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ツインズクラウド2

鳴美と胡桃は幼い頃、両親の仕事の関係で子供服のモデルとして活動していたことがあった。新作が発表されるイベントの時にお手伝いという形で参加していたのだ。広告に出ていた時期もあったが、ある時を境にメディアに登場することはなくなった。かろうじて、イベントの時だけお手伝いで参加することはあったが、二人同時に出ることはなかった。それにはきっかけがある。

ふたりが誘拐されそうになるという事件があったのだ。
犯人はふたりのファンの主婦だった。snsをよくチェックしていて新作が出るとかならずイベントに来てくれていたという。動機はキラキラと輝くふたりを欲しいと思ったらしい。よく応援のコメントやダイレクトメールが来ていたし、現場まで来て花束をくれることもあったというから、この主婦が犯人だと分かった時、両親は驚愕したという。
当時ふたりはまだ幼稚園児だったので、すぐに周囲が気づいて何事もなく救出できたし、主婦も逮捕されて法的には解決となったがふたりの心には大きな影を落とす事件だった。

おかげでふたりはすっかり人間不信になってしまった。そしてたいへん用心深くなった。とくに大人の女性に対しては不信感を強く感じてしまうというトラウマになった。だから、事件の原因となった仕事を続ける両親を、理解できるけれどイヤだという感情がぬぐえない部分がある。

さらにその事件の後からいくつかの不思議な能力が発動してしまった。そのひとつがふたりの頭の中で意識が繋がれるというものだ。はじめて知った時はふたりとも驚きつつも楽しくてやたら力をつかって遊んでいたが、次第にその力を隠すようになった。楽しいというよりも怖かったからだ。だから友達も両親もふたりの不思議な能力については知らない。そんなこんなで、ふたりは十二才になった。小学六年生だ。

なにがなんだかわからないまま日々の暮らしは流れてゆく。今日も新作イベントだ。最近は胡桃が手伝いを嫌がるので鳴美だけが連れていかれる。でも、これでいいと胡桃は思っていた。鳴美をサポートできるし、一見大人しそうに見えるのだが、鳴美は好奇心旺盛で活発な性格だからこの仕事に向いていると胡桃も思っていた。


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