我が国ならではの「組織対応」によるプロジェクトマネジメントは、メリットが無く弊害ばかりです。
私は、我が国でのプロジェクトマネジメントのあり方、特に、プロジェクトマネージャの役割に極めて疑問を感じております。我が国では、「組織対応」と称するボトムアップにより部分最適化を図るプロジェクトマネジメントが殆どであり、この場合のプロジェクトマネージャの役割は、関係する各組織の「まとめ役」、つまり、コーディネーターに過ぎません。他方、海外では、プロジェクトマネージャのトップダウンにより全体最適化を図るプロジェクトマネジメントが当たり前であり、「組織対応」といった概念や用語は存在しないところです。
ところが、「組織対応」によるプロジェクトマネジメントには何のメリットも無く、弊害ばかりなのです。例えば、大阪・関西万博は、来年4月からの開催に向けた「雲行き」が、凄く怪しくなってきています。ここでの最大の問題は、かくも多岐に渡る巨大プロジェクトを、我が国ならではの「組織対応」で運営していることに尽きます。つまり、責任を持ってプロジェクト運営を司り、トップダウンにより全体最適化を図る権限を有する「真のプロジェクトマネージャ」が何処にも居ないため、関係する組織ごとのボトムアップによる部分最適化に任せた野放図なプロジェクト運営しかできていないのです。
しかし、我が国でも、プロジェクトマネージャのトップダウンによりプロジェクトの全体最適化を実現した成功事例が、数は非常に少ないのですが存在します。そこで私は、9年前に技術士事務所を開業して以来、プロジェクトの全体最適化の成功事例や失敗事例について具に研究して参りました。下記のリストは、noteに掲載した事例研究の一部ですが、ご笑覧賜れば幸甚に存じます。