ちょっと許せない映画の話をしようか
筆者は先日、「少女は異世界で戦った」(金子修介監督)という映画をアマプラという名の大魔境で観たわけですが、まあ酷い、というより許せない映画でした。
はい、今回のnoteはこの映画にキレる回です。それだけです。
あらすじ
2024年日本―― 原爆による大量虐殺の反省から原子力を封印し、新しい歴史を歩み始めた世界(アナザーワールド)があった。そこでは銃器も完全に消滅し、剣が最強の武器として使用されており、戦士として育てられたアリサ(花井瑠美)、レイ(武田梨奈)、マリ(清野菜名)、ミキ(加弥乃)の4人は、ボス・柳生太一郎(岡田浩暉)の指令の元、謎の侵入者を退治すべく剣術と体術による戦いの日々を送っていた。やがて彼女たちは、銃や核でこの世界の征服を目論む陰謀者たちが送り込まれてくるワームホールを見つけ、自分達とそっくりな人間がいるパラレルワールドの存在を知る。もう一つの世界(アワーワールド)では彼女たち4人は人気アイドルとして活躍をしていた。違う人生を送る自分に会ってしまったアリサは人殺しを続けることに葛藤し、4人の関係がぎくしゃくし始めた時、柳生がワームホールを作って彼女たちをこちらの世界に送ったのは自分だと語り始めた。真実を知って動揺する4人。しかし陰謀の黒幕・豪徳寺(金子昇)と戦闘員たちは容赦なく彼女たちに迫ってきた。(東映ビデオHPより引用)
何にキレてんだよお前はさあ
まず知っておきたいのは、本作がポスト3.11作品であるということです。ポスト3.11作品で思い浮かぶ作品といえば、「シン・ゴジラ」や「日本沈没2020/希望のひと」、「護られなかった者たちへ」なんかがあるわけですが、本作はそれらとは全く異なり、なんかそれらしい要素を並べただけに過ぎません。
この映画の主題はアイドルバトルものであり、挙げるなら「セーラームーン」に近いわけで(作品内でも言及されている)、じゃあどうやって震災要素を入れるかといえば、答えは簡単。ねじ込むんです。
なんか核が廃絶された世界らしいですよ
なんか震災で異世界と繋がったらしいですよ
なんか原子力を敵視しています
なんか東電をパロった電力会社がいますよ
こんな感じ。主題とはなんら関係ない。
結局のところ、作品的には少女バトルが描きたい一方で、都合のいいネタとして原発事故や震災を持ち出してきたようにしか見えないんですね。それもかなり雑で、例えば電力会社の社長が秘書(?)とイチャコラするシーンがあるんですが、
「風と一緒に放射能も強いですもんね」
「もう放射能なんかこの国の風物詩だよ」
というセリフがあります。これは個人的に到底許し難いセリフでした。というかもう我慢できねえ
なーにが放射能はこの国の風物詩だよ、こんなので風刺した気になってんじゃないよ。大体、原発事故を起こしたくて起こした人間なんていないのに、こんな馬鹿げた描き方で現実をおちょくった気になってんのマジで笑えない。被災者に対して失礼とか思わないの?そもそも放射能じゃねえだろ放射線だろ、こんなことすらわからないで映画撮ってんじゃねえ
失礼しました。というわけで、これは許せないセリフだったんですね。
映画というのはやはり多くの人間に見てもらうわけで、それだけ社会的影響力も強い媒体だと考えています。だからこそ、もっとこういうテーマに対しては責任を持って真摯に描いてほしいと思います。