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Digital_デジタル時代のプライマリ・ケアの新しい原則:接触性Conatct
Edgoose JYC, Anaya YB, Rakel D. Face-to-Face Relationships Still Matter in a Digital Age: A Call for a 5th C in the Core Tenets of Primary Care. 2024 Sep 1 [cited 2024 Sep 25]; Available from: https://www.annfammed.org/content/22/5/453?rss=1
プライマリ・ケアにおける4つのC
バーバラ・スターフィールドは1992年にプライマリ・ケアの4つの核となる要素を提唱している。
(First) Contact ファースト・コンタクト: プライマリ・ケアは医療システムへの最初のアクセス点である。
Comprehensiveness 包括性: プライマリ・ケアは一般的な健康ニーズをすべて扱うべきである。
Coordination 連携: 医療システム内でサービスを統合するべきである。
Continuity 継続性: 疾病ではなく人に焦点を当て、時間をかけて信頼関係を築くべきである。
デジタル技術の進化と4つのCの影響
デジタル技術やAIにより、4つのCの実現がより進む可能性がある。
(First) Contact ファースト・コンタクト: バーチャルケアが拡大し、プライマリ・ケアへのアクセスが容易になる。
Comprehensiveness 包括性: AIが必要なデータを瞬時に整理し、慢性病の管理や予防ケアがより効果的に行われるようになる。
Coordination 連携: 電子カルテによって医療サービスがシームレスに統合され、社会的ニーズも反映される。
Continuity 継続性: テクノロジーの進化により、医師が同じ時間に別の患者を診ることなく、患者に継続的なケアを提供できるようになる。
第5のC「Contiguity接触性」の提案
著者は、新たに接触性(Contiguity)をプライマリ・ケアの重要な要素として提唱している。
Contiguity接触性:身体的な近接性や対面での存在感を指している。
フィジカルな診察の技術的側面だけでなく、信頼関係を築くために不可欠な要素である。
対面での関係性は、人間らしさを示す重要な機会であり、デジタル技術では代替できないものである。
対面では、医師も患者も物理的に隠れることができず、互いに脆弱な状態で向き合うことで、より深い責任感が生まれる。
信頼の形成: 対面での接触を通じて、患者と医師は強固な信頼関係を築くことができる。バーチャル診療では、患者が質問しにくい、また医師の注意が十分に向けられていないと感じることが多い。特にテレヘルスでは、対面診療に比べて、患者と医師との間に個人的なつながりが欠けているとの不満が多い。
黒人やヒスパニックの患者は、テレヘルスの便利さを認めつつも、対面診療を強く希望している。
特に、初めに不信感がある場合、対面での接触が信頼を築くための重要な手段となる。
まとめ:対面診療の価値
接触性の価値: 対面診療は、プライマリ・ケアにおいて人間らしさを最も強く表現する場である。
技術とのバランス: デジタル技術の進化と接触性の重要性を両立させ、適切なバランスを見極めることが今後の課題である。
読後感想
デジタル時代、Ai時代における生の体験(原体験)の価値について、プライマリ・ケアの文脈で語られていて興味深かった。
生身であることを原則に書かないといけなくなるほど、今後デジタル診療は普及していくのだろうか、どうだろう。
生身でrichな体験は、患者側にも言える。せっかく来たのだから、より豊かな経験を期待しているのかもしれない。より患者への観察眼や感情の取り扱い、ナラティブな解釈・価値づけなどが重視されるのかもしれない。
そもそもACCCAやACCCCのほうがよく聞くので、4C自体が初耳でした。
プライマリ・ケアのACCCA
Accessibility(近接性)
Comprehensive(包括性)
Coordination(協調性)
Continuity(継続性)
Accountability(責任性)
家庭医療のACCCC
Access to care(ケアの近接性)
Comprehensive care(ケアの包括性)
Coordination of care(ケアの協調性)
Continuity of care(ケアの継続性)
Contextual care(文脈に則ったケア)
参考