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学生最後の夏 終

遅すぎる花火大会を迎えて夏休みの予定が全て終わった。夏祭りと呼ぶには寒い夜空に打ち上げられる大きな花火は綺麗なのにどこか切なくて、気を抜けば泣いてしまいそうだった。
咲いては消える花火がこの夏の思い出ひとつひとつに見えて、この花火のようにいつか消えてしまうのではないかと不安になる。
母校に帰って部活をしたこと
絵に描いたような入道雲を見るのが楽しみだったし
夏の夕方独特の夕日を見るのが楽しみだったこと
でっかいかき氷を食べたこと
自転車で田舎道を乗り回したこと
サークル仲間と飲み会、運動会、BBQをしたこと
夏休みを理由にお久しぶりな人と会ったこと
ずっともう一度行きたかった所へ行ったこと
髪を切ったこと
M-1に出たこと
大切な人との会話も、触れた感触も、胸の高鳴りも、落ち込みも、泣くも笑うも全部全部
いつか記憶という曖昧な保管庫から消えてしまう日が来るのかもしれないと思うと怖くて、
絶対に忘れたくないからどこかに書き残したくなるし写真にも残したくなる。
なにかのお告げかのように10年以上大切に使ってきたカメラが壊れた。残さずにいつか曖昧になって忘れてしまうもののままにしておいた方がいいのかもしれない。でも、そんなの悲しすぎる
嫌だ、忘れたくないよ、、

だけど思い出はどうしても美化されてしまうから、結局今が1番幸せだと言うことを忘れそうになる。
今、あの頃がものすごく自分史上1番キラキラ時期に見えるけど、当時は当時であの頃に戻りたいとどうしても過去の思い出に依存してしまう。
どうせ来年、去年に戻りたいだなんて今を羨ましがるんだろうな、今は今が1番幸せなんて気づけないのに、時間が経ったら気づくんだ。
だからあまりに過去にはすがりたくない。
でも、すがると思い出として保存しておくのは違う。大切な人との、好きな人との会話なんて思いが強ければ強いほど覚えてたいのに緊張であの日何喋ったかなんてちっとも覚えてないなんてことがある。過去に依存したくはないが決して忘れたい訳では無い。嫌な思い出も全部、今の私の人格を形成してる大切な出来事かもしれないから。

今年の夏は特にそうだった。
学生最後の夏休みだから、毎日毎日「忘れたくないこと」の連続だった。約2ヶ月と言う長いようで短かった期間中私を夢の世界へ連れ出してくれた全ての人にお礼を言いたい。
ありがとうございます。
この期間中私がそうであるように私に会った人もまた、私が貴方を夢の世界へお連れできていれば幸いです、なんて生意気なことを言ってみる。
学生最後の夏 最高でした。


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