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虫から生えるきのこを探して~冬虫夏草の魅力~
所属するきのこ会の昨年度の会報に寄稿した文章を一部抜粋して掲載してみました。A4 1枚程度とされていたためざっくりとした内容になっています。(2枚になってしまったけれども…)
※これまで見つけた虫草の情報については2024.12時点のものに差し替えています。
昨年5月に入会しました○○です。もともとバードウォッチングや自然散策が趣味でしたが、冬虫夏草探しをするようになったことがきっかけできのこ全般に興味を持ち入会させていただくことになりました。
1.冬虫夏草との出会い
皆さんは「冬虫夏草」を
ご存知でしょうか?当会の方であれば知っておられる方が多いのではないかと思います。私はというと、漢方薬の材料として名前を聞いたことがあるかな?程度で実在するものかどうかも分かっていませんでした。ところが2年ほど前にとあるYoutube動画を視聴し、冬虫夏草というものが実在しており、しかも日本では何百種類も見つかっていることを知って一気に興味を持ちました。
2.冬虫夏草とは
冬虫夏草は、冬に虫だったものが夏になると草(きのこ)になる、そのような生態から名付けられた菌類の総称です。もともと「冬虫夏草」とは中国のオフィオコルディセプス・シネンシスというコウモリガの幼虫から発生するものを指したようですが、現在では虫や菌類などの宿主に感染して殺し、その栄養分を利用してきのこを生やす一部の菌類のことを指すそうです。※虫草とも呼ばれます
3.探索
さて、冬虫夏草に興味を持ったものの、きのこ探しすらしたことのない私には、どこをどう探せばいいのかさっぱり…。そもそも初心者が自力で見つけられるものなのか?と半信半疑ながら、鳥見で行きつけの散策路で湿っぽく苔むしていそうな場所をチラチラ見て歩くこと数か月。図鑑やインターネットでよく見かける「ハナサナギタケ」によく似た白いフワフワとしたきのこを発見!!しかし地上の子実体部分だけでははっきりしないため地下の宿主を掘ってみると、果たして土に覆われた小さな楕円状の物が見つかったのです。それでもただの土の塊かもしれないと確信が持てず、持ち帰ってクリーニングし楕円の中身を確認。するとやはり蛾の蛹らしきものが現れ、ようやく冬虫夏草・ハナサナギタケの初発見となりました。
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その後は徐々にコツを掴んできたのかチラホラと見つかるように。下記の一覧は、2022~2024年に私が見つけた冬虫夏草です。
※初心者が図鑑やインターネット、SNSを参考にして肉眼的形態のみから同定したものですので、種名は不正確である可能性があります。
※並びは発見順
ボーベリアの一種
ギベルラの一種
ハナサナギタケ
ツツナガオオセミタケ
クモタケ(京都府)
セミタケ(京都府)
カメムシタケ
ツブノセミタケ
ガヤドリナガミノツブタケ(道内)
オサムシタケ
エニワセミタケ
コナサナギタケ
サビイロクビオレタケ
ウスアカシャクトリムシタケ
サナギタケ
ハスノミマユタケ又はフトクビクチキムシタケ?
ハチタケ
アワフキムシタケ
セミノハリセンボン(京都府)
アシグロクビオレタケ
マユダマヤドリバエタケ
アブラゼミタケ??
マヤサンエツキムシタケ
テッポウムシタケ?
クチキツトノミタケ?
アリヤドリタンポタケ?(道内)
イトヒキミジンアリタケ?(道内)
ムラサキクビオレタケ(道内)
クチキムシツブタケ(道内)
コクーニハビツス属菌(道内)
ハナヤスリタケ(道内)
陸生ホタル幼虫生アナモルフ(道内)
全32種類
※()内は発見地になります。記載のないものは全て市内で見つけたものです。
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自宅から歩いて数分の身近な環境でも見つけることができる冬虫夏草ですが、やはり色んな種類を探すとなると自然度の高い環境が求められるようです。また湿度も重要ですので、沢沿いや湖沼の近くを探索したいところでもあります。しかし北海道はヒグマの生息地であり、近年はこれまで見られなかったような市街地近くまで頻繁に出没するようになっています。そのため一人で山へ行き、しゃがみこんで地面を探索するというのは危険な行為ですし、なかなか勇気がいります。ヒグマを気にせずもっと自然度の高い湿気た場所で探索できたらなあと思いますが、昨今の熊害のニュースを見ると自重するしかなく残念なところです。
4.冬虫夏草の魅力
何となく冬虫夏草に興味を持った私ですが、改めて冬虫夏草の魅力は?と考えてみると“自分にとって未知の生物だから”かもしれません。実在することさえ知らなかったものが近所の散策路でも探せば見つかる存在だったという驚きもあります。また、自分が見知った虫からきのこがにょきにょき生えているという形態の面白さ、カッコ良さも魅力なのでしょう。
〜略〜
薄暗い地面や朽木から小さく顔を覗かせた冬虫夏草を見つける喜び、宝探しのようなワクワク感を味わうべく今年も地道に探索に出かけようと思います。興味のある方はぜひご一緒しましょう!