2024夏/沖縄⑤ 身体を水にひたすこと
食べることと合わせて、今回の旅の目的に掲げたのが、たんと泳ぐこと。
泳ぐことは、美味しいものを食べることと合わせて、家族の数少ない共通の趣味です。
子ども達は、週一回の少ない頻度ですが幼少期からプールに通っており、それなりに泳げるようになってきました。
小学5年生の娘は、四泳法のうち最後に習得するバタフライに挑戦中。今月プールのテストに合格できるよう練習を頑張っています。
小学3年生の息子は、運動が苦手ですが、どたんばたんとしたフォームでようやくこの夏から25m泳げるようになりました。
夏の週末はひとまずプール。夏休み中は、平日も開放された小学校のプールに通っています。
わたし自身、足は遅かったけれど、幼い頃父からあだ名を「カッパ」とつけられたほど、泳ぐことが好きでした。
プールだけでなく、生まれ育った宮崎の海や、小学生の頃に住んだ五島列島の海など、身近なところにいつも海があったので、海がある風景が好きです。潮風のべたべたと甘くまとわりつく香りも好きです。
プール育ちの子供達は、昨年、壱岐へ旅行した際に、きれいな海を目の前にして、「海はベタベタするからいやだ。プールで泳ぎたい。」と言いました。わたしの心にはそれが少し引っかかっていたんですね。だから今年の沖縄旅行では、海で泳ぐのではなく、一緒に泳げればいいと、少しハードルを下げることにしました。
前置きが長くなりましたが、今回の沖縄旅行はヒューイットリゾート那覇でも、沖縄かりゆしビーチリゾートオーシャンでも、朝夕と2回ずつ泳ぎ、身体を水の中にくゆらせ、ぷかぷかと水の中特有の浮遊感を堪能しました。息を止めて水の中に潜っていると、外の世界と切り離されて、頭の中を忙しくかけめぐる雑念が消えていきます。
しかし、毎度毎度プール付きホテルに泊まるのは高くつくので、3日目は個人経営のプールがないシンプルな宿に泊まりました。
子どもたちは持ってきたiPadで動画を見てゆっくり過ごすのかな、私だけ海辺を散歩しようかな、と考えていたところ、娘が宿の目の前にある海を見て言いました。
「海がきれい。泳ぎたい。」
去年と今年で、彼女の目にうつったものがどう変わり、そのような言葉が出たのか私には分かりません。
でも嬉しかったですね。
娘は別に海がきらい、だったわけではない。
同じ経験をするとしても、受け入れる側の成熟度やその日のコンディションでどう感じるかは当然違うし、ボキャブラリーの少ない子供は感じた気持ちを表現する術を持ちません。
「いやだ」「きらい」といった単純な言葉で表現されたそれを、大人側がまるっと受け取り、この子はこういう嗜好の子なんだ、と決めつけるのは良くないな。と改めて思いました。
プールで泳ぐのか、海で泳ぐのか、そんなことはどちらでもよい。彼らが私と一緒に旅に出ることを嫌がるまでは、時に厳しい意見で鼻をへし折られながらも色々な経験を一緒にしていこう。
小さな魚の泳ぐしょっぱい水に身体をひたし、顔をつけて目がいたいいたいと騒ぎ、手を繋いでぷかぷかと水面に浮かんだ経験は、この夏のわたしの大切な想い出です。