奇跡のバックホーム
写真は、横浜のランドマークタワーで撮ったもの。
本文はベイスターズの話ではないけど、野球つながりで。
読みたい本リストに入っていながら未読のままだった「奇跡のバックホーム」
読む前に、著者である阪神タイガースの横田慎太郎選手は先月、28歳の若さで帰らぬ人となってしまった。
正直、横田選手のことはあまり知らなかったけど、脳腫瘍を患っていたことは知っていて、でももう寛解したと思ってた。
だから訃報を聞いたときは、再々発していたことを知ったときでもあった。
横田選手が旅立ってから約1ヶ月、今日やっと「奇跡のバックホーム」を読んだ。
2013年にドラフト2位で阪神タイガースに入団。
球団が高卒でいちばん取りたい選手が2位指名だったことを横田選手本人も後から知ったという。
3年目は開幕スタメンに入るも、翌年春季キャンプ中に頭痛と視界の悪さのため病院で受診し、脳腫瘍の診断を受ける。
命を失うことより野球が出来なくなることを何よりおそれた横田選手は、恐怖と闘いながら2度の手術とリハビリを経て寛解。
半年におよぶ治療と入院生活ですっかり落ちた筋肉と体力を、幼い頃からダラダラ過ごすことが嫌いで目標に向けて1日も無駄にせず努力してきた横田選手は不断の努力で取り戻す。
でも、視力が戻らない。
視力が戻らなければ試合に出ることはできない。
視力が戻らないまま2軍で3年を過ごし、担当スカウトに、球団としては来年も契約していい方針だけどどうする?苦しかったら辞めてもいいよ?と聞かれた横田選手は、泣きながら初めて野球を辞める決意をする。
2軍の選手としては異例の引退試合が開催される。
You Tubeでそのときの動画は何度も観ていた。
物がかすんで見えづらいので当然捕球もまともにはできない。対戦相手のソフトバンクの選手たちも、横田選手が守るセンターに打球を飛ばさないようにしていたという。
それなのに打球はセンターへ飛んだ。
そして横田選手はしっかりと捕球し、まっすぐにキャッチャーへ送球。
ボールはまっすぐにキャッチャーミットに吸いこまれた。
エッセイのタイトルにもなった「奇跡のバックホーム」の瞬間
本を読む前、何度となく引退試合の動画を見ながら、たくさんの選手が来てるなとぼんやり思ってたけど、CS間近にも関わらず鳥谷や福留、矢野監督も観に来ていたらしい。
多くの選手、スタッフ、ファンに愛されていることがわかる試合だった。
エッセイを読んでもっとわかった。
周りの人たちを大切にし、そんな彼のやさしさが周りから倍になって返ってくるような人だった。
とても愛されていた。
病気が無ければ、今ごろは首位を走る阪神タイガースの1軍でクリーンナップを張り、連日スポーツニュースを騒がせていたかもしれない。
月並みだけど、なんでこの人がこんな目にあわなければいけなかったんだろうと思う。きっと彼本人もそう思ってただろう。
引退後は、同じ病気で苦しむ人や、生きることがしんどい人たちに少しでも元気をだしてもらえたらと講演等をおこない第二の人生を歩んでいた横田選手を、今度は腹部と脚の痛みが襲う。
数ヶ月前の健診でまったく再発の気配が無かったのに転移していたという。
最初の手術のときは、絶対にまた野球をするという目標があったが、野球を引退して目標を失ったいま、治療がつらい、治療をやめたいと弱音を吐いた横田選手。
ずっとそばについていたお母様の言葉が力強く温かい。
乗りかかった船は途中で降りれないんだよ
最後の港で一緒に降りよう
エッセイは、再発した腫瘍が再度寛解するところまで。
そして病魔はみたび彼を襲い、横田慎太郎さんは逝ってしまった。
2023年WBCで、世界の野球ファンたちに高い評価を得た日本野球とファンたち。
初戦から決勝まで毎日興奮した。
チェコ戦は現地観戦した。
チケットが当選してから観戦当日までの数ヶ月間、WBCのことばっかり考えてた。
開幕してからは、野球好きな友達はもちろんのこと、ふだん野球を観ない友達や家族からもLINEが止まらなかった。
日本中が熱狂していた。
楽しすぎる。
野球ってほんとに素晴らしい。
心を洗われるってこういうことか、って思った。
だけどいざペナントレースが始まると、やっぱり行き過ぎた野次やファン同士の確執が始まってしまう。
シーズン後半ともなるとなおさら。
かく言う私も、最近はあれこれと腹が立ちすぎてもう試合を観れずにいた。
(パ・リーグは楽しく見れる)
なんなら贔屓チームのフロントや監督にもギャーギャー怒ったりする。
だけど。
野球を観戦できること、まして球場に観に行く元気があること、それ自体が奇跡で宝物みたいな時間なんだ。
わかってるはずのことだけど、今日、エッセイを読んで横田くんに改めて教えてもらった。
各球団が、野次や相手チームの応援歌の替え歌をやめようと働きかけてる。
昔から伝統的に歌ってる替え歌もあり、そんなの昔からだよシャレのわかんないやつ。みたいな声もある。
だけど時代はどんどん変わってる。
正直、つい笑っちゃうような替え歌もあるけど、
″◯ね◯ね″
はやっぱりやめてほしい。
せっかく球場にいても一気にいやな気分になる。
今年は横田慎太郎選手が28歳の若さで、2021年には中日の木下雄介選手が27歳の若さで帰らぬ人となってしまった。
替え歌の歌詞とは関係ないって分かってる。
でも、なんとなく頭の中でうっすらとつながってしまって私はいや。
横田選手の追悼という意味もあるけど、中日はもう今年はちょっとアレなんで、阪神応援してます。
岡田監督、言うべきことはタイムリーに言う。
選手を守る。怒るときはしっかり怒るけど、やるべきことやったら笑顔で水に流す。
いい監督ですね。
絶対AREしてほしいです。
なんだかんだ、野球はほんとにおもしろい。
誰がこんな楽しいスポーツ考えたんだ?
とまで思う。
みんながその幸せをかみしめながら、野球を観れますように。
そして、石川昂弥選手が1日も早く元気に復帰できますように。