2023年9月きいたもの、よんだもの

2023年9月にきいたり、よんだりしたうちで、印象に残っている作品です。きいたものは6作、よんだものは3作です。感想があるのとないのがあるのは、思いついたかそうでないかです。作品が気に入ったかどうかではありません。
順不同です。

きいたもの


Jalaen Ngonda『Come Around and Love Me』2023

パーカッションの使い方や曲のアレンジ、メロディーや歌い方などマーヴィン・ゲイそのものというか直系といった感じです。おくに『What’s Goin' On』あたりマーヴィン・ゲイにそっくりです。
パクりではないけど、これはこれでいいです。


Corrine Bailey Rae『Black Rainbow』2023

コリーヌ・ベイリー・レイは初めてきいたのですが、とてもよかったです。
ハイエタス・カイヨーテのようでもありますがそこまで難解さはなく、エスペランザ・スポルディングのようにジャズっぽく歌うところもありますが、あくまでソウル、R&Bです。
イギリスの方だからなのか、パンクっぽい曲もあったりして、アルバムを通してきき飽きません。ソウル、R&Bは主としてありつつも、エクスペリメンタルな部分もあり、いろいろなことをやっているのですが、まとまりがないようにはきこえないのもすごいなと思います。


Steve Lehman『Ex Machina』2023


スティーブ・リーマンの最新作です。オーケストラのアレンジがドローンのようになっている中でのジャズの演奏が繰り広げられています。
アレンジはとてもよいですが、どうしてもスティーブ・リーマンの演奏がいまいち好きになれないというか、ハマることができません。
どうしてなのか色々と考えてみたのですが、音色というか音そのものにあまり魅力を感じないようです。楽器として音をあるい程度制御しているようというか、楽器の鳴ることができる幅をあえて狭めて演奏しているかのようにきこえます。フレーズ自体はかっこいいと思います。


吉村弘『Green』1986

初めて吉村弘をききました。ニューエイジといった感じですが、不思議とその特有のダサさみたいのは感じませんでした。喜多郎とかに感じる独特のエモさというか叙情性のようなものがそこまでなく、アンビエント色が強いように感じました。マニュエル・ゲッチングのようでもあると思います。


Kris Davis『Diatom Ribbons Live at the Village Vangurad』2023 

Kris Davis - piano, prepared piano, arturia microfreak synthesizer
Terri Lyne Carrington - drums
Val Jeanty - turntables and electronics
Julian Lage - electric guitar
Trevor Dunn - electric bass and double bass

Diatom Ribbonsの続きというか、何人かは同じメンツでのライブアルバムです。100分くらいあるので少し長いですが、割とよかったです。Diatom Ribbonsではホーンがいたのがいなくて、ギターが変わっています。
前のアルバム同様にターンテーブルがいるのが独特で、音もやはりそのせいか印象的です。


D.O.C『No One Can Do It Better』1989


よんだもの



戸谷 洋志『SNSの哲学: リアルとオンラインのあいだ』創元社

大学の同級生の本です。といってもそこまで話したことがあるわけではないので、友人というほどではなく知っている程度です。
内容はとても平易な文章でかかれていて、読みやすいのですが、書かれていることは哲学なので、多少頭を使うかなと思います。それでも哲学者たちの考えをだいぶかみ砕いて説明しつつSNSという現象をほどいていくような感覚がありました。
個人的にはSNSで交わされる、人同士のやりとりをヴィトゲンシュタインの言語ゲームとして捉えたのは興味深かったです。


黒田硫黄『セクシーボイスアンドロボ』小学館 全2巻

全2巻と書きましたが終わっていないようです。黒田硫黄の漫画はやはりおもしろいなと思いました。
個人的には第2話の絵が印象的でした。水族館の話ですが、たくさん魚が描かれていて、ただ単に筆でいろんな魚を描きたかったのではないかと
思わせるような魚の豊富さでした。
あと全体的に都市の街並みの絵が丹念に描かれているような気がしました。
これもやはり描きたかっただけなんじゃないかと思わせるくらい、場面場面で丹念に看板だのビルだの建物だのが描かれています。
そういえば表紙の絵・デザインのポップさと中の絵の渋さはなんだかチクハグなようで、妙な違和感があります。


豊田徹也『珈琲時間』講談社 全1巻

アンダーカレントを読んでおもしろかったので、読んでみました。オムニバスというか珈琲にまつわる短編です。同じキャラクターが違う話に出てきますが、基本的には1話完結です。探偵の山崎はアンダーカレントにも出てきました。
絵の構図がアンダーカレントと同様独特で映画のようです。


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