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【医学生・研修医のための実践的症例学習】急性胃粘膜病変(AGML):多彩な症状から学ぶ診断アプローチ

はじめに

急性胃粘膜病変(AGML)は、様々なストレス因子により急性に発症する胃粘膜障害です。時に重篤な出血を来すことがあり、適切な診断と治療が求められます。本稿では、異なる背景で発症した3つの症例を通じて、本疾患の診断・治療アプローチについて実践的に学んでいきましょう。


1,疾患概要

AGMLは、重症疾患、大手術、重度の外傷、薬剤など様々なストレス因子により発症する急性胃粘膜障害です。粘膜防御機構の破綻と胃酸分泌の不均衡が主な病態とされています。

2,症例提示

医師:「どうされましたか?」

患者:「今朝から真っ黒い便が出て...」

医師:「他に症状はありますか?」

患者:「めまいと立ちくらみがあって。実は先週から腰痛で痛み止めを多めに飲んでいて...」

医師:「どのような痛み止めを使用されていましたか?」

患者:「市販のロキソニンを1日3回、時々2錠ずつ飲んでいました。」

医師:「胃薬は一緒に飲んでいましたか?」

患者:「いいえ、痛み止めだけです。」

【症例】
45歳、男性
主訴:黒色便、めまい
既往歴:特記事項なし
内服歴:ロキソニン®(NSAIDs)多量内服

身体所見:
身長 172cm、体重 65kg
バイタルサイン:血圧 92/58mmHg、脈拍 108/分、体温 36.8℃
眼瞼結膜:貧血あり
腹部:心窩部に軽度圧痛あり、反跳痛なし
直腸診:黒色便付着

【設問】
Q1. この時点で考えるべき鑑別診断を3つ挙げ、その理由を説明してください。

Q2. 次に行うべき問診項目を3つ挙げてください。

Q3. 診断確定のために行うべき検査とその所見について述べてください。

Q4. 最も考えられる疾患について、以下の説明文を患者向けに分かりやすく完成させてください。
「〇〇という病気が考えられます。この病気は...」

3,症例問題の解き方

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