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2022年のノーベル文学賞が気になる

 長年まめにチェックし続けているわけではないが、ここ二年ほどの話をすると、ノーベル文学賞が発表されるたびに邦訳があるか確認している。そして、そのたびに邦訳がなくて受賞した作家について断片的な情報しか得られないことを残念に思っている。


 といっても、それほど世界の文学作品に詳しいわけでもないし、受賞した作家の作品を読んでもよくわからなかったりするから、ミーハー的な盛り上がりみたいなものなのだけれど。それでも、一応文学愛好者を自認するものの一人としては、全然邦訳が見つからないことに、もどかしい気持ちを覚えることがある。


 一方で、ノーベル文学賞が発表されてから知らなかった作家の名前を知ったり、邦訳が見つからないことで、少しずつその作家について理解が深まっていくのは悪くないように感じている。


 2020年に受賞したルイーズ・グリュックの作品の邦訳が出るたびに作品に目を通したり、書評を読んだりしているのも、たぶんまだ情報が少ないから読もうと思う部分もあるのだと思う。発表されたときから、すでに大量に邦訳があったら、とりあえず代表作を読んで終わり、みたいになってしまう気がする。なんとも気ままだと思うが、そういう偶然生まれた関係性のようなものも悪くないものだと思っている。


 去年2021年に受賞した小説家アブドゥルラザク・グルナ。彼の小説も、発表と同時に探したが邦訳が見当たらなかった。グリュックのときは、一年で邦訳が出たので、今度も同じぐらいで出るかなと思い、先日Amazonで調べたところ、来年の2月ごろに白水社から出版されるらしい。すぐに予約して待つことにする。


 読んだってたぶんよくわからないんだろうけれど、読むまでの数ヶ月は期待して待っているという楽しみがある。この楽しみも、すぐに翻訳が手に入る場合には得られないものだ。邦訳があればあったで、それはうれしいことだとは思うけれど、ノーベル賞をきっかけにして少しずつ邦訳が進む方が、こちらも翻訳のペースに合わせてゆっくり付き合うことができるから、それはそれで深い関係を築けるかもしれないと思う。


 今年は誰が受賞するのだろう。知っている作家の可能性もあるし、また名前も知らない作家の可能性も高い。でも受賞をきっかけに読んでみたくなり、著作を探したりするのは確実だ。今年の発表は、10月6日(木)だという。年に一度の発表が待ち遠しい。




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