24年9月7日note36元よしもと・ホリプロ芸人松稔の芸能裏話36美空ひばりさんの前座https://www.facebook.com/profile.php?id=61553536510873
芸能裏話(36)美空ひばりさんの前座
吉本興業に所属していた頃で、一番ビッグなタレントと仕事したのが美空ひばりさんだった。和歌山市民会館で美空ひばりショーの前座だった。
第一部がお笑いショー、第2部が美空ひばりショー。
と云っても第1部は僕ら(松みのる・杉ゆたか)だけだった。
美空ひばりさんの弟さんが不祥事で警察のお世話になって、紅白歌合戦を降ろされた頃だった。
その為にテレビから遠ざかっていたので、客入りが悪かった。
その為か2、000人位収容の会場で800人位しか入っていなかった。
1回目の舞台が13時からなのに、13時なってもまだ来られていなかった。
それでも時間が来たので、第1部が始まった。
「ひばりさんが入ったらOKの合図出すから、それまで伸ばしてくれと」言われた。
漫才をやっていたが30分位経って、もうそろそろオチになるのに誰も合図してくれない。
仕方がないので漫才を続けていたが、お客さんも余りにも僕らの漫才が長いので飽きてきた。
その為か全然受けなくなってきた。
それでも合図がないので漫才を続けていたら、後ろのバンドの人が音合わせを始めた。
ただでさえお客さんは飽きて聞いてくれないのに、意地悪のようにドラムの音やトランペットの音が鳴り響く。
お客様にしたらもう2部の美空ひばりショーが始まると思い、そわそわして僕等の漫才なんか上の空もっと聞かないようになっている。
舞台袖に人が来て、合図を出してくれた。
やっと終れると思ったのに、伸ばせの合図だった。
普通の舞台は15分が限度なのに、もう45分くらい漫才をしている。
さすがのお客さんも、怒り出して『お前らの漫才聞きに来たんちゃうから、早よ美空ひばり出してくれよ』と言って来た。
「僕らもやりたくてこんなに長い事やってるのとちがうんです。
正直に云います、まだ美空ひばりさんがまだ着いていないんです。」と云うとお客さんも納得してくれた。
『そうか、じゃ頑張って』と云ってくれた。
「だから美空ひばりさんが来るまで舞台降りらません」と開き直ったらそこから結構うけた。
やっとOKの合図が来たのが始まって1時間後くらいだった。
今までこんな長い時間漫才やったのは初めてだった。
しかし美空ひばりさんは、まだ入っていなかった。
それから15分位してから、やっと入ってきました。
すぐ支度をするのかと思ったら、お昼まだ食べていないから、と云って食事に出て行ってしまった。
さすが大物遅刻しても平然としている。
それにマイペースを貫いている。
結局僕らが終ってから1時間休憩してやっと始まった。
しかし客入りが悪かったので、美空ひばりさんの機嫌も悪かった。
『どうしてこんなにお客さんが少ないの、和歌山の後援会はどうしてるの?もう唄わないわよ!2度と和歌山には来ないから』と舞台から後援会の人に怒っていた。
すると後援会の人も『申し訳ございません。
次は一杯連れて来ますから、唄ってください。
皆からもお願いして』すると他のお客様も『お願いします、唄って下さい。』
まるで宗教の教粗様にお願いするようだった。
1回目の舞台が終わり挨拶をしようと楽屋に行ったら、取り巻き人達が『お前ら何の用だ!』
「美空ひばりさんに挨拶に来たんですけど」と云ったら『お前ら美空ひばりさんに挨拶するのは10年早い!』怒られた。
一緒に仕事したとは言え、御顔を拝見したのは客席からだった。
その日の2回目の舞台、僕らは5分で終った。
しかし、美空ひばりさんと仕事が出来たことは、一生の良い思い出になりました。
母親が生きていたら、大喜びしてくれたでしょう。
何故なら大の美空ひばりフアンでしたから・・・
後に息子さんの加藤和也さんの会社で、お笑いを教える事になりました
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