見出し画像

【医学生・研修医のための実践的症例学習】食道・胃静脈瘤:多彩な症状から学ぶ診断アプローチ

はじめに

食道・胃静脈瘤は門脈圧亢進症に伴う重要な合併症で、破裂による出血は生命を脅かす緊急疾患です。本稿では、異なる病態で発見された3つの症例を通じて、本疾患の診断・治療アプローチについて実践的に学んでいきましょう。

1,疾患概要

食道・胃静脈瘤は門脈圧亢進症により側副血行路として発達した静脈の異常拡張です。主にC型肝炎やアルコール性肝硬変に伴って発症し、破裂すると大量出血をきたす可能性があります。

2,症例提示

医師:「どうされましたか?」

患者:「今朝、真っ黒な血を吐いて...」

医師:「どのくらいの量でしたか?」

患者:「コップ1杯分くらいです。その後も気持ち悪くて...」

医師:「肝臓の病気は指摘されていますか?」

患者:「C型肝炎で通院していて、最近は腹水が溜まりやすいと言われています。」

医師:「お酒は飲まれますか?」

患者:「昔は毎日飲んでいましたが、肝臓が悪いと言われてからは禁酒しています。」

【症例】
62歳、男性
主訴:吐血
既往歴:C型肝炎、肝硬変(Child-Pugh B)
生活歴:飲酒歴あり(20年前まで日本酒3合/日)、喫煙なし

身体所見:
身長 168cm、体重 65kg
バイタルサイン:血圧 92/58mmHg、脈拍 112/分、体温 36.8℃
眼瞼結膜:貧血あり
腹部:軽度膨満、腹水あり、脾腫あり
四肢:手掌紅斑あり、下腿浮腫あり

【設問】
Q1. この時点で考えるべき鑑別診断を3つ挙げ、その理由を説明してください。

Q2. 次に行うべき問診項目を3つ挙げてください。

Q3. 診断確定のために行うべき検査とその所見について述べてください。

Q4. 最も考えられる疾患について、以下の説明文を患者向けに分かりやすく完成させてください。
「〇〇という病気が考えられます。この病気は...」

3,症例問題の解き方

ここから先は

2,175字

¥ 300

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?