【医学生・研修医のための実践的症例学習】Mallory-Weiss症候群：多彩な症状から学ぶ診断アプローチ

はじめに

Mallory-Weiss症候群は、激しい嘔吐に伴う食道胃接合部の粘膜裂創により出血を来す疾患です。本稿では、異なる背景を持つ3つの症例を通じて、本疾患の診断・治療アプローチについて実践的に学んでいきましょう。

１，疾患概要

Mallory-Weiss症候群は、急激な嘔吐や咳嗽による腹圧上昇により、食道胃接合部に縦走する粘膜裂創を生じる疾患です。上部消化管出血の原因の5-15%を占めるとされています。

２，症例提示

医師：「どうされましたか？」

患者：「昨晩から吐き気が続いて、今朝、真っ赤な血を吐いて...」

医師：「どのくらいの量の血を吐きましたか？」

患者：「コップ半分くらいです。昨日は職場の飲み会があって、かなり飲んでしまって...」

医師：「吐き気は飲酒後いつ頃から始まりましたか？」

患者：「深夜から何度も吐いていて、今朝方に血が混ざるようになりました。」

医師：「普段からお酒は飲まれますか？」

患者：「週に2-3回程度です。こんなに吐いたのは初めてです。」

【症例】
35歳、男性
主訴：吐血
既往歴：特記事項なし
生活歴：機会飲酒、喫煙10本/日×15年

身体所見：
身長 170cm、体重 65kg
バイタルサイン：血圧 112/70mmHg、脈拍 96/分、体温 36.8℃
眼瞼結膜：軽度貧血様
腹部：心窩部に軽度圧痛あり、反跳痛なし

【設問】
Q1. この時点で考えるべき鑑別診断を3つ挙げ、その理由を説明してください。

Q2. 次に行うべき問診項目を3つ挙げてください。

Q3. 診断確定のために行うべき検査とその所見について述べてください。

Q4. 最も考えられる疾患について、以下の説明文を患者向けに分かりやすく完成させてください。
「〇〇という病気が考えられます。この病気は...」

３，症例問題の解き方