に、全く異なるブランドではあるものの、ギャバンが仲間入りを果たしたと考えると一応合点がいく訳である。
尤も、筆者はShodo-super「海賊戦隊ゴーカイジャー」「電子戦隊デンジマン」未所持なので、本編さながらの並びは出来ないのだが…。
さらに仮面ライダーの場合は、そのサイズ感を駆使してライダーとその相棒たるマシンをセットで展開している。(このスタイルはサイズが一回り大きい「装動(SODO)シリーズにも定着している。)もちろんそれは食玩という媒体ならではの安価さもあるが、小さ過ぎず大き過ぎないサイズ感もシリーズが続く要因だと思う。それを考慮すると、ライダーほどではないにせよ、実車系のメカに縁の深いメタルヒーローにとって、このサイズ感は一つの"正解"なんじゃないかと私は思う。
序でにもう一つサイズ感仲間は存在する。
他ならぬ「超合金」ブランドである。
かつて'80年代〜'90年代半ばの戦隊シリーズやメタルヒーローでは、今の装動に近い120mmサイズの超合金で主役ヒーローが立体化されていた。ギャバンの場合も「蒸着ギャバン」の商品名ではあるが同種のアイテムが発売している。
そう、小さくてよく動く特撮ヒーローの超合金というのは、案外原点回帰なのかもしれないと思う。
2.遥かなる「高いが安い」への旅路
ここまで、この不思議思議摩訶不思議なサイズ感に対する自分の推論を述べさせてもらった。しかし、そんな長所というか魅力を諸々吹っ飛ばしてしまう要素が一つある。
この商品を知っている方ならお察しだろう。
値段である。
定価¥16,500(税込)
これは…はっきり言って高い。
参考までに
・ほぼ同コンセプトのプラ玩具代表
ShodoXX シン・仮面ライダー+サイクロン号セット
¥5,940
・同じメタルヒーロー超合金代表
超合金魂GX-97 超惑星戦斗母艦ダイレオン
¥18,700
(いずれも限定品)
もちろん事情は何となく分かる。
昨今の物価高のペースはそれこそギャバンの蒸着タイム並みだ。
オールプラの食玩やアーツと合金玩具ではそもそもの材料費が大きく異なるだろうし、
ギャバンは細かい彩色箇所の多いデザインだから塗るのも大変だろう。
或いは目玉ギミックとしてサイバリアンから流れる名曲「チェイス!ギャバン」の使用料が案外べらぼうなのかもしれない。
それにしたって…10cmサイズの合金製可動フィギュアと合金の割合が少ないメカのセットとしてはなんだかんだで割高感が否めない、
というか割高感しかない。
これで本体の出来がもの凄く良ければまた違うのかもしれないけど、他所様のレビューを見れば分かるように、ちょっと惜しい所が目立つし割と残念なアイテムだったり。(個人的には特にサイバリアンの前輪に角度が付けられたらなあと思う。だってOPでも華麗にハンドル切りながら停車するマシンなんだぞ。)
百歩譲ってメタルヒーローって所詮「過去の作品」なので、ある程度強気な価格設定も許されるが、ならもうちょっと何か欲しかった…というのがユーザーの心象だ。
逆にここから評価が大好転するとすれば、やはりシャリバン、シャイダーとラインナップが続いてくれる事だろう。
何しろ集めてこそプレイバリューの真価を発揮するサイズ感だし。
幸いにして両者は参考出品(前者は愛機モトシャリアン付き!)にまで漕ぎ着けている。
しかし!
そうなるとやっぱり値段が怖い。
マシンがサイドカーではなく単車な分若干安くなるかもしれないけど、流石に今の値段とクオリティのシリーズをあと2種も買うのはよほどのシリーズ愛が無いと大変だ。
果たしてそんな好事家が、買い支えられるほど居るのか…?
そういう訳で、現状この商品に対しては、複数の角度から見ても、値段と価値が全然釣り合ってないと言わざるを得ないのである。
3.総括・翔け!宇宙刑事達
以上が私の意見というか、正直な感想です。
「超合金 宇宙刑事ギャバン&サイバリアン」は商品アイデアとしては素晴らしいし、単体に留まらない無限の可能性を持つアイテムではあると思います。
繰り返しになりますが…メタルヒーローの魅力ってメカニック群、特に単車や四輪車も外せないと思うので、その魅力をより再現しやすいフォーマットとして、これからの展開に期待したい気持ちは大いにあります。
(個人的にはこのサイズで四輪車出たらめちゃくちゃ嬉しい。ダークジェイカーとか)
でもちょっと価格帯とかこのままじゃ直ぐに息切れするのかな…というか、この打ち上げ花火1発で終わる予感がスゴいので、何とか頑張ってほしいなぁ…と本当に複雑な感情がぐるぐる渦巻いているのも事実です。
ディープなファンであればあるほど、ギャバンしか出ない現状にモヤモヤする。
6年前のTAMASHII NATIONSに阿鼻叫喚し炎上したフォロワーの悲劇が今日も甦る。
しかしもう過去の作品群であり、しかもシリーズとしての共通性に乏しいメタルヒーローを今から玩具にするのって凄く難しいなって同情もある。そしてそこにお出しされた、ちょっと中途半端なアニバーサリーアイテム。
心スッキリさせてくれる、ファン感涙のアイテムが出てくれないかなぁ。
取り敢えずは9月発売の「超合金魂 電子星獣ドル」に切り替えつつ、少しでも値段相応の満足感得られる遊び方を探していきたいと思います。
僕らのメタルヒーローは、まだまだこれから。