老人たちと2024年大統領選討論会
私は、シアトルにある、老人ホームのレストランでウェイトレスをしている。住民は、黒人のリズと、アジア人のキムを除いたら、全員白人のおじいさんとおばあさんだ。リズは、ほとんど食事に来ない。月に一度来ればいいほうだ。キムは、数か月前にスペシャルケアの部屋に移ってしまったので、リズ以上に会えない。とはいえ、今回のテーマは、リズやキムに会えるか会えないかではない。
春頃から、数人の住民(主に男性)が、11月に行われる大統領選について話をしていた。
「バイデンが、&$39@#*?!*%・・・」
会話に参加していないので、内容はわからない。バイデンの年齢のことを話しているのか、バイデンの政策のことを話しているのか、いずれにしてもポジティヴな響きはない。
ある日の朝食で、リチャードにサーヴィスをしたときのことだ。
私「おはよう!調子はどう?」
リチャード「あんまり良くない。11月の大統領選が気になって、不安で仕方がないねん」
私「あー、そうなんやぁ。わかるわ」
わかると言ったものの、リチャードと私の抱いている不安が同じ方向なのか、真逆なのかがわからない。同じだといいけれど、そうでない場合もあり得る。怖いので、それ以上のことは尋ねない。
ちなみに私は、トランプ支持者ではない。黒人のダンナとダンナの子供たち、おじさんやおばさんがいる。この事実だけで、私がトランプ政権を恐れる理由を理解してもらえるはずだ。
住民たちは温厚で、私が知っている限り、差別をする人はいない。実際、差別をしていたら、ここでは生活できない。彼らの生活をサポートする介護士やハウスキーパーは、エチオピア人、メキシコ人、アジア人だ。彼らは、住民の部屋の掃除や洗濯、入浴や着替えのお手伝いをする。おしめを替えるのも介護士だ。白人以外にお世話をしてもらいたくない人は、入居前の見学で、この施設に入ることをやめているだろう。
そうはいっても、政治となると話は別だ。人種差別をしない共和党支持者もいっぱいいる。したがって、政治の話は見ざる言わざる聞かざるを貫く。もちろん、大統領選に興味はある。結果によっては、私の方が深刻な問題に直面する。けれども、余計なことは言ってはならぬ。彼らは、私が大統領選に興味があることすら知らないはずだ。
さて、昨日、9月10日は「ドナルド・トランプVS.カマラ・ハリス」の初討論会だった。仕事が終わると、直ちに帰宅し、色々用事を済まして、スタート30分前から、スクリーンの前で待機する。
結果は予想通り、2020年の「トランプVS.ジョー・バイデン」の討論会を思い出す。嘘つきトランプ健在だ。具体的政策もなく、あのステージに立てるトランプが、ある意味すごい。ペロンペロンの内容だ。
「オハイオ州では、移民がペットを食べている!」
ここまでくると、おもしろくなってきた。
食べるかーーーっ!!!
つっこみを入れたくなる。
実は、これは討論会前日、ヴァンス副大統領候補が、公聴会で話した内容だ。
「オハイオ州スプリングフィールドのハイチ人(移民)が、住民のペットを盗んで食べている!」
・・・トランプ陣営、もうちょっとマシなことは言えんのか!
こう思う。けれどもこれは、オハイオ州の白人至上主義者が、選挙時に使用する、大昔からの戦略らしい。これまでのターゲットは「黒人」だ。黒人に対する憎悪を生み出し、白人と黒人を分裂させるために使われてきた。今回は、「黒人」が「ハイチ人」にすり替えられた次第だ。
それにしても、ペットは食べへんやろう・・・。実際、スプリングフィールド警察は「そのような事実は報告されていません」と、その日に公表している。とはいえ、嘘つきトランプには、そんなことなど関係ない。討論会では、移民対策でポイントを獲得するために、「ハイチ人」を「移民」に言い換えていた。
途中から、真面目に聞くべきものではないのかも?と思えてきた討論会だった。とはいえ、つっこみどころ満載で、誰かとこの話をしたい。
今朝、朝食サーヴィスをしているときに、ロンがジェイムスに言った。
ロン「昨日の討論会観た?」
ジェイムス「観たで」
私「(私も観たーーー!)」
こう言おうと思ったときだ。
ロン「俺、ちょっとビックリした。あのトランプ相手に、カマラ・ハリスはよく頑張ったよな」
・・・言わなくて、本当に良かった。
私は、カマラ・ハリスが副大統領候補の頃から、彼女のスピーチを何度も聞いている。彼女の経歴を見れば、今回の討論会で、事実と正確なナンバーを基に、スピーチを繰り広げることも予想できた。選挙の行方はわからないけれど、討論会で彼女がトランプに負ける、圧倒される気はしなかった。
けれども、ロンの感想を聞いたとき、ヒラリー・クリントンがトランプに負けたときのことを思い出した。
「トランプは嫌いやけど、俺らの大統領が女性?恥ずかしいわ」
このように言っている男性が多かった。黒人男性も言っていた。
ロンのように、女性というだけで、政治の世界では戦えないという先入観を持つ男性も多いはずだ。しかも、カマラ・ハリスは黒人だ。
「この選挙は簡単じゃない」
カマラ・ハリスも言っていた。
ハリス陣営は、まだまだ気は抜けない。ついでに私も気は抜けない。住民たちと、政治の話をしてはなりませぬ。
気は抜けないけれど、あの討論会を同じ感覚で、一緒に笑ってくれる人はおらんかな~???と、ここで思い出した。
ニューヨークで作曲ピアニストとして活躍されている、ペパーミントシャワーさんだ!今回の討論会を、同じ感覚で観ていた方が東海岸におりました💛
ペパーミントシャワー@ニューヨークでピアノさんの昨日の投稿⇩
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