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【医学生・研修医のための実践的症例学習】食道憩室:多彩な症状から学ぶ診断アプローチ
はじめに
食道憩室は食道壁の一部が嚢状に突出する比較的稀な疾患です。発生部位や成因により様々な病態を呈し、時に重篤な合併症を引き起こすことがあります。本稿では、異なる病態で発見された3つの症例を通じて、本疾患の診断・治療アプローチについて実践的に学んでいきましょう。
1,疾患概要
食道憩室は発生部位により咽頭食道憩室(Zenker憩室)、中部食道憩室、下部食道憩室に分類されます。また、真性憩室と仮性憩室があり、それぞれ治療方針が異なります。
2,症例提示
医師:「どのようなお困りごとでしょうか?」
患者:「食事の時にむせやすくて。特に最近ひどくなってきました。」
医師:「それはいつ頃からですか?」
患者:「半年くらい前からです。朝起きた時に枕が濡れていることもあって...」
医師:「食べ物は飲み込みやすいですか?」
患者:「最初は大丈夫なんですが、途中から喉に引っかかる感じがして。時々食べたものが戻ってくることもあります。」
医師:「夜間に咳込むことはありますか?」
患者:「はい、よく咳で目が覚めます。」
【症例】
72歳、男性
主訴:嚥下困難、むせ
既往歴:高血圧症
生活歴:喫煙歴なし、機会飲酒
身体所見:
身長 165cm、体重 58kg(3ヶ月で-2kg)
バイタルサイン:特記すべき異常なし
頸部:腫瘤触知せず
胸部:呼吸音清明
【設問】
Q1. この時点で考えるべき鑑別診断を3つ挙げ、その理由を説明してください。
Q2. 次に行うべき問診項目を3つ挙げてください。
Q3. 診断確定のために行うべき検査とその所見について述べてください。
Q4. 最も考えられる疾患について、以下の説明文を患者向けに分かりやすく完成させてください。
「〇〇という病気が考えられます。この病気は...」
3,症例問題の解き方
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