ステップ5 ネームを描く 前編
皆さんこんにちは!専門学校でマンガ講師をやってますMR.ヒデちゃんです。
いよいよ考えたストーリーを作画する【ネーム】のステップにきました。
ここからは【絵】を描く工程です。描きたくてウズウズしている皆さん、大変お待たせしました!
ただ今ステップはお伝えする事が多いかと思うので、“前編・後編”で記事を制作しています。
まずはタイトルの【ネーム】ですが、“マンガ作画する前のラフ”のようなもので画面上に“コマ割り、キャラの配置、セリフ”などを簡単に入れてみる工程です。
そんないろいろ言われてしまうと、少しかしこまってしまいそうですが、また細かく項目を追って学んでいきましょう!
今まで考えていた文字だけのストーリーが“マンガっぽく”なってきて、ワクワクしてきますよ。
では早速始めていきましょう!
〈下準備〉
まずネームは“ラフに描くもの”なので、たくさん描いたり消したり、切ったり貼ったりやり直すことがあったりします。
アナログで描いている方は、方眼ノートや、ルーズリーフ、市販のマンガネーム用紙など、とりあえず“たくさん紙”を用意してそれにシャーペンや鉛筆などでガシガシ描いていきます。
デジタルではCLIP STUDIO PAINT EXを使用して新規でマンガ原稿用紙を作成して、レイヤーをたくさん作って描いていきましょう!
〈ネームの描き方〉
まず目指すゴールは、
“プロットで書いたシーンを、コマに割って描き出す”
これが無意識に出来るようになる事です。
イメージしやすいのが、映画のフィルムを必要な部分だけ切って、それを紙に大きさを変えたりしながら並べる感じです。
「いやいや、そんな簡単に言われましても…」で、リアクション大丈夫です!実はこれ複数の事同時にをやっていて、
①プロットのシーンを【絵コンテ】にする作業
②切り取ったシーンの【何を伝えたいか決める】作業
③視線の流れに沿って、【コマを配置】する作業
という作業をやっています。そりゃ難しい!!なので1つ1つやっていきましょう!
〈①シーンを絵コンテにする〉
先ほど映画のフィルムとたとえましたが、皆さんはプロットを作っている最中、頭に浮かんだシーン・映像がたくさんあるかと思います。
それをまずは“絵コンテ”のように同じ大きさのコマを縦に連ねて、図1のように時系列順に描いてみて下さい。
図1
あ、上手に描く必要はありませんよ。
あくまでもラフなので、ここでは“キャラクターが誰か”、“場所”、“セリフ”がわかるぐらいの作画で大丈夫です。
“1Pあたりおおよそ5〜7コマが平均”なので、どのシーンを入れるかを取捨選択しつつ、ページを区切ってみましょう!
〈②何を伝えたいか決める〉
プロのマンガは、どのページも【ページの役割】があって
ちゃんと計算されて作られていたりします。
各ページで“何を伝えたいのか”がはっきり決まっていて、それを伝えるためにシーンやコマ割りを決めているんですね。
なので、ここではその【ページの役割】を決めていきましょう。
ちなみにマンガのページは“左右”で作画するのですが、“右閉じ左始まり”がルールになります。
1ページ目は左側に描き、2ページ目は右側に描く、【奇数ページが左側】で、【偶数ページが右側】と覚えてもらえればと思います。
その順番で各ページ毎に役割を決めるのですが、注意するポイントは、欲張ってたくさんシーンを入れすぎないようにする事。
入れすぎてしまうと伝えたい事がぼやけてしまうので、【ページの役割】はシンプルに“1ページにつき1つ”に絞ってわかりやすさを優先しましょう!
図2のように、慣れるまで各ページごとに割り振るのもありです!
図2
〈③コマを配置する〉
【ページの役割】を決めたら、次はコマの配置になります!
図3
図3のようにコマ割りは、“3段分割”で作られている事が多いです。そこに絵コンテのコマ達を配置するんですが、
その際に、
・視線の流れ
・コマのサイズと形
を意識して配置をしていきます。
“視線の流れ”とは、読者がマンガを読む際に図のように、【“右から左”そして“上から下”】という順番でページを読む事をいいます。
それに合わせてコマを配置するんですが、どのコマも大きさが同じでは、印象に残りません…。
なので次は“コマのサイズや形”を変化させていきます。変化させる基準は【②ページの役割】に沿って、図4のように優先度が高いコマを大きくしながら、相手に伝わるように変形していきましょう。
図4
先ほどコマ割の基本は“3段分割”と言いましたが、あくまで基本なので、視線の流れさえ守っていれば、“4段になっても”、“縦に2段コマを割る”のも全然アリです!
以上3つの手順をぜひとも試して、ネームを切っていきましょう!
〈カメラワーク〉
実際にネーム作ってみると、「なんかネームが代わり映えしない…」
そういった悩みが出てくることがあります。
学生からもよくある相談で、持ってきたネームを読んでみるとほとんどのページが“顔マンガ”になっている…。
“顔マンガ”とは、どのコマもキャラクター達のバストアップとセリフしか描かれておらず“どこで何をしているか?”が全くわからない、画面映えしない単調なマンガの事を指します。
映画やアニメもそうですが、延々とキャラクター達の顔だけ映ってて、ただ喋っている作品は見ていて辛いだけです。
マンガも、映画やアニメと同じで、空間を描くエンタメなので、
カメラワークを意識した作画をする事で、“臨場感”や“画面のメリハリ”が効いて、読者を楽しませる事が出来ます。
“カメラワーク”は映像業界の用語で、マンガで使えそうなテクニックとしては、
【ズームイン】
【ズームアウト】
【アオリ】
【フカン】
の4つのテクニックに絞ります。
以上を使い分けていくだけで、単調な画面に動きを作る事が出来ます。
カメラワークはそれぞれに効果があるので、伝えたい事に合わせて、使っていきましょう!
【ズームイン】…何かを目立たせる効果
【ズームアウト】…周辺の状況を把握させる効果
【アオリ】…迫力を出す効果
【フカン】…客観的な目線にする効果
図6で同じシーンをカメラワークとコマ割りだけ変更してみたものです。
図6
これだけでより見やすくマンガっぽくなりましたね!
〈ページ数の注意点〉
「さてネーム描くぞ!」と早速描き始める前に、お伝えしておきたい事があります。
それは【少ないページ数】から始める事…!
いきなり最初から多いページ数を描くと、慣れてないこともあって完成しない事が多いです。
料理でもいきなり手の込んだ料理を作れないのと同じ事で、最初は簡単なページ数からチャレンジする事をおすすめします。
【完成する】事がとても大切なんです。まずは“4P、8P”と少ないページ数で良いので描きたい1シーンとかを作画していきましょう!
そして少ないページをクリアできるようになったら、徐々にページ数を上げて、大作を作っていきましょう!
〈前編の最後に〉
いかがでしたでしょうか?前編ではネームの基本的な部分だけを
お伝えしました。
ネームを描く作業は、イラストレーター兼、グラフィックデザイナー兼、映画監督というさまざまなクリエイター視点で、複雑なスキルを駆使して作られています。
ストーリーの面で言えば、脚本家、演出家、俳優業も兼任していますしね。マンガ家という職業が【複合芸術】と呼ばれるのも納得かと思います。
ネームが完成したら、是非とも思いっきり自分を褒めて下さいね!
さて後編では、
〈構図と視線誘導〉
〈時間経過と場面転換〉
〈めくり〉
〈ネームに詰まったら〉
について少し詳細に踏み込んでお伝え出来ればと思っております!それでは「後編へ続く!」
〈添削のご依頼受けてます!〉
「作品のアドバイスが欲しい!」
「描いてみたけど面白いか分からない!」
「自分に向いているジャンルを知りたい!」
…etc
ぜひとも、そんな方々に向けて自分の知識が経験が役に立てばと思い、作品の添削依頼を受けております。
【有償】ではございますが、もしご興味あれば詳しくはこちら→“Xアカウント”からご気軽にお声掛け下さい!