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最低な今日[liminal;marginal;eternal]

「公演を一時中断します。お席でお待ちください。」

アイドルマスターシャイニーカラーズのコンテンツライブ
283 Production LIVE Performance [liminal;marginal;eternal](以下lme)
[odd;2]公演の現地チケットのみ当選した私は
ライブ途中に流れたアナウンスを聞いて素直に困惑してました。

  • にちかが美琴さんって言ってたけどなにがあった?

  • 誰もいないステージで流れたFly and Flyは何?

  • そもそもXRライブだから映画みたいに映像を流すんじゃないの?

  • 初見で楽しむために[never;1]は見ていなかったけど[never;1]公演も同じ展開?

  • PA卓付近のスタッフが慌ててる様子だったけど役者さん?

などなどの疑問が出ては消え、
ライブとトラブルの熱に浮かされた頭が導き出した答えは

これって!名探偵津田!?
名探偵津田になるとこんな気持ちなの!?

と年末年始にバズったTV番組の事でした。

名探偵津田

ご存じの方が多いと思いますが、名探偵津田はTV番組の企画です。
バラエティー番組(1の世界)の収録中にフィクションの事件が発生、
番組出演者だったダイアン津田が名探偵になり事件を解決するまで
フィクションの世界(2の世界)から脱出できない、
といった内容です。

水曜日のダウンタウンのドッキリ企画

今回のlmeでは名探偵津田と同じように、
ライブ中の演出で客席にいる観客とリアルタイムで配信で見ている観客を
1の世界=現実の世界
から
2の世界=シャニマスの世界
に迷い込ませる事となりました。
これライブが終わった今時点だから整理して考えられますが、
リアルタイムで当事者になった時は

まさしく訳分からん状態です。

シャニマスライブあるある展開

笑っちゃうことにこんな訳分からん状態になる事は
シャニマスライブのあるある展開となっていて

THE IDOLM@STER SHINY COLORS 1stLIVE FLY TO THE SHINY SKYでは
1の世界=2Dゲームで実現できない楽曲の披露をする現実世界で楽しんでいたら、
2の世界=朗読劇で1年間積み重ねてきたコミュの内容を語り、一緒に過ごしてきたシャニマスの世界に没入させてくれたり、

THE IDOLM@STER SHINY COLORS 4thLIVE 空は澄み、今を越えて。は
初日の2の世界=過去への手紙を読む過去視点の世界
二日目の2の世界=未来への手紙を読む未来視点の世界
だったり、

THE IDOLM@STER SHINY COLORS LIVE FUN!! -Beyond the Blue sky-では
1の世界=283プロが8ユニットになった現実の世界
2の世界=カップルが居たストレイがデビューするタイミングの世界
の二つの世界を行き来する(一方向じゃないのかよ!?)展開をやったり、

我儘なままでは
1の世界=現実の世界
2の世界=シャニマスの世界
3の世界=真乃ひななが幼馴染だったり、夏峰が同じ大学に通う劇中劇世界
(3つもあるのかよ!?)をやったりしました。

ほんとにそう

(また、よく話題にあがります5thLive If I_wings.は上記メタフィクションの演出とは別の演出になるため本稿の対象には含みません。)

名探偵は犯人を見つけて脱出できる、じゃあシャニマスPはどうすれば脱出できる?

異世界に迷い込んだ時に真っ先に考える一つの疑問。
名探偵は犯人を見つけて現実世界に脱出できますが、
シャニマスライブを体験した観客はどうすれば現実世界に脱出できるのでしょうか。

筆者は「それぞれの世界の住人と相対するとき、世界を越境できる」ものだと考えます。
ライブ会場はもちろん、打ち上げの場やSNSで感想を語り合うときは2の世界の住人でいられますし、
日常に戻り学校や会社の人たちと過ごすときには1の世界の住人になるはずです。

そして少し辛いですが、1の世界の人に2の世界の言葉は通じませんし、1の世界の言葉で2の世界を論じられることもあります。

『みんながPになる』The Producer Insider

あえて触れますが、lmeの演出についてSNSではさまざまな賛否両論が流れています。それはもうみんな好き勝手に各々の意見を話しています。

先に筆者のスタンスを表明すると、シャニマスライブのメタフィクションを使用した没入感の演出は筆者個人として非常に楽しく感じています。
シャニマスのPでありファンでありオタクをやっている筆者は現実の世界(1の世界)にいるけれども、シャニマスの世界(2の世界)に流れている物語(コミュ)に触れたいと常日頃思っているので、メタフィクションの演出は最高の没入体験です。

しかし一方で、1の世界の住人だと自覚している時には、1の世界の言葉で物事と相対しなければいけません。
lmeの内容で特に争点となっているのは『緋田美琴がライブ途中に体調不良で離脱する展開』に関する意見です。
この展開を1の世界から解釈すると
シャニマス世界で展開される物語として発生した不慮の事故
となりますし、
2の世界から解釈すると
シャニマス運営が紡いできた物語として描いた意図的な演出
となる訳です。

事象に対するこの二つの捉え方は、どちらが正しいといった二者択一を迫られるものではなく、どちらも併せ持つ事実になります。『美琴さんの歌唱が少ししか見られなかった事を残念に思う、損失だ』という意見も『美琴さんの体調を心配し、ステージを守ったにちかを応援したい』という意見も事実に基づくものです。そしてこの事実どちらにも寄り添えるのは、リアルタイムでlmeを観賞した1と2の世界を併せ持つ観客の私たちだけだと考えます。

1の世界のわたし、2の世界のわたし、心が二つある〜。
真賀田四季になれって話、笑っちゃうよシャニマス。

たしかにひとり救われた私から

lmeの全4公演を締めくくったのは、傷つきながらも歌う
斑鳩ルカのセリフ『最低な今日、誰か一人だけでも救えたかよ』でした。

彼女は今までたくさん傷つき間違いも起こしましたし、
多分これから傷つくこともおおいにあるでしょう。
それでも彼女は自分が傷つけられたとしても
誰かを傷つけることを良しとしませんでした。
その彼女の姿を見て救われたひとりとして、
誰かが誰かを傷つけることが少しでも減ればと思い筆を取った次第です。

本稿も誰かを傷つけて喧嘩になってしまうかもしれませんが、
もしそうなっても仲直りをしてまた喧嘩ができるような、
お互いが一緒にいることを許し合えるような関係になれればと願っています。

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