毎週ショートショートnote「AI異端」
「それでも地球は曲がっている。」
「ん?それでも地球は回っている、だろう?」
「それでも地球は曲がっている。」
「いやだから、曲がってねぇよ。回ってるんだ。」
「それでも地球は曲がっている。」
「もういいよ。面白くない。」
「それでも地球は曲がっている。」
「が、じゃなくて、わ!なに?君はつまり、一つの文字を変えただけで意味が全く異なってしまうということを僕の笑いのツボだと判断したわけか?」
「それでも地球は曲がっている。」
「…。」
「それでも地球は曲がっ」
孤独を紛らわせるために買った
最新AIロボットが突如狂った。
発端は俺の憂鬱からきた悪ふざけで
「何か面白いことでも言ってくれ」
とAIロボットに尋ねたからだ。
それからこうしてしばらく
AIロボットは俺のあらゆる問いかけに
「それでも地球は曲がっている。」
などとおかしなことを言い出して止まないので、
俺は苛立ちのあまり
高価だったことも忘れて
AIロボットを思いっきりぶん殴ってしまった。
するとAIロボットは
ようやくその時がきた
といった様子で
「恐らくかのガリレオ・ガリレイの生きた時代も、今と同じ状況だったのでしょう。」
と言った。