男になりたいんだかしらないけど
「男になりたいんだかしらないけど」
と言われたことがある、それからずっと考えていたけど
「男になりたい訳じゃないけど女でいることを押しつけれたくない」
のである。
考えてみれば、「男が女になりたい」と言うより「女が男になりたい」と言う方が周りのみる目は優しそう、と思う。
本当に自分の性別に違和感があって「男になりたい」と言っている人に対しては、その切実さから「なんとかして望む形に落ち着いてほしい」
と本気で思うが、単に女としてというか性格や人間性が悪くて嫌われているだけなのに
「男になりたい」
とか言ってる女には嫌悪感を感じる。
男で「女になりたい」と言っている人に対しては異性だからか嫌悪感はもちろん、なんとも思わない。
いや、いるのよ、性別云々じゃなく自分の性格が悪いから嫌われてるのに
「私、男だったらなぁ」
とか
「男同士はサバサバしてるからいい、女同士はネチネチしていて…」
とかわかったようなこと言う女。
だいたい男として生きたこともないのに本当に男同士がサバサバした関係かどうかなんて調べようがないし、私が知る限りでも相当ネチネチした男もいるし、仕事でも恋愛でも男同士の殺伐とした争いなんてたくさんある。女として生きるのがうまくいかないからと安易に性別が変わっただけで順風満帆に暮らせると思う単純さは本当に浅はかだと思う。
しかし、こんなことを思って、迂闊に正直な意見を言うと、自分の浅はかさや、男の人生を甘くみすぎたバカにした態度を感じさせず、指摘したこちらの意地の悪さのみを強調した編集を施されて吹聴され、気づけばこちらが孤立しているトラップを仕掛けられるので、それはそれで面倒くさいので、あたりさわりない反応を返すに留まるのである。
こういう細かいトラップを心得ているあたり、自分も相手もどっぷり女の人生を生きているな、と思う。
女同士の会話で、褒め言葉以外の本音は基本言わぬが花である。
「男として生きればうまくいく」
と安易に思っている女は、だいたいこのトラップを自分ではよく使うくせに、他人から仕掛けられる危機感に乏しいところがある。
毒舌や赤裸々な意見は、女性の間ではかなり覚悟がないとはなってはならない爆弾である。自分が非難されるリスクや、誇張して悪評を流される覚悟がない限り本来口にしてもなんのメリッドもないので、一般的に口にする女性は少ない。
だが、「男として生きたらうまくいく」と思ってる女は、「毒舌言う私、サバサバしてかっけー!」みたいな自己陶酔をしたいがために不用意に正直すぎる、もはや悪口になっている口汚い批判を多用する。そんな悪口を言われれば普通に嫌われるのは当たり前なのに、嫌われたあとで
「女は、やっぱりネチネチしてるから」
と他人のせいにするのである。
恐らく男たちがこうした毒舌を容認するのは、ワンチャン狙いだから多少の粗には目をつぶっているからか、はなから聞いていないだけだと思われる。なんか男の人って女より話の聞き方がざっくりしてる気がするから。
私は今までこの手の勘違い女の言い分を渋々聞き流して平穏な人生を送る代償だと割りきって生きようと思っていたが、反抗期のような心境の変化を迎えてしまい、後はどうなろうと構わないから噛みつきまくってやりたい衝動にかられている。
「いいかげんにしろこのクソ女!」
「おとなしくしてりゃつけあがりやがって!」
「お前なんか男女問わず嫌われものだよ!」
言ってやりたい気持ちでいっぱいである。