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いけばな歳時記 キク

 キクは8世紀頃中国から日本に伝来したキク科キク属の花。品種も花色も多彩で秋を代表する花でしたが、今では日が短くなると咲く性質を利用した電照栽培で、いつでも供給されています。
 いけばなでは、重陽の節句(旧暦9月9日)がキクの節句とも呼ばれ、チュウギク・コギクなどを数色取り混ぜた「菊一式」の立花生花がいけられてきました。上作は2020熱田神宮献花式下いけ。

     上左 コギク一種 メキシコ民芸実もの容器        
                                   上右 ソテツ・ユキヤナギ・ピンポンギク 黒掻き落とし刻線花器(常滑)

 上左 コギク一種いけ→広瀬テキスト75p
 上右 2013年いけばなスペースパフォーマンスの一作→広瀬テキスト98p
 キク
花持ちが良い一方、置いておくと葉が傷んで黒くなりがちです。
 いけばなでは、葉に切れ込みのある本ギクに対して、へら状の葉アスター系を区別し、本ギクでは葉の整理(葉をいける)が重視されて来ました。アスター系では葉を取ってしまう扱いも一般的です。

    上左 ノブドウ・サンザシ・イトギク・アルミニウム線 青磁投入花器(広瀬典丈)  
    上右 ユキヤナギ・アルミワイヤ・ピンポンギク・ドラセナ 鉄絵焼き締め花器(常滑)

 上左 支えにアルミニウム線を使いノブドウサンザシキクを合わせています。→広瀬テキスト75p。特に茎の太いキク根たたきすると折れやすく、ちぎれてしまうこともあります。キクの矯めには茎の芯部分に18番ほどの直番線を入れて、二つのペンチ直近を挟んで曲げる方法もあります。
 上右 2013年いけばなスペースパフォーマンスの一作→広瀬テキスト98p


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