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テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想 (文春新書 1446) 新書 橘 玲 (著)


$解説
そこは楽園か、ディストピアか?
シリコンバレーの天才たちが希求する「数学的に正しい統治」とは?

アメリカのIT企業家の資産総額は上位10数名だけで1兆ドルを超え、日本のGDPの25%にも達する。いまや国家に匹敵する莫大な富と強力なテクノロジーを独占する彼らは、「究極の自由」が約束された社会――既存の国家も民主主義も超越した、数学的に正しい統治――の実現を待ち望んでいる。
いわば「ハイテク自由至上主義」と呼べる哲学を信奉する彼らによって、今後の世界がどう変わりうるのか?

ハイテク分野で活躍する天才には、極端にシステム化された知能をもつ「ハイパー・システマイザー」が多い。彼らはきわめて高い数学的・論理的能力に恵まれているが、認知的共感力に乏しい。それゆえ、幼少時代に周囲になじめず、世界を敵対的なものだと捉えるようになってしまう。イノベーションで驚異的な能力を発揮する一方、他者への痛みを理解しない。テスラのイーロン・マスク、ペイパルの創業者のピーター・ティールなどはその代表格といえる。
社会とのアイデンティティ融合ができない彼らは、「テクノ・リバタリアニズム」を信奉するようになる。自由原理主義(リバタリアニズム)を、シリコンバレーで勃興するハイテクによって実現しようという思想である。
いわゆるリベラル層は、所得格差と富の偏在を不道徳とする傾向がある。だが、それは逆に言うと、「自由」を抑圧することになる。自由のない世界では、マスクやティールのような「とてつもなく賢い」人々は才能を殺され、富を簒奪されることになるからだ。
彼らは「テクノロジーによってすべての問題は解決できる」と考えている。AI、ゲノム編集技術を駆使して人類は不死を手に入れ、森羅万象を操る「ホモ・デウス」になれると確信する者も多い。
また彼らは、国家のような中央集権的な組織に依存せずとも暗号(クリプト)テクノロジーによって個人と個人をつなぎ、暗号資産をもってすべての信用決済が可能になる社会が到来するとも信じている。その行きつく先は、「暗号によって個人を国家のくびきから解放する」とする過激な無政府主義「クリプトアナキズム」である。
実際、クリプトアナキストのひとりは「反民主主義」を標榜し、「世界中の民主政治と称するものを、暗号化を利用して根底から揺るがしたい」と公言している。
「この惑星上の約40~50億の人間は、去るべき運命にあります。暗号法は、残りの1%のための安全な世界を作り出そうとしているんです」(ティモシー・メイ)
――とてつもない富を獲得した、とてつもなく賢い人々は、いったいこの世界をどう変えようとしているのか? 衝撃の未来像が本書で明かされる。

$出版社より

$読者レビューから引用・編集

政治的な用語の、右派・左派、アメリカの民主党と共和党、リベラルなどを上手く簡単にまとめて書いてある。そして最近の億万長者(または成功者)の考え方を紹介。私はイーロン・マスク氏の名前や行動はニュースで見るのですが、人柄を伝えてくれない(ちょっと変わり者なので伝えにくいようですが)ので読んでみようと思った。勝手な私の印象は、マスク氏はツイッターというワールドワイドなシステムに関しては必要性を認めていて守りたいと思ったが、その会社を経営不振にした社員は守る価値がないと考えていたように思える面白い内容でしたが、ハラリ氏の「ホモ・デウス」を読んだ後だったので何とか理解が追いついたという印象。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2024/3/19)

  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/3/19

  • 言語 ‏ : ‎ 日本語

  • 新書 ‏ : ‎ 272ページ

  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4166614460

  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4166614462

  • 寸法 ‏ : ‎ 11 x 1.2 x 17.3 cm

著者について

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橘 玲

2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年、「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』が30万部を超えるベストセラーに。06年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。橘玲公式サイト http://www.tachibana-akira.com/





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