泣き虫のシャコンヌ

ブラームスコンクールで優勝した バイオリニスト中村大地くんの演奏を聴くのは4回目。まだまだ、やんちゃでコンサートごとにムラがある。以前聞いたブラームスのトリオでは 途中迷子になり聞いてるほうがびっくり。コンチェルトでも不思議に弾いちゃう。。今日はバッハとイザイ。無伴奏のコンサート。彼の本当の音はなにか。出したい音はなんなのか。じっくりと聞かせてもらった。

最初はバッハのシャコンヌ。銘器グヮルネリデルジュスが鳴るわ鳴るわ。ストレートに音がつたわってくる。この楽器の特徴である 高音の張りと低音の深み。。先日友人が死んだばかりで そのことが頭から離れず 聞いてて涙が止まらなかった。泣き虫の、シャコンヌだ。会場が教会ということもあり残響 音と音の間で途切れる音 響く音 音の名残が気持ち良い。ただコーダのところが思ったよりも盛り上がらず そう ため息のような音で終わった。大地くんも泣き虫なのかも知れない。死にゆく人が最後に吐く息のような音の終わりだった。弱いうっすらとした音が とてもきれいだった。

次はパルティータの1番。しっかりと弾けてはいるんだけど時々やらかす。(笑)彼はこの曲あまり好きではないのだろうか。演奏にムラがかんじられる。
それが大地くんらしいところか。

イザイの1番は 僕は初めて聞くもの。音を大胆に切り取って作り出していく。建物が出来上がっていく様を見ているようですごく面白い。。彼の面目躍如かな。彼のイザイもっといろんな曲を聴いてみたいと思った。
千住真理子が来月イザイの全曲演奏を行うがどんな演奏をするだろう。大地くんの演奏と比較するのも面白いかも。ガルネリのイザイ ストラドのイザイ
同じ曲でも 違う味わい。自由にどこにでも行けるようになる 風の時代に生きる我々はそれを楽しめればと思った。。誰か真理子さんの演奏を私の代わりに楽しんでください。。

アンコールはまずタイースの瞑想曲 無伴奏の場合 ピアノの伴奏や休符なども考えなく 我が道をいく。詰まり気味になる。。いやあ その詰まり具合のすごいこと。胸をかき乱される演奏。あんな演奏始めて聴いた。でもやっぱり詰まり気味は良くない。、それはわたしにも言える。。自戒の言葉だ。

さて大地くん次はどんな音楽を教示してくれるのかな。楽しみでたまらない。だが おじさん的には楽器の値段を聞くのはあまりよろしくなかった。かなり自虐気味に話している。。そう彼の楽器はガルネリデルジュス イエスのガルネリ。音楽という イエスという 十字架を背負って 死ぬまで苦しんでくれ (笑)


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