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ツインズクラウド4

公園最寄りのコンビニにはお目当てのグミが大量にあり、胡桃の分のほかにいくつか買っておいた。単純に美味しいからだ。鳴美は袋を提げて小走りで歩道橋の前にやってきた。駐車場は道路の向かい側にあるのだ。
「わぁあっ!」
ふいに小さく男性の叫び声が聞こえて鳴美は顔を上げた。誰かが歩道橋の階段の上から落ちてくるところだった。歩道橋の上を立ち去る黒いコートを着た人影が見えた。
「危ない!落ちないでぇ!」
鳴美は叫んだ。すると周囲の空気がぐにゃりと曲がるような気持ちの悪い感覚がした。
落ちてくる人の体が地面すれすれの宙に数秒ふわふわと浮き
「大丈夫?」
鳴美が駆け寄ってきたところで、ドサッと地面に着地した。
「ってえ…」
グレーのパーカーにジーンズの鳴美と同じ年くらいに見える少年だった。
「んん?」
なんで痛くないんだ?と言いたそうに少年は体を起こすとお腹や背中を触って確認している。
「あのぉ…大丈夫?」
目の前で起きた物理的な違和感を気にせず、鳴海はしゃがんで顔を覗き込んだ。
「…う…はい…」
少年はあわてて立ち上がった。
「…追いかけられてるの?」
鳴美はこそっと小さな声で聞いた。
「そっ…えっと…」
少年はパニックやら緊張やら恥ずかしさもろもろで、まったく説明できなかった。
「…何でもないんだ…」
少年は立ち去ろうと歩きだしたが、足首に痛みが走った。たまらずによろける。
「えええっ?大丈夫じゃないじゃん!…」
鳴美はあわてて少年を支えた。いくらか少年の方が身長が低かったからギリギリ持ちこたえた。
「ごめ…」
「大丈夫じゃないから、手当しよう!」
「おっ、おおっ?」
鳴美は少年を無理やりおんぶすると車にダッシュした。

その様子を離れた建物の影から黒いコートを着た男性が見ていた。


※最初に投稿した時に
ボツにした文章が下部に掲載されてしまっていました。
すみません(;'∀')
ちゃんと消したので、よろしくおねがいします。









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