海の思い出
暑くてぼーっとします。
汗でべたべたになったまま椅子にすわってぼんやりしていたら、ふと昔のことを思い出しました。
私は海のすぐ前のマンションに住んでいたことがありました。そこは駅から徒歩で30分もかかるし、最寄駅からバスもでていないような人の少ない地域でした。マンションの持ち主は他県に住んでたし、管理会社は隣の駅で遠い。そのせいか、素人目に見ても管理がずさんだった。
だから
私はよく屋上に無断で出入りしていた。立ち入り禁止ということになっていたけど、鍵が壊れてたからね。入れるんです。
夜にそこへ行くと別世界。
真っ白の月に、夜のおだやかな海原が照らされて幻想的な景色が広がる。ざーん、ざーんという波音が途切れることなく響く。
もう、時間なんて関係なくなって、ずっと眺めてしまう。それくらい美しい景色でした。
波のひとつひとつに白い光が反射して、月の下に白い光の道ができるんです。言葉にならない美しさでした。
そのちょっと面白いマンションは持ち主が差し押さえされて、いろんなことが面倒になってしまったので引っ越したんだけれど、なんだかんだと楽しい思い出がありました。今はどうなっているかわかりません。
なつかしい昔話でした。