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【医学生・研修医のための実践的症例学習】食道癌:多彩な症状から学ぶ診断アプローチ

はじめに

食道癌は予後不良な消化器癌の一つですが、早期発見・適切な治療により治癒が期待できる疾患です。本稿では、異なる病期で発見された3つの症例を通じて、本疾患の診断・治療アプローチについて実践的に学んでいきましょう。


1,疾患概要

食道癌は食道に発生する悪性腫瘍で、扁平上皮癌が90%以上を占めます。飲酒・喫煙が主要なリスク因子とされ、進行すると嚥下困難や体重減少をきたします。

2,症例提示

医師:「どのようなお困りごとでしょうか?」

患者:「最近、食べ物がつかえやすくて...」

医師:「それはいつ頃からですか?」

患者:「3ヶ月くらい前からです。最初は固いものだけだったんですが、最近は柔らかいものでもつかえることがあって...」

医師:「体重の変化はありますか?」

患者:「この2ヶ月で4kg減りました。食事量が減ってきているので...」

医師:「お酒やタバコは吸われますか?」

患者:「毎日晩酌で日本酒を2合ほど。タバコは40年間、1日20本です。」

【症例】
65歳、男性
主訴:嚥下困難
既往歴:高血圧症
家族歴:父が胃癌

身体所見:
身長 168cm、体重 58kg(2ヶ月前 62kg)
バイタルサイン:特記すべき異常なし
頸部:表在リンパ節触知せず
胸腹部:特記すべき異常なし

【設問】
Q1. この時点で考えるべき鑑別診断を3つ挙げ、その理由を説明してください。

Q2. 次に行うべき問診項目を3つ挙げてください。

Q3. 診断確定のために行うべき検査とその所見について述べてください。

Q4. 最も考えられる疾患について、以下の説明文を患者向けに分かりやすく完成させてください。
「〇〇という病気が考えられます。この病気は...」

3,症例問題の解き方

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