ワンダーワールド 第二幕「山頂の小さな街」
木々が生い茂る山の中をスーパーカブが走っていく。この先の山を越えれば、新たな世界が見えるのだ。光指す先を駆け抜けると、コンクリートでできた建物達が姿を現す。山頂にたつ、小さな街だ。
この街は不思議なくらい、私たちが住んでいる街に似ている。アリスの前世の記憶に近い光景だ。アリスは昼食がてら近くの飲食店に寄った。メニュー表を眺めて、ひとつ注文をした。
数分後、目の前に出てきたのは大きなハンバーガーである。アリスはハンバーガーを頬張る。バンズの柔らかさ、肉のジューシーさ…実に美味しいハンバーガーだった。
アリスは店を出ると、バイクを発進させた。住宅地を駆け抜ける、そこには色々な家族のかたちがみえた。
最後に家族に会ったのはいつだったのだろうか、家族は元気にしているのだろうか?前世のことを考えてしまう。
走っていると、煎餅屋とすれ違った。
アリスはバイクを停める。前世では、煎餅が大好きだった。いつも友達が煎餅を買っていた。そんなことを思い出しつつ、アリスは煎餅を購入した。
夕方、住宅地を駆け抜けた先にある丘の公園で、アリスは夕日を眺めていた。山を超えた先には海原が見える。今度はあの海原を目指そうと決意する。
アリスはバイクに戻り、今度は宿を探しに向かった。
日が傾き出した頃、ようやく宿を見つける事ができた。この街の宿はコンテナのようだった。アリスは代金を支払い、コンテナの中に入った。コンテナの中は生活用品が揃っていた。アリスは荷物を置くと、コンテナを出て、夜の街を徘徊することにした。
明るい光が散りばめられている街を歩く。ポップコーン、車、劇場、クレーンゲーム…目に映るものはどこかの都市のようだ。夜の街の光景を記憶の中に刻めると、アリスはコンテナに戻った。
翌朝
アリスは身支度をして、コンテナを出ると、バイクに乗って街を出て行った。
次の行き先は、あの海原だ
続く