【旅】次男と姫路
とにかくしつこいうちの次男(小3)は、晴れの日よりも雨の日を好む。理由を訊くと「静かだから」とのこと。
普段、起きてから寝るまで騒いで暴れて散らかし尽くし、ヤメロと日に平均100回は言わせる狂った太陽神みたいな…いや、太陽神が何かしらヘマをして飼うことになったクレイジーな白豚的な彼からの意外な返答。
飴と鞭、ならぬ、雨と無知。
…よくわからぬが、時折、ふと、情緒的な一面をチラつかせることでその奥行きを垣間見せ、こちらをソワソワさせるのである。
そんな白豚との一番の思い出は「姫路城」だ。通常、どこかに出かけるとしたら、家族全員で出撃する我が家であるが、このときはたまたま、ワスと次男の2人だけで姫路城へと赴くことになった。
ふたりだけでの旅行プレイはそれが初。振り返ると、白豚は、まずもってそれが相当うれしかったのかもしれない。普段は三兄弟で共有するオットー(と僕は呼ばれている)を独占できるのだから。
加えて、その日は曇天。晴天を苦手とする白豚にとっては、心ゆくまで姫路をたのしむのにグッドコンディションであったのだろう。
今でも時々「あのお出かけは最高だった」とブヒブヒ鼻を鳴らして目を細める。
で、が、いざ現地。ワタクスのたのしみにしていた世界遺産・姫路城を眼前にしても、次男は完全な無関心…というか不満顔。ただ、ひたすら句読点のように「思てたより白くない」と連発憤慨するばかり。
たしかに、タカアシガニ、高梨沙羅!
念願の姫路城にワクワク状態であった僕は、向かう道中、ずっと「いいか、白いからな、もう、本当に白いからな」と、機嫌の良いセキセイインコのように同じ言葉を繰り返し次男に浴びせ続けた。その結果、おそらく彼の頭の中での姫路城は、新品の消しゴムとか絵の具の白とか白色のレゴとか、それまで彼が目にしたことのあるあらゆる白よりも白い城に違いない…とその存在は神格化されていたのだろう。
白鷺に 城詐欺いうな 暴れん坊
で、いざ城内へ邁進まんとする僕のことなどおかまいなしの白豚は、すぐに次を求めた。その次というのは、彼にも見えてはいなかったが、とにかく早く、この世界遺産から離れることが自らの満足へと繋がると認めたのであろう。
城門まで来てのまさかのおあずけ強制終了を喰らった我思う、故に我アリ?
つづくかも