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ウルトラマンヴァルキリー【第14話 残虐ナ遊戯(前篇)】

MAGは今、突如現れた謎の巨大隕石に悩まされていた。
と、言うのもこの隕石は奇妙なことに宙に浮いているのである。
マコト「うーむ…どうしたものか」
ケンジ「無理に刺激すると何かが起こる可能性がありますし、どう対処したものか…」
メイ「でも、生命反応はありません。ここは早急に破壊した方が…」
マコト「いや、破壊したら周囲に影響を及ぼす可能性がある…」
サトシ「でも隊長、この隕石気味が悪いですぜ。まるでピエロの顔面みてぇだ。」
そこへヤエが挙手する。
ヤエ「隊長、ここは破壊しましょう。仮に何か起きた際には、私がウルトラマンになり対処します。」
ツトムが立ち上がる
ツトム「よっしゃあ!やってやりましょう!」
マコト「…わかった。これより、隕石の破壊作戦を開始する!メイは政府に連絡して周囲に避難勧告を出せ、ヤエは現場に向かってくれ。残りはバスターホークで出現する!」
一同「了解!」
謎の隕石の破壊作戦が開始された。



宙にぷかぷかと浮かぶ隕石の元にバスターホークがやってくる。地上ではヤエが市民を非難させていた。
ケンジ「想定範囲5mの避難が完了した模様です。」
マコト「よし、E100爆弾を装填せよ」
サトシ「了解!」
バスターホークにE100爆弾が装填される。
実はこのE100爆弾、隕石が地球へ接近していることがわかった時にアメリカから緊急で送られてきたものである。
ツトム「E100爆弾の射程範囲内、爆風圏外に接近!」
マコト「(撃)てっ!」
E100爆弾のトリガーが押された。それと同時にE100爆弾を搭載したミサイルが隕石に向かって発射される。
着弾と同時に凄まじい爆風と同時に隕石の破片が飛び散る。バスターホークは華麗に破片を避けた。
ツトム「よっしゃあ!任務完了…」
バスターホークが帰還しようとしたその時
「ヒッヒッヒ…開けちゃったネ!」
どこからともなく甲高い声が聞こえる
「ヒッヒッヒ!ヒッヒッヒ!僕のショオが始まろうとしてるネ!」
その声の主は、大きなピエロの顔面をした怪物だった!

凶怪人 マットピエロ

ヤエ「お出ましね…」
ヤエは空を見上げる。逃げ惑う市民を背に、ヴァルキリーアームを装着する。

シュワァー…

マットピエロ「ヒッヒッヒ…お客かナ?お客かナ?」
マットピエロの目の前にはウルトラマンヴァルキリーがファイティングポーズで構えてる。
マットピエロの背からは複数の白い手が出てくる。
マットピエロ「ヒッヒッヒ!ヒッヒッヒ!ショオが一段と楽しくなるネ!」
マットピエロの不気味な笑いと共に複数の手が拍手する。
マットピエロ「さァ!楽しい楽しいショオの始まりサ!」
ウルトラマンはヴァルキウムショットで牽制する。しかし弾幕は手が掴み、握り潰す様にかき消した。
その後ろからバスターホークのミサイルがマットピエロの本体に直撃する。
マットピエロ「どこかナ?どこかナ?僕と遊びたーいお友達はどこかナ?」
ツトム「馬鹿野郎!誰がお前みたいな気色悪いやつと友達になったんだ!」
バスターホークは大きく旋回するとまたミサイルを発射、見事顔面に命中させた。
マットピエロ「見つけたヨ!見つけたヨ!お友達を見つけたヨ!」
バスターホークに手を伸ばす。バスターホークは華麗に回避する。
マットピエロ「ヒッヒッヒ!君は追いかけっこが得意なんだネ!」
その後ろから無数の手をかわしたウルトラマンが本体目掛けてドロップキックを決めた。本体はボールの様に吹っ飛ぶ。
マットピエロ「おっとおっと、乱暴はダメだヨ?それとも僕と一緒に遊びたいのかナ?」
マットピエロは体勢を立て直す。
マットピエロ「いいヨ!いいヨ!遊んであげるヨ!」
マットピエロはウルトラマンに狙いを定めると、手から火の輪を取り出し、フリスビーのように投げた。
ウルトラマンは顔に近づく火の輪をしゃがんで避ける。その間にも火の輪は次々と繰り出される。ウルトラマンはヴァルキリーカリバーを展開して、火の輪を次々と弾いていった。
マットピエロ「お見事だネ!だけど…」
マットピエロは周りを見る様に促す。
マットピエロ「君の弾いた輪っかは次に人を襲うんだネェ!」
周りでは弾かれた火の輪が建物に引火して火災が発生したり、人が倒れていたりしていた。
マットピエロ「愉快だネ!愉快だネ!これぞ楽しいショオ!」
ウルトラマンはヴァルキリーカリバーをしまうと、マットピエロ目掛けて走り出した。それをマットピエロの手がまるで人形を掴む様に捕まえる。
マットピエロ「ヒッヒッヒ!君がこうしている間にも、人々は僕に捕まってるのサ!」
マットピエロ本体の周りには檻で捕えられた人々が手で吊らされている。
マットピエロはウルトラマンを空に投げると、そのまま拳でウルトラマンを地面を叩きつけた。
ウルトラマンのカラータイマーが鳴り始める。
マットピエロ「ヒッヒッヒ!ウルトラマンなんて大して強くなかったネ!こんなのでよく地球を守れたネ!」
マットピエロの手はウルトラマンの手足を掴み、宙に浮かす。
マコト「やめろ!」
そこへバスターホークのミサイルが本体に命中する。
マコト「ウルトラマンは、お前が言う非力な存在じゃない!俺たち人間と協力しているから強い存在なんだ!」
バスターホークからは次々とミサイルが発射される。
しかし、ビクともしない。
ケンジ「隊長!ミサイルの残り弾数がありません!」
マコト「それがなんだ!なんとしてでもウルトラマンを助けるんだ!」
バスターホークは狙いをウルトラマンを掴んでいる手に定め、ミサイルを発射する。しかし、こちらもビクともしない。そして遂に、ミサイルが底をついた。
ケンジ「隊長!ミサイルがもうありません!戦闘を続行できません!」
マコト「…仕方ない、地上から攻撃を行え!」
バスターホークは地上に着陸する。

マットピエロ「さぁさぁお待ちかネ!ウルトラマンのバラバラ解体ショオの始まりさ!」
その言葉にウルトラマンや隊員達は戦慄する。
ウルトラマンはカラータイマーから光の玉を発射する。
ウルトラマン「ヤエ!君だけでも逃げろ!」
ヤエ「で、でも…」
ウルトラマン「君の命まで無くなってしまう!さぁ!」
光の玉はバスターホークに着陸した。
中からヤエが出てきた。
マコト「た、高山隊員!?」
ヤエ「ウルトラマン!なんでよ!」
ウルトラマン「それが私の選択だ!」
それと同時にウルトラマンの四肢はミシミシと音を立てる。ウルトラマンはその痛みに悶える。
ヤエ「うぉぉぉぉぉ!」
ヤエはMAGガンで手を射撃する。しかし全く怯まない。
そして、バキリと鈍い音がする。
ウルトラマンは更に悶える。
マットピエロ「楽しいネ!楽しいネ!君たち見てるかイ?君たちの希望であるウルトラマンが、残虐に痛めつけられる光景ヲ!」
隊員達はその光景に絶望し、攻撃をやめた。マットピエロの檻に囚われた人や、逃げ切った人々はその光景を見て、ただ叫ぶだけだった。
マットピエロ「ヒッヒッヒ!まだまだやるヨ!」
マットピエロの手から大きな剣が取り出される。マットピエロはその剣を大きく振りかざし、ウルトラマンの右腕を切断した。
切られた痛みに悶えることしかできないウルトラマン、悲鳴は更に響く。
次に左腕をバターを切る様に切断する。更に右足、左足も次々と切断する。切られた手足は付近にゴミの様に捨てられた。断面からは光が漏れ出てる。もはや何も抵抗できなくなったウルトラマンに、マットピエロは容赦はない。マットピエロはウルトラマンの腹に剣を突き刺す。
ウルトラマンはもっと悶える。
人々はただ立ち尽くすだけだった。今の自分たちには、奴に立ち向かう力がないからだ。
マットピエロ「さぁ、フィナーレといこうカ!」
マットピエロはウルトラマンの首を掴むと頭を90度回転させた!
ウルトラマンは遂に生き絶えた…
カラータイマーがその終焉を知らせた。マットピエロは首を捻じ切ると、その首を天に掲げた。
マットピエロ「これにてウルトラマン解体ショオはおしまいだヨ!次は人間残虐ショオの始まりサ!ショオはまだまだ続くよ!」
周辺にはウルトラマンの四肢や首、そしてヤエの目の前には剣に串刺しにされた胴体がつき刺さっていた。
ヤエが立ち尽くしていると、マットピエロの手から生成された檻に捕えられた。
マコト「高山隊員!」
宙に浮く囚われた人々はこれからショーによって殺される運命にあるのだ。希望であるウルトラマンが殺され、人々が立ち尽し、絶望する中、マットピエロの笑い声だけが響いたのだった…

続く

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