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2024年虫草まとめ(前編)
昨年見つけた虫草についてのまとめと言いますか、気になったことや簡単な考察などを書いてみます。
観察できた虫草の種類は多くないので、帰省先への移動中に仕上げたかったのですが、1年分を思い出しながらとなるとそうもいきませんでした。
※文中で今年と言っているのは2024年のことです
5、6月
今年は雪が解け始める3月頃から近所の散策路に通っていました。今年初虫草が見つかったのは5月になってから。それでも道内では早いほうなのかな?
うちの地域だと5月からオオセミタケが出る場所があるようですが、私は2022年の7月に1度見たきりです。
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今年はこの散策路で1〜2cm程のサナギタケを数個体見かけました。エニワセミタは安定して出ているよう。
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近くのS山(山というより小高い場所にある散策路)にはギベルラの一種と思われるクモ生虫草の坪があり、今年も多数見つかりました。
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地上に5mm程出ていたアワフキムシタケと思われるもの。ボロボロの宿主と黒くなった古そうな柄から新しい子実体が出ており、越年性あるの??となりました。
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A山では昨年同様、朽木からハスノミマユタケもしくはフトクビクチキムシタケに類似したハスノミ型の虫草が複数個体出ていました。
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昨年から3〜4個体程掘り出してみているのですが、結実部と宿主を繋ぐ部分は数mm程。宿主を覆っているのは繭ではなくおそらく菌糸。問題の宿主は1cm弱と小さくボロボロになっていることが多いのと、私が虫に詳しくないので調べても甲虫なのか蛾なのか判断がつかず。ハスノミマユタケなのかフトクビクチキムシタケなのか分からないままなのです。分かる方がいたらご教示ください。
7月
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A山ではサビイロクビオレタケをよく見かけます(と思っていた)。ある時普段見かけない場所から出ている個体があり、何となく気になって掘り出してみたのですが…宿主がキアブ幼虫じゃない!?
宿主違いかなと思いTwitterにあげたところ、アシグロクビオレタケではないかとのご意見をいただきました。しかしながら、子実体の外見では私には違いが分からず…。
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ところが翌週、少し離れた場所でまたクビオレ型の虫草を発見。2本出ているうちの片方が黒っぽく、どう見てもサビイロではありません。あまり掘り過ぎるのも嫌でしばらく放置していたのですが、やはり気になるので掘り出してみたところ、こちらもコメツキムシの幼虫生。
柄は5cm程と長く黒ずんでおり、7/6に見つけたものと合わせてアシグロクビオレタケかな?という結論に至りました。
何となくアレ?と思った時は、やはり宿主を確認してみるべきですね。
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うごめ紀さんのYouTube動画内で、Tsukuruさんが赤きょう病菌とコナサナギタケ、ハナサナギタケ辺りの違いを説明しているのを聞いて興味を持ったものの、いや絶対見ても分からんわと思っていました。しかし写真の個体は明らかに紫みを帯びていて、一見してこれが赤きょう病菌か!となりました。違うかもしれませんが…
8月
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地域のきのこ観察会にて、マヤサンエツキムシタケ(エゾコガネムシタケ)と思われる虫草を採取。発見時は太めのハチタケかなと思いましたが、少し掘ってみると全く違っていました(結実部がそもそも違うのですが…)。地下部は細根状であえなくギロチンしてしまったのですが、宿主と思われるものはしっかり回収!
ひしゃげた袋状と思っていたのですが、よく見ると甲虫の幼虫か?ボロボロですが外骨格が見えます。
これ地質が非常に柔らかい場所だったので1〜2分程でささっと掘れたのですが、普通の固い地質だとすぐに千切れてしまいそうですね。
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A山のサビイロやアシグロクビオレタケが出る場所の近くにある朽木から出ていた不明虫草。赤みが強いのでサビイロかなと思っていましたが、1月経っても子嚢殻が確認できないまま朽ちてきていました。うまく成熟しなかっただけなのか?結実部の膨れ方がサビイロっぽくないような?
子実体、宿主共に1cm前後。宿主は持ち帰ったら既に乾燥でしわしわになっており、甲虫の幼虫であろうことしか分かりませんでした。
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近所の散策路沿いで、見たことのない白いきのこが生えているなと思いちょっと掘ってみたところ、デカい宿主がゴロっと出てきたのでとても驚きました!
宿主は6cm程の太いカミキリムシの幼虫。朽木からではなく土中から出ていました。埋め戻したものの、すぐ近くに生えていた別個体とともに成熟せずに終わってしまいました。
残念でしたが、身近な環境でも見られることが分かり嬉しい発見でした!
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近くの散策路にある1本の朽木から、1cm弱のヒョロっとしたストローマが7〜8本出ていました。もちろん最初は虫草と気付かず引っ張ってしまい、宿主が出てきて横転!(学ばない…)
未熟個体ばかりだったので、先端が千切れているものを採取しました。宿主は1.3cm程のコメツキムシの幼虫(Twitter上でツヤハダコメツキ属ではと教えていただいた)。
その後何度か経過観察するも変化なく、不稔のまま終わったのかと思っていました。ところが10月になり久しぶりに見てみると、残っていた2本がどうやら成熟していたよう。来シーズンは良い状態の成熟個体が見たいところです。
何だか長くなってきてしまったので、一旦ここまで。8月中旬以降は後半に続きます。