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工房もくもくです!

こんにちは。福島県相馬市にある工房もくもくは、このたびnoteをはじめました。

仲間たちのはた織り機や色とりどりの糸、商品化を待つ布たち。

これから、工房もくもくの所長やスタッフが日々の出来事や伝えたいことなどを発信していきます。

今回は、「工房もくもく」やその母体であるNPO法人「みんなのしあわせプロジェクト」について、広報担当がご紹介します。


1.みんなのプロジェクトについて

「みんなのしあわせプロジェクト」は、相馬市(福島県)で障がい者の支援を行なっているNPOです。
工房もくもく(就労継続支援)の運営や、福島県第一原発の周辺にある他の作業所とともに、仕事起こしについて考えたり情報発信したり、音楽や絵画などアート活動で地域の人や県外の方々ともつながりながら、障がい者支援を行なっています。

私たちが住む相馬。障がいを持つ人たちの働く場所が少ない。

はじめは、そんな思いから、福祉の現場で働く人、学校の先生、障がい者の親などに声をかけ、福祉作業所を作りました。
もともと建築関係の仕事をしていた所長の佐藤が福祉の世界へ足を踏み入れたのは、当事者家族としての思いからでした。

障がいがあっても、みんながしあわせに暮らせるような町づくりを目指し、

・家を出て生活のリズムを作ること、働くこと、
・自立して暮らすこと、そして人生を楽しむこと。

を大切にしながら活動しています。


2.工房もくもくの活動


2023年春、工房もくもくはスタートして7年目を迎えました。
所長の活動自体は、その前の自立研修所えんどう豆(親団体はひまわり会)からはじまっていますが、もくもくは1からつくった事業所で、看板もロゴも所長の手づくり。
日頃は、様々な障がいを持つ仲間たちと、はた織り、紙すき、シルク印刷、ボールペンの糸巻きなどの作業をして商品をつくっています。オンラインショップのほか、道の駅、浜の駅やイベントなどでも、相馬のお土産品として販売しています。


画像はもくもく のオンラインショップより。
工房もくもくの人気商品:一人ひとりの個性が柄に反映される「さをり織り」
相馬市、南相馬市で開催される「相馬野馬追(そうま・のまおい)」のグッズも制作しています。

2023年1月。相馬市の成人式でもくもくのグッズが記念品として新成人に配られました。はた織りの製品は量産には向かないのだけれど、みんなの作ったモノが、誰かの手に渡って喜んでもらえるのは、みんなが社会と繋がっている証だなと思って頑張りました。

近年は、新たな試みとしてもくもくマルシェを開いています。
地元の相馬の人に「工房もくもく」の存在を知ってほしい!というのが目的で、災害の時に支援の拠点となるようにも考えています。


東日本大震災の後、相馬で、大雨で川が氾濫して、避難の途中に障がい者が亡くなった。市に陳情書を提出し、対応を求めた。2019年には、立て続けに2度の床上浸水。2021年と2021年には、震度7クラスの地震が発生して、建物や道路は大きな被害を受けた。

災害時に、障がい者が死なないでほしい。(中略)

行政に任せるだけでなく、自分たちで作っていく防災もあるのではないか?と思うようになった

2011年9月から続いている所長のブログ「つながり∞ふくしま日記」より

また、もくもくでは、季節ごとにみんなでお出かけをしています。
運動不足の人が多く、人によっては、健康管理の方が仕事よりも大事かなぁと思うことがあって、体力維持を目的とした活動も強化しようと考えています。
その人のペースに合わせながら、楽しいことが増えるといいなと。


3.音楽との関わり

みんなのしあわせプロジェクトでは、2015年から「みんなのしあわせ音楽会」を開催してきました。
地元の障がい者施設で働く人たちが主役となり、プロのミュージシャンとコラボし、喜びを感じると同時に、見る人々の心にも訴える音楽会です。
参加する方、見に来て下さる方が、障がいのある人とふれあい、心のバリアフリーを実現し、みんなが支え合う相馬を作ることを目指しています。
毎回、はじめに所長の佐藤が作詞した『僕は相馬、好きだよ』をみんなで歌うのです。


2023年3月11日の「みんなのしあわせ音楽会 VOL.6」出演:工房もくもく、自立研修所えんどう豆 ゲスト:沢田(澤田)知可子・小野澤篤/堀下さゆり/エノシゴ君 協賛:フレスコキクチ、協力:モリタミュージック


音楽会で一番はじめに歌う曲。
震災の年に自分が作った歌詞は、絶望の中に希望を書いた。
ふるさとの相馬に、何ができるかを自分に問うた。
もくもくを作り、スタートしたが、水害と地震に見舞われる。
叩かれても、叩かれても、前を向いて一歩一歩。3.11に行う音楽会。
みんなに元気を届けられるかな。

所長のブログ「つながり∞ふくしま日記」より

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僕は相馬、好きだよ  (作詞/えんどう豆 佐藤定広)

1. 梅雨の開ける相馬に、旗がなびくよ
  野馬追の法螺の音、街に響くよ
  城に集う武者たち 風が騒ぐよ
  街の人は千年、守ってきたよ
  みんな思いつないで、誇りをもって
  君と暮らすこの街、守りたいんだ

  僕は相馬、好きだよ どこに居たって
 なつかしいふるさとの 温もりがする

2. 宇多の流れ 清く 松川浦へ
 うまいホッキと魚  食べにおいでよ 
 海は青く 鹿狼の 山は緑に、    
 子どもたちは遊ぶよ 自然の中で
 つらいことがあっても  諦めないで
 みんなでつくろうよ ぼくらの街を

 僕は相馬、好きだよ いつの日だって
 きっと元気な君、できるはずだよ。

3. さくら咲く馬陵の 城を歩けば
 ひばり空を高く、さえずる街よ
 冬が来て鹿狼の 山に光が
 灯る頃に君は 帰ってくるよ
 子供たちの瞳に 映る明日は
 未来見つめ 夢にあふれているよ
 
 今は君と別れて、暮らしていても 
 僕は君が好きだよ どんな時でも

 今は君がいれば、何もいらない
 いつか普通の暮らし、必ずできるよ


4.もくもくの友だち

音楽会には、これまで様々なミュージシャン、歌手のかたがゲスト参加してくださいました。
Vol.1 〈 ゲスト 〉 古謝美佐子・荒川知子とファミリーアンサンブル
Vol.2〈 ゲスト 〉 浜田真理子 ・堀下さゆり・1-GATA
Vol.3〈 ゲスト 〉 あんべ光俊
Vol.4〈 ゲスト 〉 EPO・堀下さゆり
Vol.5〈 ゲスト 〉 半崎美子・口笛太郎・堀下さゆり
Vol.6〈 ゲスト 〉 澤田知可子、小野澤篤・堀下さゆり
 
その他にも、震災以降、音楽会に限らず、遠方からもくもくを訪れ、演奏や歌のプレゼントをくださったり、何度もイベントやコンサートグッズでボールペンや缶バッジを注文してくださる方もいます。2023年のある日には、こんな素敵な出来事もありました(以下は所長ブログより抜粋)。
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くるりの岸田さんが「もくもく」を訪ねてくれました。
久々に、学生時代の友人に会ったような、懐かしい感覚。
震災直後からのお付き合いがありましたが、相馬に来るというとなぜか何度も災害(地震、コロナ)が起きてしまって、久しぶりの来福なのでした。SOMAという曲を作ってくれたり、京都音博でバッジを販売させてもらったり、友達というより恩人なのですが...。


この日は、余暇支援でカラオケの日で、もくもくからくるりの「ことことコトデン」をみんなで合唱すると、岸田さんは歌でお礼をするねと、アコギで「太陽のブルース」を本気モード歌ってくれました。みんな、感動! プロだと、福祉施設とかで歌ってもらえないことも多いのですが、みんなの思いに答える形で歌ってくれて、才能はもちろんだけど彼の人柄が大好きなんだなぁ。
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音楽とのつながりについて、2015年の所長のブログに、こんなことが書いてあります。

娘がダウン症で生まれて、親の会を作った。ダウン症について知ってもらおうと、ミュージシャンの水越けいこさんのトークとライブを企画した(えんどう豆の親団体であるひまわりの会と共催)。水越さんもまた、ダウン症の子どもがいて、ネイビーブルーのランドセルという本を出していた。

親が子どもに元気をもらうのは、障がいがあってもなくても関係ない。今、娘は17歳。時が経つのは早いなぁ。

その時、PA(音響)やイベントのことを紹介してもらったのが、相馬に1軒だけあるCD屋さんのモリタミュージックの森田さん。高校の先輩であったが、それ以後、音楽のイベントを開くことになり、お世話になっている。

所長のブログ「つながり∞ふくしま日記」より

工房もくもくや「みんなのしあわせプロジェクト」の活動は、様々な方とのつながりや支援によって続けられていますが、とくに音楽関係のことでは、相馬のCDショップ「モリタミュージック 」の店主でイベント企画などを長年手がける森田さんの存在が大きくて。


モリタミュージック では、くるりのCDや、しあわせ音楽会ゲスト出演の方々のCD通販もしています。

森田さんは台風でお店が浸水被害にあったり、感染症拡大の数年はイベントが開催できないなどご自身が大変な時でも、いつも変わらずもくもくを支え励まし、ともに歩いてくださっています。
たとえば相馬市出身のシンガーソングライター・堀下さゆりさんのCDジャケット(下の画像左)を、ご依頼を受けて、もくもくのメンバーが牛乳パックを再生した「手すき和紙」で作った時には、森田さんは自分の利益をとらずに販売されたり、またある時はマグネット(下の画像右)や、シルク印刷のトートバッグなど、お客様用のノベルティをもくもくに注文してくださったり、いつも採算度外視。
そんな活動やお人柄が伝わってか、「今回もモリタミュージックさんで買いました。応援しています!」という各地のお客さんの投稿をSNSで見かけることも多いのです。


堀下さゆり「へやおと」三部作のうち、本記事を書いている広報担当の家族が買った二枚。 右はモリタミュージック で買い物をしていただいたマグネット。

5.おわりに


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
工房もくもくは、数少ないスタッフと、両親の介護と2020と2021年の地震で全壊した実家を建て直すことに追われつつ、今後の防災のこと、みんなのしあわせや将来のことを日々考えて奮闘する所長によって運営されています。中心には、それぞれ体調不安や生きづらさを抱えつつ、笑顔でものづくりにはげみ音楽を楽しむ「なかま」たちがいます。
この記事を書いた広報担当の私は、実はもくもくのスタッフではなく東京在住の外注デザイナーで、2020年ごろから相馬名所柄のグッズやオンラインショップのデザインなどで関わっています。
もともとはグッズを買ったり缶バッジの制作をお願いしたことで客として出会い、徐々に私も「なかま」になってきました。
小規模の人数&設備で活動する工房もくもく は、2011年の震災や原発事故、そしてその後の台風被害(床上浸水被害)、2020、21年の大地震など、数々の苦難に見舞われながら、障がい者の方の創作に関して、それぞれの個性や作家性をどう伸ばすかと、プライバシーや本人の希望を尊重することとのバランス、あるいは賃金の額について、時間をかけて考え取り組みながら、今日まで県内外の様々な方と出会って歩みを進めてきました。

今は誰もが自分のことだけで精一杯な時代ですが、ほのぼのした「ものづくり」と音楽で人々がつながる時間を大切にする、工房もくもくに親しみを感じていただけたら嬉しいです。
オンラインショップや相馬への訪問も、お待ちしています!


地図制作:ハニホ堂
ハニホ堂
文具・雑貨のデザインや、たまに4コマ漫画作成など。このnoteでは子供時代の自由研究みたいに、興味を持ったことを調べて発表します。ハニホ堂という屋号でイベントに出たりもします。http://kutel9.wixsite.com/hanihodoh

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