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アラバマ州モンゴメリーの取っ組み合い

  8月5日、アラバマ州モンゴメリーのリヴァーフロントで、白人と黒人の取っ組み合いの喧嘩があった。
 これは、KCRA3(カリフォルニア州サクラメントのTVステーション)のYouTubeです。⇩
 *派手な喧嘩の映像ですが、血なまぐさいものではありません。

 喧嘩の始まりは、白いシャツを着た黒人セキュリティが、ドックに停泊している船を移動させようとしたことだ。
 そのボートが移動しない限り、リヴァーボートは戻ってこれない。
 映像では、ひとりの男に注意しているだけだけれど、ここに至るまでに、このセキュリティは繰り返し、

 「リヴァーボートが戻ってくるので、移動しなさい」

 と何人もの男に伝えている。
 けれども男たちは、どこかで酒でも飲んでいたのか、一向に動かす気配がない。
 セキュリティはボートのロープをほどき、前に押した。
 彼は、するべき仕事をしただけだ。
 これを見たボートの持ち主とその仲間は、セキュリティに殴りかかった。
 しかも、ひとりに対し、5人、6人、次々と飛びかかった。

 白人はこれまで、白人のために作られた社会で生きてきた。
 すべての特権を手に入れ、黒人に暴力を振るい、黒人を殺してきた。
 一方黒人は、リンチなどの暴力行為に、白人の味方をする不正な裁判に、ずっと耐えてきた。
 黒人は大切な家族を奪われる一方で、殺人を犯した白人は、罪を償うことなく家庭に元に戻り、これまで通りの生活をしてきた。

 しかーし!!

 黒人の我慢は限界に達した!
 彼らは警察の到着を待たず、セキュリティを救うために、白人たちの中に飛び込んだ。
 ひとりの従業員は船から水に飛び込み、泳いで仲間を助けに行った。
 リヴァーボートの従業員は、接岸するや否や、白人グループに向った。
 彼ら黒人は、暴力を振るった白人たちに、暴力で立ち向かった!

 しかも、アラバマ州モンゴメリーで、だ!

 アラバマ州モンゴメリーは、1955年に、ローザ・パークスがバス・ボイコットをした町、オフィシャルに、公民権運動が始まった場所だ。

 ⇩「ローザ・パークスについて書いた記事です。(MMジャーナルより)


 白人至上主義が色濃く残る町で、黒人が反撃した!
 この様子を撮影した人たちは”Alabama Riverfront BRAWL!(アラバマ州リヴァーフロントの取っ組み合い)”というタイトルで、SNSに投稿した。

 そして映像を観た黒人たちは・・・


 大喜び!!

 セレブレーションだ!🎉🎉🎉


 ・・・なんで、セレブレーション???

 と感じる人はいるだろう。
 暴力は間違っている。
 正論だ。

 人種間の問題になると、自分のことに置き換えることが難しい。
 けれども、これを身近なことに置き換えるとわかりやすい。
 例えば、自分の子供が小学校に入学した。
 毎日、暴力を振るわれて帰って来る。
 6年生まで毎日だ。
 助けたい。
 けれども担任、教頭先生、校長先生、皆、暴力を振るう側の味方だ。
 激しく、大けがをすることもある。
 友達も皆、助けたいと思っている。
 暴力に立ち向かえ!と言いたい。
 けれども、暴力で対抗すると、相手は武器を持ち出す。
 殺されることもある。
 警察は暴力をふるう側の味方だ。
 駆け付けた警察に殺されることもある。
 そして殺されても、何も変わらない。
 死に損だ。
 転校をしても何も変わらない。
 できることは、殺されないように生き続け、学校が、警察が、社会が変わる日を待つことのみ。

 バスボイコット事件からは約70年だけれど、実際には、彼らは400年以上もの間、耐え続けている。
 病気や事故以外で家族を失った人は少なくない。
 夫や息子が出かけるたびに、無事に帰宅することだけを願う。
 
 400年間だ。

 これまで同様、耐えるだけでは、このシナリオは終わらない。
 ついに、黒人が変わる時がきた。
 白人至上主義者はまだまだいる。
 警察官の射殺事件も終わらない。
 けれども、彼ら黒人をサポートする白人も増えてきた。
 SNSに投稿される映像は、白人の嘘を許さない。
 モンゴメリーには、初の黒人市長が就任した。
 
 400年待って、ようやくその環境が整ってきた!

 白人に殴られたセキュリティは、自分の被っていた帽子を高く投げた。

 宣戦布告だ!

 彼が闘いを決意したこの映像に、感動せずにはいられない。
 ひとりで戦う彼を、他の従業員が助けに入る。
 暴力に参加する白人女性は、黒人女性が引き受ける。

 それでも暴力は良くない?
 
 2020年、ジョージア州でジョギングをしていた黒人男性が、白人親子に追跡され、射殺された。
 2020年、ジョージ・フロイド氏が警察官によって殺された。
 2020年、ニューヨークのセントラルパークで、バードウォッチングをしていた黒人に対し、白人女性が、
 「暴力を振るわれた!助けて!」
 と警察に嘘の電話をした。
 彼は無事だったけれど、駆け付けた警察官が違えば、命の危険にさらされていただろう。
 2022年、ミシシッピ州では、パッケージを届けたフェデックスの黒人ドライヴァーが、白人親子に追跡され、射殺された。
 2023年、間違って白人の家をノックした16歳の黒人の男の子が、住民の白人男性に撃たれた。
  
 彼らは白人の私道を歩いただけで、銃で脅される。
 ダッシュボードに登録した銃があることを警察官に告げた瞬間に、嫁と子供の目の前で射殺される。
 車が故障し、車の中で救助を待っていた黒人を、私服警官が射殺する。
 公園でおもちゃの銃で遊んでいる子供を警察官が射殺する。
 スーパーのおもちゃの銃を手にした黒人男性が殺される。
 いくらでもある。
 このようなことが、何年も、何十年も、何百年も続いた。
 しかも毎日だ。

 反撃のために黒人が手にしたものは銃ではない。
 パイプ椅子だ。
 今回の事件で、ひとりの黒人男性が、パイプ椅子で白人を殴った。
 黒人のSNSは今、パイプ椅子で大盛り上がりだ。
 
 「パイプ椅子を使った殴り方」
 「パイプ椅子を常備しよう」
 「パイプ椅子携帯免許を取得した(銃の携帯とひっかけて)!」

 もちろん、パイプ椅子で殴ることは正しくない。
 ポイントは、黒人は白人と違い、銃を使わないという点だ。
  
 色々な意見はあると思う。
 黒人は野蛮だというステレオタイプの人もまだいるかもしれない。
 けれども、黒人は強く、優しい人種だ。
 彼らでなければ、400年もの長い間、耐えることはできなかったと私は思う。
 そんな彼らが暴力で立ち向かった。
 それをさせたのは、白人社会であることだけは間違いない。

 この事件で逮捕された人は、今のところ全員釈放されている。
 世の中は、正しい方向に向かっていると信じたい。
 黒人も、白人も、アジア人も、みんな同じ人間だ。
 お互いに助け合える、優しい社会になることを心から願っています。

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